楽天の「救世主」は誰?日本郵政、みずほに続き三木谷総帥がすがる新スポンサー候補
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すでに楽天グループの財務は危機的な水準に達している。銀行借り入れや社債の発行といった有利子負債での調達は限界に達しており、資本の増強は待ったなし。正念場は、楽天銀行や楽天証券ホールディングスの「上場の先」にやって来る。果たして、楽天を救うのは誰なのか。特集『楽天 解体の序章』(全6回)の#5では、財務危機に陥った楽天救済のシナリオを検証する。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
楽天銀行IPOの遅れが
「高利の借金」の背景か
間違いなくブリッジローン(つなぎ融資)だろう――。
多くの金融関係者は、楽天グループ(以下、楽天)が追い込まれた苦境を見透かしている。同社が11月30日に発行した利率10.25%のドル建て社債のことだ。
年限2年で、調達額は5億ドル(約700億円)。割引率を考慮した実質年利12%という高利回りの低格付け債だ。米国市場が利上げに向かう中、わずか2年の返済期限の調達を急がなければならなかったのは、金融子会社の楽天銀行の上場スケジュールが狂ったからだとみられる。
本来、楽天銀行は7月4日に上場申請して当初は12月にも上場する予定だった。市場環境が悪化したことに加え、一時はもてはやされていた、ネット銀行の市場評価が芳しくなくなったため年内上場が見送られたようだ。追い込まれた楽天は、金融子会社上場までの"つなぎ"として「高利の借金」に手を出したということだろう。
11月の楽天の決算説明会では、三木谷浩史会長兼社長が冒頭説明の後、最高財務責任者(CFO)の廣瀬研二副社長に席を譲り、財務戦略に絞って説明する時間をあえて設けた。
端的に言えば、楽天にとっての喫緊の課題は一つに収れんされる。「今後も携帯電話事業の設備投資と営業活動に必要な巨額の資金をどのように確保していくのか」ということだ。
その課題に対して廣瀬氏が挙げた手段は二つあった。まずは「今後の設備投資の減少」だ。必要な資金が小さくなれば借金地獄から逃れられるというわけだ。もう一つは「有利子負債ばかりに頼らず、資本性の資金や資産売却を含めて多様な手段で必要資金を確保していく」ということだ。楽天銀行や、楽天証券ホールディングス(HD)のIPO(新規株式上場)がこれにあたる。
だがこの二つの解決手段の実効性を鑑みると、楽天の苦しい台所事情を取り仕切るCFOの説明としては物足りない。
次ページでは、楽天が陥っている財務危機の構造に正面から切り込む。そして近い将来、楽天が必要になるであろう「スポンサーの正体」についても明かす。
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