マクドナルド、28カ月連続の増収を叶えた「世界最高の人材育成」の仕組み
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日本マクドナルドの業績が好調です。コロナ禍の20年7月から22年10月現在まで、なんと28カ月連続で既存店売上高が前年実績を上回る記録を出しています。"巣ごもり需要"をきっかけにテイクアウト、デリバリー、モバイルオーダーの売り上げが伸びたことが主な要因とされています。しかし、売り上げを現場で支えたのは約19万人ものクルーであり、そうしたクルーの成長を促す世界最高水準の育成システム「ハンバーガー大学」です。マクドナルドでは、どんな育成が行われているのでしょうか。同社の好調な業績を支える育成システムをひもといていきます。(グロービス・デジタル・プラットフォーム マネージャー 太田昂志)
王者マクドナルドの原動力は
企業内大学「ハンバーガー大学」にある
マクドナルドの育成システムを語る上で欠かせないのが、企業内大学「ハンバーガー大学」の存在です。
企業内大学とは、企業内に設置された教育機関のことを言います。その先駆けとして名高いのは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)のクロトンビル(正式名称はジョン・F・ウェルチ・リーダーシップ開発研究所)です。クロトンビルは1956年に世界初の企業内ビジネススクールとして誕生。企業内人材育成に従事する人々からは「人材開発の聖地」とも呼ばれています。
そのクロトンビルと双璧をなすのが、「ハンバーガー大学」です。ハンバーガー大学は、1961年に米国で創設され、現在は世界8校(米国、日本、イギリス、ドイツ、オーストラリア、ブラジル、中国、南アフリカ)に展開されています。
日本のハンバーガー大学はその中でも2番目に古い歴史を持っており、その開校は1971年6月のこと。なんと、マクドナルドの国内第1号店である銀座店(東京銀座三越1階)のオープンよりも1カ月前に開校しているのです。国内初となる店舗の開店前に、すでに企業内大学が開校していた事実からは、人材育成を何よりも重要視するマクドナルドの哲学がうかがえます。
日本のハンバーガー大学で学ぶのは、正社員だけではありません。全国の店舗で働くクルー(店舗で働くアルバイトスタッフ)も受講し、年間約1万人が卒業しています。店舗営業時間内の責任を担う「シフトマネージャー」、ピープル・サービス・フードクオリティーそれぞれを担う「デパートメントマネージャー」、そして店舗の責任者である「店長」など、段階別に教育カリキュラムが組まれています。
では、ハンバーガー大学ではどんな内容が学べるのでしょうか。
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