ポストシーズン黒歴史が続くツインズ 29年ぶり世界一へ 先発ローテの一角に前田が必要だった[AKI猪瀬コラム]
2020年2月11日 20時56分
一時は不成立の可能性もありましたが、形を変えて前田健太投手(前ドジャース)のツインズ移籍が正式に決まりました。日本の感覚ではトレードは後ろ向きなイメージですが、MLBではそうではありません。むしろ「請われて」移籍するので前向きなイメージが強いです。
前田が移籍するツインズは昨季、MLB新記録となるシーズン307本塁打を記録した超重量打線を武器に101勝61敗をマークし、見事にア・リーグ中地区制覇を達成しました。
自慢の打線から25本塁打を記録したクローン一塁手、24本塁打のスクープ二塁手がチームを去りましたが、2015年ア・リーグMVPのドナルドソン三塁手を4年総額9200万ドル(約101億円)の大型契約で獲得。これで負傷&戦線離脱が多いサノを三塁から一塁にコンバートできました。その破壊力は昨季同等か、それ以上になると思います。攻撃陣は本塁打以外でもチーム打率、チーム総得点がともに30球団中2位なので、今季も盤石だと思います。
ポストシーズン16連敗は北米4大プロスポーツワーストタイ
課題と言われる投手陣も、昨季は先発陣がリーグ5位の防御率4・19、救援陣がリーグ6位の防御率4・17を記録するなど、平均以上の働きを見せていました。仮に投手陣の補強ができなくとも、攻撃陣の破壊力を考えると、今季も十分に地区連覇を狙えるだけの戦いができたはずですが、前田を補強したということは、目標を1991年以来4度目となる「世界一」に切り替えたことを意味しています。
ツインズは現在、北米4大スポーツ史上ワーストタイ記録のポストシーズン16連敗中。この不名誉な記録を止め、世界一を目指すために、先発ローテの一角としての前田が必要だったのです。前田の出来高ボーナスは先発でフル稼働した時に満額になるよう設定されているので、契約上も前田にとってはより良い環境と言えるでしょう。
心配事は本拠地が1年を通じて温暖な気候のロサンゼルスから、寒暖差が激しいミネソタに移ることによる体調管理だけです。生活面では、ミネソタも北米を代表する大都市圏。生活必需品は無税なので生活はむしろ快適だと思います。前田にはMLB最強クラスの重量打線をバックに1年目の16勝以上の活躍と、ポストシーズン連敗記録ストップを期待しています。(大リーグ・アナリスト)
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