高性能光学センサ(ASTER)衛星画像による
西之島火山2013年噴火の観測
平成25年12月18日火山噴火予知連絡会報告
ASTER衛星画像による緊急観測結果
産総研は宇宙システム開発推進機構(JSS、http://www.jspacesystems.or.jp/)と協力し、西之島火山2013年噴火に対応して、高性能光学センサ(ASTER)を用いた緊急観測を継続しています。その結果、図1の通り、12月16日に観測された西之島南東沖の新しい島の最高温度は104.4°Cとなり、最高温度を更新したことが分かりました。西之島の噴火活動は依然活発な状態であり、溶岩流出に伴う高温域を拡大させていると考えられます。
図1 2013年11月30日以降に観測された西之島付近のASTER 熱赤外(TIR)画像
明るいほど温度が高いことを示す。明るい点が新島の高温部部分と思われる。高温部分の最高温度は11月30日の観測では74.0°C、12月12日の観測では70.5°C、12月16日の観測では104.4°Cであった。ASTER ×ばつ90m(ピクセル)の平均地表温度を観測しており、その最高温度は、噴出したばかりの高温の溶岩と周囲の冷却された溶岩等との平均温度を示すと考えられる。噴火活動が低下すれば最高温度は低下するはずであることから、最高温度の更新は溶岩流出に伴う高温域の拡大を示唆する。黒い部分は雲と思われる。これらの画像は図2に示す可視-近赤外画像と同じ範囲。
また、可視-近赤外(VNIR)画像から、図2の通り、11月30日から12月16日までに新島の面積が増加していることが分かります。
図2 噴火前(2000年9月7日)と噴火中に観測された西之島付近のASTER VNIR画像
図2 噴火前(2000年9月7日)と噴火中に観測された西之島付近のASTER VNIR画像
赤く見えるのは西之島、新島は白く縁取られた黒い部分、各画像の右上の四角内は新島の拡大画像、青く見えるのは噴火活動に伴う変色海水、白く見えるのは雲である。
関連情報
産総研では、火山衛星画像データベース(https://gbank.gsj.jp/vsidb/image/Nishino-Zima/aster_p1.html)で西之島のASTER時系列画像を公開しています。また、産総研と宇宙システム開発推進機構はASTERを用いた観測を継続する予定です。
(このページの内容は平成25年12月18日火山噴火予知連絡会に報告した資料をもとに、web掲載用に文章表現を若干変更しています。)
地質情報研究部門 情報地質研究グループ 浦井 稔
作成日:2013年12月20日
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