東京五輪が教えてくれた、機械と楽しむ新しいスポーツのあり方
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オリンピック・パラリンピックイヤーだった2021年。マイクロソフトやグーグルでエンジニアとして活躍し、現在は複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏は、東京2020大会をどのように見ていたのか。"一大プロダクト"としての2020大会の姿から、今後のオリンピック・パラリンピックのあり方、そしてスポーツ自体のこれからについて及川氏が語る。
ハコモノ的オリンピックの
誘致・開発のあり方には疑問が残る
間もなく暮れようとする2021年。今年は、東京2020オリンピック・パラリンピック大会が1年の延期を経て、ようやく開催されたオリンピックイヤーでもありました。
実は私は誘致の時点から、東京オリンピックの開催にはあまり賛成ではありませんでした。東京に限らず、ハコモノ行政的なオリンピックの誘致・開催の後、施設の再利用などで悩んでいる都市が多いことが、その理由の1つです。
V字回復を狙って大きめの投資を行ったものの、それが逆に足かせになるというのは企業でもよくある話です。技術的に優秀な企業が、ハイスペックな製品製造のために工場へ多大な投資を行った結果、その投資が重荷となって買収されるというような話は枚挙に暇がありません。
東京オリンピックについても、日本経済のために良かれと思って投資したことが、後に致命傷にならなければよいのだがと危惧しています。また、公共事業でハコモノさえ作ればあとはどうにかなるという考え方が、現代の人口減少社会で本当に必要なのかも疑問に感じるところです。
新型コロナウイルスによるパンデミックの中、政府の意思がなかなか定まらなかったことなども少し残念でした。早めにオリンピックに対するビジョンを設定し直して、コロナ下でのやり方を考えれば、いかようにもなったのではないかとは思います。アスリートの方にはもちろん何の罪もありませんが、従来のやり方をできるだけ踏襲しようとしたことは、ギリギリのとろでうまくいったとは言え、あまり好ましいやり方ではないと感じました。
しかし、いざ開催が決まってからは、私も「これはこれで楽しもう」と考えるようになりました。知人もボランティアに参加していましたし、私自身もスケジュールに無理がなければ、ボランティアに参加してもいいぐらいの気持ちになっていました。
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