ブログ一覧

オキアミの食性論文

博士課程2年のZhouさんの論文がFrontiers in Marine Science誌に掲載されました。

Zhou F , Hirai J , Hamasaki K, Horii S, Tsuda A (2021) Feeding ecology of three euphausiid species in the North Pacific Ocean inferred from 18S V9 metabarcoding and stable isotope analysis. Frontiers in Marine Science,

北太平洋のカリフォルニア海流、亜熱帯循環のオキアミの群集構造を調べ、優占種に着目したメタバーコーディング・安定同位体を用いた食性解析を行っています。貧栄養の亜熱帯域におけるオキアミ食性の研究例は特に少なく、貴重な知見になります。オープンアクセスなので興味のある方は論文をご覧ください。

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmars.2021.756067/abstract

2021年10月13日

シンポジウムの開催

助教の平井です。9/20にシンポジウム「次世代プランクトン研究を開拓する新技術・方法論」をオンラインで開催しました。プランクトン研究は古くから行われていますが、顕微鏡観察による形態分類など、伝統的な手法は高度な専門知識や労力が必要となります。そこで近年導入されつつある研究技術を紹介してもらい、プランクトン研究にブレイクスルーを起こせないか・・・というのがシンポジウムの趣旨です。トピックは画像解析、遺伝子解析、モデル、安定同位体、センサーなど多岐にわたり、主催した自分自身も大変勉強になりました。画像解析付きのフロートであったり、すでに技術の融合も進んでいるようです。また、伊藤さんの「プランクトン研究にもっとモデルを!」の言葉は大変印象的でした。専門分野はどんどん細分化していきますが、広い視野をもったり、これまでの学会の枠組みに捕らわれないことは重要ですね。個人的には遺伝子解析を使った動物プランクトンの発表をしましが、このシンポジウムを機に新たなコラボレーションも生まれそうです。日本では分子生物学的手法の導入が遅れていますが、もう少し広まるように頑張りたいと思います。今回このシンポジウムのきっかけを与えてくれた鹿児島大学の小針さん、また時には100名近くと参加してくれた皆さん、また何より話題提供してくれた発表者の皆さんには感謝です。決して新しい技術だけがいいという訳ではないですが、新技術を使うことでこれまで見えなかったことが見えるのも事実です。最後の総合討論でも議論がありましたが、今後も総説やワークショップの開催、またさらにパワーアップして同様のシンポジウムを開催できればいいなと思います。

・発表題目


- 海洋生物遺伝子情報の自動取得に向けた基盤技術の開 濵﨑恒二(東京大学大気海洋研究所)
-プランクトン自動画像解析技術の現状 北島 聡(水産研究・教育機構)
-分子生物学的手法を用いた動物プランクトンの多様性研究 平井惇也(東京大学大気海洋研究所)
- 安定同位体比で食物連鎖を紐解く 野口真希(海洋研究開発機構)
-一般化線形モデルを使った動物プランクトンの分布生態研究-サンマとその餌となるプランクトンを例に- 宮本洋臣(水産研究・教育機構)
-プランクトン群集とtrait-based modeling 伊藤幸彦(東京大学大気海洋研究所)
-分子手法を用いた海洋植物プランクトン生態系の評価 遠藤 寿(京都大学化学研究所附属バイオインフォマティクスセンター)
-アルゴフロートを利用したプランクトンの生態学的研究 藤木徹一(海洋研究開発機構)
-遺伝子発現解析によるプランクトンの生理・生態学的研究 大西拓也(水産研究・教育機構)
-動物プランクトン生産力を評価する生化学的アプローチ:タンパク質合成酵素活性 小針 統(鹿児島大学水産学部)

2021年09月21日

学会発表

毎年の事ですが、9月は学会ラッシュです。浮遊生物分野は人により所属学会も異なりますが、多くの人は日本海洋学会や日本プランクトン学会で発表を行ってます。国際学会だとPICESやAquatic/Ocean Science Meetingでしょうか。私平井も今年は久々に一般講演での発表も行いました。シンポジウムを併せると一週間で4件の発表なので少しきつかったですが、オンラインながらもフィードバックをもらえました。やはり学会発表は大事だし、自分の考えもまとまります。昨年は自分が運営だったり、2〜3年前は在外研究で日本にいなかったりと、よく考えたら本当に久しぶりの国内の学会発表でした。

• 平井惇也,宮正樹,藤木徹一,吉田聡,乙坂重嘉,帰山秀樹,加古真一郎,片岡智哉,松岡大祐,日高弥子,杉山大祐,小嶌不二夫,海洋学会将来構想2021: 新たな手法と問題,日本海洋学会創立80周年記念シンポジウム -日本の海洋学の今とこれから-,オンライン開催,9月,(2021)
• 平井惇也・片倉靖次・長井 敏,ウイルス存在下におけるカイアシ類Pseudocalanus newmaniの網羅的遺伝子発現解析, 日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会, オンライン開催, 9月, (2021)
• 平井惇也・片倉靖次・長井 敏, 浮遊性カイアシ類Pseudocalanus newmaniから検出された2種のウイルスの生態学的挙動, 日本海洋学会秋季大会, オンライン開催, 9月, (2021)
• 平井惇也, 分子生物学的手法を用いた動物プランクトンの多様性研究, 日本プランクトン学会シンポジウム「次世代プランクトン研究を開拓する新技術・方法論」, オンライン開催, 9月, (2021)

海洋将来構想は近日中に海の研究に論文も掲載予定です。また、シンポジウムは拡大要旨集として来年初めの日本プランクトン学会報に掲載される予定です。ウイルス研究もだんだんと成果がでてきたので、早く論文化できればと思っています。

平井

2021年09月19日

成果報告会

半年に一度の成果報告会も行いました。今回は感染症対策をしっかりとした上での対面開催で、丸一日使いこの半年の研究成果や今後の展開について全員が発表し、議論を行いました。発表は学生は10-20分ですが、人によっては議論が盛り上がって質問時間が30分を超えることも。久々に一日かけて研究の深い話をして疲れましたが、非常に有意義な議論が出来たと感じます。学会もそうですが、やはり定期的に研究成果をまとめ、周りからのフィードバックをもらうことは大事です。以前は成果報告後に打ち上げを行うのが定番でしたが、流石に今回は打ち上げなしで。この夏は恒例のバーベキューも出来ず終いです。成果報告とは別に飲みの席でも研究の話は盛り上げるし、意外と話してるときに良い発想であったりアイデアは生まれるものです。以前としてコロナの影響は大きいですが、この状況下でも研究活動はなんとか維持できていることには感謝しなくてはいけません。。

2021年08月19日

2020年度日本古生物学会論文賞

博士課程の一戸さんの共著論文が2020年度日本古生物学会論文賞を受賞しました。

おめでとうございます。


受賞論文

Shiino, Y., Kurihara, T., Ichinohe, R., Kishimoto, N., Yoshino, T. and Matsuoka, A (2020) A Morphological Analysis of the Flat-Shaped Spumellarian Radiolarian Dictyocoryne: Morpho-Functional Insights into Planktonic Mode of Life. Paleontological Research, 24(2), 134-146.

下記日本古生物学会HP
http://www.palaeo-soc-japan.jp/awards/

2021年07月14日