withコロナ時代のビジネスは「世界は元に戻らない」が大前提になる
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「新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着いても、世界は元には戻らない――」。こう語るのはエンジニアとしてマイクロソフトやグーグルで活躍し、現在は複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏だ。「withコロナ」時代、変わる世界で私たちはどう生きればよいのか。及川氏が提言する。
コロナとの共存時代に
世界の風景はこれまでと全く変わる
前回の記事(「『直接会えば仕事が進む』とテレワークを嫌がる旧来型社員の幻想」)で、新型コロナウイルスの感染拡大により仕事の進め方、オンラインとオフラインの捉え方が変わったと書きました。1カ月後の現在、感染爆発は免れているものの、対面で会うことはいよいよ命懸けになり、依然として会うこと、アナログ、オフラインを避ける流れになっています。
私はコロナ禍が今後落ち着いたとしても、終わりになる、つまり「アフターコロナ」になるとは考えていません。4月14日にハーバード大学の科学者たちが発表した予測では、新型コロナウイルスによる医療崩壊を防ぐためには一度だけの対策ではなく、2022年まで断続的なソーシャル・ディスタンシング期間が必要になるとされています。今のような状態がずっと続くかどうかは分かりませんが、少なくとも元に戻ることはなく「ウィズ(with)コロナ」、コロナとの共存の時代になるでしょう。
Airbnbの共同創業者でCEOのBrian Chesky氏は、社員解雇に際してのメッセージで「旅行が世界に戻ってきたとしても、それは元の旅行とは違って見えるだろう」「Airbnbのビジネスはいずれ完全に戻ると信じているが、今回の変化は一時的なものでも短期的なものでもない」と述べています。また、日本電産会長の永守重信氏はNHKのインタビューに答えて「世界中が完全に平穏になるのは3年くらいかかる。簡単に終息して終わるとは思えない。終わった後はまったく景色が変わる」と発言しています。
さすがに、新型コロナ感染症の影響が終息した後の世界を簡単に語る人は少なくなったように思いますが、まだ他人事のように考えている人もいるようです。そこで次のように考えてみれば、分かりやすいかもしれません。
飲食業や旅行業は顕著にインパクトを受け、コロナ禍がある程度収束しても、飲食店に100%客が戻ってくることはなく、旅行する人もかなり減ると思われます。それが、30%なのか50%なのかは分かりませんが、30%の減少だったとしても、以前とは風景が変わります。すべての産業はサプライチェーンやバリューチェーンを考えると、裾野産業を抱える構造になっています。ある業界での顧客30%減のインパクトは、その業界だけにはとどまりません。飲食でいえば、飲食店を顧客として抱える事業者すべてに関係する話となり、影響は大きいのです。
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