高橋 栄一(Eiichi Takahashi)先生
・受賞理由/Commendation
実験岩石学に基づいた地球のマグマ生成と深部ダイナミクスの理解に対する顕著な貢献により
For outstanding contributions to understanding of the magma genesis and the dynamics of deep interior in the Earth based on experimental petrology
・経歴
1979年5月―1981年3月 米国 カーネギー財団 特別研究員
1981年3月-1985年3月 岡山大学温泉研究所 助手
1985年4月-1989年8月 岡山大学地球内部研究センター(改組)助手
1989年9月-1994年6月 東京工業大学理学部 助教授
1994年7月〜2017年3月 東京工業大学理学部 教授
2009年4月〜2013年3月 東京工業大学 評議員
2013年4月〜2017年3月 東京工業大学附属図書館長
2017年4月〜(5か年) 中国科学院・広州地球化学研究所 教授
・主要論文
Takahashi, E. (1980) Thermal history of lherzolite xenoliths-1. Petrology of lherzolite xenoliths from the Ichinomegata crater, Oga peninsula, northeast Japan, Geochim Cosmochim Acta, 44, 1643-1658.
Takahashi, E., and Kushiro, I. (1983) Melting of a dry peridotite at high pressures and basalt magma genesis, Amer. Mineral., 68, 859-879, 1983.
Takahashi, E. (1986) Melting of a dry peridotite KLB-1 up to 14 GPa: implications on the origin of peridotite upper mantle, J. Geophys. Res., 91, 9367-9382.
Takahashi, E. (1990) Speculation on the Archean mantle: missing link between komatiite and depleted garnet peridotite, J. Geophys. Res., 95, 15941-15954.
Takahashi, E., Nakajima, K., and Wright, T.L. (1998) Origin of the Columbia River basalts: melting model of a heterogeneous plume head, Earth Planet. Sci. Lett., 162, 63-80.
・主な業績
高橋栄一氏は、実験岩石学的手法に基づく研究を通じて地球のマグマ生成と深部ダイナミクスの理解に大きく貢献した。常圧炉、ガス圧装置、ピストンシリンダー装置、マルチアンビル装置を駆使することにより、地殻のマグマだまりから下部マントルにいたる幅広い条件での高温高圧実験を行い、中央海嶺玄武岩やコマチアイトの生成条件を明らかにしたほか、日本列島の火山深部プロセス、ホットスポットにおけるマグマ生成のメカニズム、初期地球におけるマグマオーシャンの役割の解明に大きな貢献をした。これに加え、日米合同チームを組織しハワイ諸島の火山の海底部分に関する研究を推進し、新学術領域研究「地殻流体」のリーダーとして物理観測と物質科学的研究をたばね地殻流体の存在と役割の理解を深化させるなど、学際的組織形成にも大きな貢献をした。
・推薦者
西原 遊