Future of Work〜働き方X.0

デキる上司が「腹の立つ部下」を味方にするためにしていること

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上司と部下仕事のできる上司は、部下を味方にするためにどんなことをしているのでしょうか Photo:PIXTA

「本来、上司と部下は対立する関係ではない」。そう説くのは、エンジニアとしてマイクロソフト、グーグルで活躍し、現在は複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏だ。及川氏がグーグルなどでマネジャーを務めた経験から、上司・部下の関係を「対立」から「対話」、そしてお互いの成長へと導くコツについて説明する。

上司と部下は敵対しない
もし腹が立ったら、どうすべきか

人と人とが相反する利害を持っているとき、私たちは両者の間に対立軸をイメージしてしまいがちです。しかし、「実のところ、そこに対立軸はないのではないか」と私はよく考えます。

例えば、お客様相談室の担当者と苦情を入れる顧客との関係。「より良いサービスを受けたい」と願う顧客と、「その声を受け止めて社内へ伝え、より良いサービスに変えていこう」とする担当者は、本当は同じ方向を向いている「仲間」です。顧客が心から「こんなサービスは二度と使いたくない」と思ったならば、苦情も言わずに、そのサービスを使うのをやめるだけでしょう。

企業と企業との間でも同様です。十数年前、私がグーグルへ入社した頃のヤフーとグーグルは、インターネット広告の分野で熾烈な競争を繰り広げ、競合と言われていました。しかし、それまで主要メディアとされてきた「4マス媒体」のテレビ・新聞・雑誌・ラジオに対抗できるように、インターネット広告の良さを顧客に伝え、市場を拡大していこうという点では、志を同じくする仲間でした。

私がマイクロソフトに在籍していた頃のバイスプレジデントは、サン・マイクロシステムズなどの競合他社についてメディアに聞かれたときに「競合は我々をさらに偉大にしてくれる存在だ」と答えています。健全な競争関係があること自体が、市場を活性化し、世の中の真の課題解決につながるのです。

組織の中でも「上司 vs. 部下」というように両者を対立するものとして捉える場合がありますが、私はこれも違うのではないかと思っています。上司はチームの成果を上げるために部下を指導・教育し、部下はチームに貢献し、成果を上げて、組織に利益をもたらします。こう考えれば、上司と部下は敵対する存在ではなく、何かを成し遂げるために、共通の目的を持った同志になります。

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