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小林 新規事業開発にチャレンジすることに、ボードメンバーがコミットすることも重要で、多くの社員が挑戦したいと思うモチベーションにつながっていると考えています。JUMP!!!の審査委員長はグループの社長が務めていますし、「ツーリズムラボ」はツーリズム事業本部長である専務が最終評価を行い、数多くの役員も参加しています。
事業開発への挑戦を通じて強化される変革の基盤
仁科 実際に御社の新規事業開発に伴走させていただきながら感じるのは、短期的なアウトカムを創出することもさることながら、新しいことに挑戦するマインドやお互いにフィードバックし合う文化、部署を超えた有機的な人的ネットワークといった目に見えない資産の蓄積が、ビジネスモデル変革の強固な基盤となり、中長期的な経済価値、社会価値の創出につながるのではないかということです。そういう意味で、「ツーリズムラボ」は人材開発、組織開発のプロジェクトでもあると私は認識しています。
小林 まさにおっしゃる通りです。新商品・サービス、新事業として具現化される件数はまだ多くはありませんが、多くの社員が事業開発のプロセスを実際に体験することで、JTBグループに多様なアセットがあることを理解できますし、他部署の事業を知ることや外部パートナーの知見や技術を吸収することができます。それらをつなげることによって交流を創造し、お客様の実感価値を高めるようなサービスを生み出す実証実験の場が、「ツーリズムラボ」だといえます。
仁科 STUDIO ZEROが事業開発に伴走するうえで強く意識しているのは、私たちの知見や経験が支援先企業の社内に蓄積され、内製化が促進されることです。ですから、「ツーリズムラボ」でアドバイスする際にも、私たちが二歩先、三歩先まで先回りして道筋を示すようなことはせず、半歩だけ先でリードしたり、後ろから背中を押したりしながら、ご本人に気づいてもらうことを心がけています。
本人が自分で気づきを得ると、学習曲線が急上昇します。それが内製化の促進につながるのです。
小林 事業開発の経験がない社員は、まずは自分のアイデアありきで、お客様の視点が抜けてしまうことがあります。そういう時に仁科さんは、当社の社員とフランクに会話しながら、みずからがお客様視点に気づくように上手に誘導してくださるので、とてもありがたいと思っています。
また、専門知識が豊富な社員の中には、その専門性ゆえに固定概念に囚われがちなところがあります。そのような固くなった頭をほぐして、広い視野でお客様にとっての実感価値を考える雰囲気をつくっていただいているのも、STUDIO ZEROならではと感謝しています。
1990年JTB入社。国内旅行商品企画の部署に配属。方面別が常識だった旅行商品パンフレットで、目的別のラインナップを新たに展開するなど、数々のヒット商品を誕生させた。商品企画部長、ウエディング専門店支店長、東京都・神奈川県・静岡県の店舗の統括、東京統括を歴任。2023年4月より現職。
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