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「アークテリクス」「サロモン」を擁するグローバル企業が挑む顧客起点経営

2024年10月21日

新たな成長フェーズで直面した、2つの課題

ヒリアー 当社の中でも特に伸びているのが、アークテリクスやサロモンといったマウンテンスポーツブランドです。これらのブランドでは、本格的なアウトドアユーザーだけでなく、街中でも日常的に使用、着用するユーザーへと顧客層が急速に拡大しています。また、当社では、小売店への卸売りを中心としたビジネスモデルから、D2Cの強化へ舵を切っています。こうしたことから、ブランドのオーセンティシティをよく理解してもらうためのマーケティング戦略や顧客体験をアップデートすることが課題となっています。

商品の企画・開発はこれまで通りコアなアウトドアユーザーにフォーカスしつつ、ボリュームゾーンであるシティユーザーに向けたマーケティングや顧客体験をどう設計すべきなのか、慎重に検討する必要があります。

アメアスポーツジャパンの事業成長を支援しているのが、CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」で知られるプレイドの社内起業組織STUDIO ZEROの藤井厚氏らのメンバーである。

藤井 アメアスポーツが新たな成長フェーズを迎えるに当たり、大きく2つのチャレンジに直面していると私たちは考えています。それはマーケティング上のチャレンジと組織面でのチャレンジです。

マーケティング上のチャレンジは、ショーンさんがおっしゃった通り、ブランドのオーセンティシティの認知・理解の浸透を図ること、そしてブランド側が顧客を深く理解すること、この2つの方向性での課題があると思います。

前者について言うと、単なるプロモーション活動ではなく、アメアスポーツらしいアウトドアアクティビティを絡めたマーケティング活動の設計が重要です。その活動の中に、デジタル技術や顧客データを活用したワン・トゥ・ワン・マーケティングを組み込んでいくことで可能性が広がります。

後者に関しては、ショーンさんみずから頻繁に店舗に足を運び、店舗スタッフや顧客の声を聞いて理解を深めていらっしゃいます。それはとても素晴らしいことですが、対面で話せる人数には限界がありますし、組織全体として顧客理解を深めるには、いかに顧客データを収集し、それを解析して、改善活動や顧客への最適な提案につなげていくかが今後のチャレンジといえます。

そして組織面でのチャレンジは、事業成長に伴って社員の数も急速に増えていますから、社内の認識のずれや摩擦を防ぎ、一貫性のあるブランドマネジメントを行っていくためのインナーコミュニケーションの設計、柔軟な組織体制の構築といったことが重要なテーマになると思います。

ヒリアー おっしゃる通りですね。私はよく「Business is people. Life is people.」と言っているのですが、ビジネスでも人生でも何より大事なのは人であり、人と人のつながりです。

当社がD2Cを強化しているのは、顧客とのダイレクトなコミュニケーションを深めたいからです。サロモンのeコマースではプレイドのKARTEを導入し、STUDIO ZEROのサポートを受けながら顧客理解を深め、ワン・トゥ・ワンのコミュニケーションや顧客体験の提供にチャレンジしているところです。

ショーン・ヒリアー
Sean Hillier
アメアスポーツジャパン
代表取締役社長

アークテリクスの「BIRD CLUB」、サロモンの「S/PLUS」といったメンバーシッププログラムも強化しています。直営店と公式オンラインストア、アプリストア共通のプログラムであり、CRM(顧客関係管理)データを活用して、パーソナライズされたマーケティングを強化していきます。

メンバーシッププログラムでは、ポイント還元や購入金額に応じたさまざまな特典を用意しているほか、アウトドアアクティビティを組み合わせた体験価値の提供にも力を入れています。たとえば、アークテリクスはBIRD CLUBの会員を対象に、クライミングジムでボルダリングを楽しんだり、実際に山に行ってプロの指導の下にロープクライミングを体験したりできるコンテンツを用意しています。

メンバーシッププログラムは今後、ウイルソンやアトミックなど他のブランドでもスタートさせる予定です。

お問い合わせ
株式会社プレイド
〒104-0061
東京都中央区銀座6-10-1
GINZA SIX 10F

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