患者・ご家族の皆さま
アミロイドーシス
ATTRアミロイドーシスについて理解する
ATTRアミロイドーシスは、トランスサイレチン(TTR)というタンパク質が折りたたまれる過程で特定の立体構造をとらず、生体内で正しい機能や役割を果たせなくなることが原因となり、神経、心臓、消化器系など体のさまざまな部分にアミロイドが沈着・蓄積することで発症する進行性の疾患です。トランスサイレチン型アミロイドーシスには、TTR遺伝子の変異により発症する遺伝性ATTRアミロイドーシス(hATTR、別名:トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー)と、TTR遺伝子の変異を伴わず発症する野生型ATTRアミロイドーシス(wtATTR)の2種類があります。
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの概要
世界中で約50,000人が罹患していると推定されており、それ以外にも多くの人が未診断または誤診されている現状です。
常染色体顕性疾患であるため、両親のうちのどちらか一方から遺伝する可能性があります。
120種類以上のTTR遺伝子変異の1つによって引き起こされ、日本人のほか、ポルトガル系、スウェーデン系、アフリカ系、アイルランド系の人に多く見られます。
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの体内の様子
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは、TTR遺伝子の変異が原因で起こる遺伝性の進行性疾患です。
この遺伝子変異により、主に肝臓で作られ、ビタミンAを輸送する働きを担うTTRタンパク質が通常と異なる形に変形してしまいます。
変形したTTRタンパク質は、神経、心臓、消化器系を含む全身にアミロイド沈着物として集まります。
これらのアミロイド沈着物は時間の経過とともに蓄積し、症状を引き起こします。
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの症状は?
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーには様々な症状があり、神経、心臓、消化器系など、体内の複数の部位に影響を及ぼします。
感覚、運動、筋力、消化器系、その他の身体機能に影響を与える神経損傷は、ポリニューロパチーと呼ばれることがあります。
これは、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの患者さんが経験する症状の全てではありません。患者さんごとに症状は異なり、これらの症状をすべて経験しない場合もあれば、同時には発症しない場合もあります。トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの症状は、時間の経過とともに悪化することがあります。トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの症状が疑われる場合は、医師に相談してください。
手・足・腕・脚の神経に関連する症状
- ピリピリする
- しびれ
- 手根管症候群
- 焼けるような痛み
- 温度に対する感度の低下
- 運動制御の低下
- 脱力感
心臓に関連する症状
- 疲労感
- めまい
- 息切れ
- 脚のむくみ(浮腫)
消化器系およびその他の身体機能に関連する症状
- 再発性尿路感染症(UTIs)
- 異常な発汗
- 立ち上がるとめまいがする
- 性機能障害
- 嘔気・嘔吐
- 下痢
- 重度の便秘
- 意図しない体重減少
その他の症状
- 緑内障
- 視界がぼやける、視界に斑点が見える
- 飛蚊症(眼球の浮遊感)
- 認知症の悪化
- 脳梗塞様症状
- 腎機能障害