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人類未到のマントル物質。けれども人が暮らす地表で、かつてマントルを成していた岩石を見ることのできる場所があります。アラビア半島の東端に位置するオマーンがその1つで、オフィオライトと呼ばれる過去の海洋プレートが丸ごと陸に上がってきた岩体があり、その最も下層にかつてのマントルの一部を見つけることができます。
オマーン陸上掘削はICDP(国際陸上科学掘削計画)のもとで、2016年12月から2018年3月にかけて行われた国際プロジェクトで、オマーンオフィオライト複数地点で掘削が実施されました。JAMSTECを含む日本チームもこのプロジェクトに参加しています。
オマーン陸上掘削では様々な科学目的が設定されていますが、日本チームが目指すのは「モホロビチッチ不連続(モホ面)の実態解明」です。モホ面とは地球内部で地震波速度が急激に変化する場所で、地殻とマントルの境界に相当する場であると考えられています。しかし、このモホ面が実際にどのような物質でできているのかはよく分かっていません。オマーンオフィオライトには、かつての海洋地殻-マントル境界と考えられている岩体も含まれます。今回の掘削では、このモホ面に相当すると考えられる連続コアの採取に成功しました。
※(注記)プロジェクト全体の概要や状況はリンク先に掲載されています(外部サイト)
Oman Drilling Projectメインサイト(英語)
フェイスブック(英語)
ツイッター(英語)
ツイッター(日本語版)
ICDP内のページ(英語)
オマーンオフィオライトは1980年代以降、海洋プレートのアナログとしての研究が盛んで、広域にわたり詳細な野外調査が行われています。しかし、地表に露出した岩石だけでは風化などによる変質の影響からは逃れられず、地下深部の掘削による研究が重要といえます。
最近のJAMSTECによる野外調査
2014年12月〜2015年1月:オマーンオフィオライト北部地域
2015年12月〜2016年1月:オマーンオフィオライト北部・南部地域
2017年3月:オマーンオフィオライト南部地域(掘削サイト選定)
2017年11月:オマーンオフィオライト南部地域(掘削サイト周辺)
掘削コアはその後、IODP(国際深海科学掘削計画)で使用されている地球深部探査船「ちきゅう」のラボを利用して詳細な記載が行われました。「ちきゅう」では実際のマントル掘削も計画されていますが、今回はマントルの「硬い岩石」に挑む上での貴重な前哨戦ともなりました。