日本地球惑星科学連合30周年記念及び感謝状贈呈について
2020年は,日本地球惑星科学連合(JpGU)の前身である,地球惑星科学関連学会合同大会の第1回目が開催されてから30周年の記念すべき年でした.現在のJpGUがあるのも,第1回合同大会の開催を実現に導き,その後もそれを毎年継続することにご尽力いただいた方々がいらっしゃったお陰であることを,私たちは忘れてはなりません.そこで,日本地球惑星科学連合30周年記念を祝うとともに,第1回合同大会の開催とその継続等にご尽力いただいた8名の方々に,30周年を記念して感謝状をお贈りしたいということになりました.しかし,2020年大会は,残念ながら新型コロナウイルスの影響で贈呈式ができませんでしたので,2021年大会であらためて感謝状の贈呈をさせていただくことになりました.
以下で,日本地球惑星科学連合30年の歴史と8名の方々のご貢献についてごく簡単にご説明いたします.日本地球惑星科学連合の詳しい歴史については,こちらをご参照ください.
1989年「地球物理学に関連する諸学会の春季大会を同時に同じ場所で開催することについての提案」及び「学会間の連絡組織の提案」が,地球電磁気・地球惑星圏学会及び地震学会から6学会に向けて呼びかけられました.この時の学会長を務められていたのが,それぞれ行武毅先生と安藤雅孝先生でした.
これを受け,翌1990年に,5学会が参加して記念すべき第1回地球惑星科学関連学会合同大会が東工大で開催されます.このときの大会委員長は河野長先生,プログラム委員長は本蔵義守先生でした.この年には,国際地球物理金沢会議(1990 Western Paci.c Geophysical Meeting; 1990WPGM)が開催されました.また,地球惑星科学関連学会連絡会も設立されました.連絡会設立の呼びかけ人となったのが石橋克彦先生,また連絡会事務局長をその後10年間にわたって務められたのが本蔵先生でした.これが,現在のJpGUにつながっていくことになるため,この年,1990年が,JpGUにとって記念すべきすべての始まりの年であると位置づけることができます.
これを翌年以降も継続するという合意形成を主導し,第2回合同大会の大会実行委員長を務められたのが,石橋先生でした.その後,1998年には地球物理関連学会長等懇談会が発足します.この時の発起人代表は,河野先生でした.
合同大会は毎年大学持ち回りで開催されましたが,2001年大会の運営を引き受ける大学がなくなるという,最大の危機が訪れました.このとき,合同大会運営機構を設立することによって,その窮地を救ったのが,浜野洋三先生でした.そして,新しい事務局を立ち上げ,合同大会からその後の連合大会の運営の基盤をつくり,事務局長として献身的に支えていただいたのが,谷上美穂子さんです.
そして,2005年には日本学術会議の大改革がありました.それまで200以上あった研究連絡委員会,いわゆる研連を廃止して,30の分野別委員会に統廃合することで,10以上の研連に分かれていた地球惑星科学分野は地球惑星科学委員会に一本化されました.このときの第19期日本学術会議会員だった西田篤弘先生から,運営機構代表の浜野先生に対し,学会側の受け皿も一本化できないかという要請があり,関連学会間で何回も議論を重ねた後,合同大会運営機構を発展的に解消することによって,2005年に日本地球惑星科学連合の設立が実現しました.浜野先生は,運営機構設立から連合設立後まで通算8年にわたって代表を務められました.また,谷上さんは,運営機構設立から15年にわたって事務局長を務められました.
その後,2014年には,西田先生からのご寄付に基づき,地球惑星科学振興西田賞が創設され,地球惑星科学分野全体の若手研究者の励みになっていることはご承知の通りです.
こうしたJpGUの歴史を振り返り,とくに大事な局面で多大な貢献をされた方々に感謝の気持ちを表したい,というのが本感謝状の趣旨であり,以上が感謝状をお送りする8名の方々のご貢献です.
現在の日本地球惑星科学連合の発展は,決して自然のなりゆきによるものではなく,こうした方々の多大なご貢献に加えて,他の多くの方々のご尽力の賜物であることを,ぜひこうした機会に思い出し,感謝することができればと思います.
会長 田近英一