ANAの航空機「爆買い」のウラで傘下のLCCが低空飛行...懸念される「バニラエア撤退」の二の舞
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ANAグループは、一度の発注機数としては過去最多となる最大77機を発注する。その総額はカタログ価格換算で約2兆円にも上る。その狙いはどこにあるのか。初導入のエンブラエルE190-E2、ボーイング787-9の追加に続く、注目&疑問ポイントとは?(ライター 前林広樹)
LCCピーチがA321XLRを導入
バリ島やプーケットに路線開設か?
ANAの過去最多77機・2兆円規模の航空機購入で、ブラジルの航空機メーカー・エンブラエルの小型機を初めて導入することが注目されている。一方、筆者が今回の爆買いで最大のポイントと考えているのが、ANAグループのLCC(格安航空)Peach(ピーチ)が、エアバスA321XLRを導入することだ。
2024年にデビューしたばかりのA321XLRは、150〜200席程度と採算を取りやすい小型機シリーズでありながら、約8700kmの航続距離があるのが特徴。今までボーイング787などの中型機だと採算が取りにくかった路線を開設できることから、特に北米〜西欧路線を飛ばすエアラインから注文が殺到している。例えば、スペインのイベリア航空は、マドリード〜ボストン路線の開設に同機を活用した。
ピーチの主力機材であるエアバスA320ceoシリーズでは、東京(成田空港)からの航続距離は安全性なども考慮するとベトナムやフィリピンが限界だ。すでに導入しているA321LRでも同様に、大阪(関西空港)からタイのバンコクやシンガポールくらいにしか飛ばしていない。
しかし、A321XLRなら東南アジアの全域はおろか、オーストラリアやインドも到達範囲になる。そのため、バリ島(インドネシア)やプーケット(タイ)、ペナン島(マレーシア)などの人気リゾート地への路線開設が期待される。あるいは、意外とLCCが飛んでおらず航空運賃が高くなりがちなインド路線や、オーストラリア北部(ケアンズやブリスベンなど)路線の可能性もありそうだ。
また、関空と成田を主要拠点とするピーチが、新たに札幌(新千歳空港)〜バンコクなどに参入することも考えられるだろう。こうなると、ANAグループ全体の戦略、30年度に向けた経営ビジョンにも関わってくると言える。
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