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「つぐみに対して戦ってしまった」平常心失った姉のめぐみ 明暗分かれた深澤ツインズ 5位SAGA久光スプリングスが8位東レアローズ滋賀に苦杯【SVリーグ女子】

だいやまーくバレーボール・大同生命SVリーグ女子 SAGA久光スプリングス1―3東レアローズ滋賀(15日、滋賀・YMITアリーナ)

5位のSAGA久光が8位の東レ滋賀に20―25、24―26、25―23、17―25で敗れた。連勝が2でストップしたSAGA久光は通算19勝12敗で、4連勝の東レ滋賀は同17勝14敗。両チームともに順位は変わらなかった。

大阪マーヴェラスやヴィクトリーナ姫路といった上位との対決が続いていたSAGA久光にとって、今回は順位が下のチームとの対戦だった。しかも、この日の東レ滋賀はリーグで総得点ランキングトップ(716得点)を独走するヌワカロールをコンディション不良で欠いていた。勝負ごとに「絶対」は禁物ながら、SAGA久光が優位に試合を進めてもおかしくなかった。その出はなをくじくように、第1セット、最初の1点を東レ滋賀がアタックで挙げた。

この「1点」がSAGA久光の若きスパイカー、深澤めぐみ(21)の平常心を奪った。東レ滋賀の得点者は双子の妹、つぐみだったからだ。

「最初につぐみに決められて...負けたくないなと」

第1セット、スパイクを放つSAGA久光の深澤めぐみ(撮影・永田浩)

ネットを挟んでお互いにスタメンで同じコートに立ったのは、就実高(岡山)から久光(現SAGA久光)と東レ(現東レ滋賀)にそれぞれ入団して初めてだったという。「正直、自分で意識をしすぎたなと。東レアローズ滋賀さんとやっているはずなのに、つぐみに対して戦ってしまった」。めぐみが唇をかみしめた。余計な力が入ったのか、持ち味の決定打をなかなか繰り出せない。サーブレシーブでも苦しみ、2セット目から北窓絢音(20)と交代。結局、この試合は7打数無得点に終わった。

逆に、つぐみはアタックで両チーム最多の22得点(54打数)の活躍。「点を取るのはシッソ(ヌワカロールの愛称)だけではなくて、自分自身の役割。ディフェンス力でみんなに比べて劣る分、私は攻撃で点を取るんだと言い聞かせていました」。21歳の若さで今季からキャプテンを務める、つぐみはシンプルな思考でボールに集中して役割を全うした。この姿がチームメートに波及。サーバーが狙ったエリアやターゲットを攻め抜くゲームプランを完遂した。「東レ(滋賀)は外国人選手頼みではないんだと、証明したかった」。つぐみとレフト対角を組んだハードヒッターの谷島里咲(19)は14得点(35打数)のアタックだけでなく、後衛時には体を張ったスパイクレシーブでも奮闘。ラリー中での攻撃の起点となるなど躍動し、2000人近い観客(1978人)を沸かせた。

「SAGA久光対東レ(滋賀)さんなのに、本当に何をしてしまったのか...」

敗戦後、気持ちを落ち着かせて、記者会見に臨んだめぐみは反省しきりだった。ピュアで真っすぐな性格は、めぐみの長所でもある。一本立ちが期待された高卒2シーズン目の昨季(2023〜24年シーズン)はコンディションが整わなかったことなどもあり、コートに立つどころか、ユニホームを着られない期間も長かった。その苦難を時期に、めぐみを励ましたのが、つぐみだった。小中高と苦楽をともにしてきた妹にも支えられ、今季はレフト側からの攻撃を担う得点源の一人として存在感を発揮。総得点の361得点は、ステファニー・サムディ(26)の563得点に次いでチームで2番目に多い。

「それぞれの頑張りがあったのかなと...。私の中で(この試合は)いい評価ができないんですが、同じコートに(つぐみと)立てたのは良かったと思います。彼女もいろんなことに苦しんで頑張ってきて、本当に成長しているなと感じました。負けられないなと」

ネット越しに対峙(たいじ)してあらためて感じた思いをめぐみは明かした。一方のつぐみも冷静な口調の中に熱い感情を込めた。「同じ『上』を目指すプレーヤー、一番近いプレーヤーとして、やってきたことを『見せる』ではありませんが、私は『ここまでできるようになっているよ』と、お互いにいい刺激を与えられるチャンスなので...。明日も絶対に勝ちます」。ユニホームは違っても、リスペクトし、心を通わせる深澤姉妹の切磋琢磨(せっさたくま)はSVリーグ女子の見どころの一つになる。

SAGA久光のスターティングメンバー(第1セット)は、深澤めぐみ(21)、グレタ・ザックマリー(33)、栄絵里香(33)、ステファニー・サムディ(26)、渡邊彩(33)、荒木彩花(23)、リベロ・西村弥菜美(24)。

東レ滋賀に敗れ、肩を落とす深澤めぐみ(手前の左から2人目)らSAGA久光の選手たち(撮影・永田浩)

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西口 憲一

西口 憲一

編集委員

立命館大学でアメリカンフットボールに打ち込み、「人の心を動かし、心に残るような記事を書きたい」とスポーツ記者を志しました。 1993年西日本新聞社入社。 運動部からスタートし、以来、福岡→大分→福岡→東京→福岡→東京→福岡。 主にプロ野球(ダイエー、ソフトバンク、西武)やソフトボールを取材。1999年ダイエー初優勝、2008年北京と2021年東京の両五輪でのソフトボール金メダル獲得に心が震えました。 現在はバレーボールSVリーグ女子のSAGA久光スプリングスの記事も書いています。福岡市出身。

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