プレート境界付近に存在する水は地震後も高い圧力を保持 〜水は南海トラフ巨大地震と深く関係〜
2020年8月4日
産業技術総合研究所
アメリカ地質調査所
東京大学 大気海洋研究所
東京海洋大学
国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 石村 和彦】活断層・火山研究部門【研究部門長 伊藤 順一】地質変動研究グループ 大坪 誠 主任研究員、地質情報研究部門【研究部門長 荒井 晃作】地球物理研究グループ 宮川 歩夢 主任研究員は、アメリカ地質調査所 Jeanne Hardebeck博士、国立大学法人 東京大学【総長 五神 真】大気海洋研究所【所長 河村 知彦】 山口 飛鳥 准教授、国立大学法人 東京海洋大学【学長 竹内 俊郎】 木村 学 特任教授と共同で、宮崎県延岡衝上断層の露頭の調査・解析により、深さ約8kmにあるプレート境界付近に存在する水は地震後に岩石に亀裂が形成されてもほとんど減少せず、高い圧力を保持しながら蓄積され続ける可能性を見いだした。
プレートの境界付近に存在する水圧の上昇は地震に直接繋がることが知られている。ひとたび地震が起こると、岩石に形成される亀裂を通じた排水でプレート境界付近の水圧が低下し、その後、亀裂が閉じると水圧が徐々に上昇すると考えられる。再び水圧が上昇するまでに一定の時間がかかるが、地震後に下がる水圧の実際の変化量や、次の地震に向けて再び水圧が上昇するまでの時間はよく分かっていなかった。今回、地下深部の水圧の時間変化を精緻に計算しモデル化した結果、地震後の水圧は従来のモデルよりも減少しておらず、その後、時間をかけて上昇することが明らかになった。この成果は巨大地震の発生予測におけるプレート境界付近の水圧状態の長期モニタリングの重要性とその調査の枠組みを示すものといえる。
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