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透析のはなし

目次

腎臓について

(1)腎臓の構造

正常な腎臓は左右に1個ずつあり約10cm(握りこぶし大)のそら豆に似た形をしています。

(2)正常な腎臓の働き

水分・電解質の調節

尿の生成と排泄により、血液や体の水分を保つ
尿を濃くしたり、薄くしたり体が乾かないよう、あるいはむくまないよう調節します。又、体内の電解質や酸を調節します。

老廃物の処理

体の不必要な尿素などの老廃物や、過剰に摂取したカリウムなどを尿の中に排出します。

血圧の調節

腎臓では血圧を上げるレニン、血圧を下げるプロスタグランディンという物質が分泌され、これも血圧調節に関係しています。

赤血球を増やす

腎臓では赤血球が造られるのに必要なエリスロポエチンというホルモンが分泌されます。

ビタミンD代謝

ビタミンDはカルシウム(Ca)代謝に必要なビタミンです。 そのままでは効果がなく、肝臓と腎臓にて水酸化され、働きやすくします。

(注記)また、腎臓はホルモンを作っており、腎臓の機能が低下するとそれらのバランスが崩れていろいろな症状が出てきます。

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血液透析について

(1)慢性腎不全と血液透析(HD)

腎臓の働きが徐々に悪くなり、正常な状態に戻らなくなることを、"慢性腎不全"といいます。慢性腎不全になり、腎臓の働きがさらに悪くなると老廃物(いらないもの)や水分を体の外に出すことが出来なくなり、結果として生命の維持が出来なくなります。
血液透析とは悪くなった腎臓の代わりに、体にたまった老廃物や余分な水分を透析の装置を使って行う治療法のことです。

(2)血液透析の方法

透析はベッドに寝たままで注射針を2本穿して3から5時間行い、血液の洗浄を行います。(週2・3回)

[画像:血液透析の方法]

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シャントについて

(1)シャントとは

シャントとは、動脈と静脈をつなぎ合わせた血管のことです。

[画像:シャントとは]

(2)シャントの必要性

シャントは透析をする為に充分な血液量を確保できるようにした、絶対に必要なものです。

(3)シャント管理について

1.感染を起こさないようにしましょう。

(注記)透析日には針穴がありますので入浴は控えましょう。
(汗をかいたときは、シャワーか掛かり湯程度にして針穴を濡らさない ようにしましょう。)

(注記)針を刺した所や、その周囲が化膿し赤くなったり、痛みや腫れがみられた場合は、すぐに知らせて下さい。

(注記)かゆくても強くかかずに、軽くたたく程度にして下さい。

(注記)針穴の所は軟膏等をぬらないようにしましょう。

(注記)圧迫綿球は、当日の夜か翌朝に外し、カットバンと交換して下さい。また、カットバンは次の透析日までにははずして下さい。

2.血液の流れを悪くしないようにしましょう。

(注記)シャント側の腕で腕枕をしたり、重い物を下げたりしないで下さい。また、締め付ける下着や洋服をなるべく着用しないようにして下さい。

(注記)止血ベルトは着替えられた後か、帰宅されてから必ず外して下さい。

(注記)血圧を測るときは必ずシャント側の腕を避けて、シャントでない方の腕で測定して下さい。

(注記)朝起きたらシャントに触れたり耳を当てたりして、血液が流れていること
(ドクドクしていること)を必ず毎日確認して下さい。

(注記)シャント側に腕時計をしないでください。

3.シャント部を傷つけないようにしましょう。

(注記)シャント側の腕をぶつけないように注意しましょう。

4.止血法

(注記)血が止まっていても再出血する事があります。再出血したときは慌てず消毒し清潔な圧迫綿球をあて、針穴の上とその周囲を確実に押さえて圧迫して下さい。それでも出血が止まらなければ、押さえたまま病院へきて下さい。

(注記)シャント部を切ったときは大量に出血します。血管を縫ってあるところを強く押さえ、ドクドクしている血液の流れを完全に止めて下さい。
さらに傷も押さえて医師の所へ急行して下さい。

(注記)透析後4から6時間はヘパリン(血液を凝固させない薬)の効果が持続していますので、出血しやすい状態です。

緊急時に備えておきたいもの・・・ 消毒薬、テープ、ガーゼ

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体重の管理

腎臓の機能が低下すると、尿が健康なときよりも少なくなり、最終的には出なくなります。
尿の量が少ないということは、体にその一部が残っているということです。そこで、体重が一つの目安となります。体重の増減は透析ではとても重要です。この体重を基準に余分な水分や老廃物(いらない物)を、透析によって除去していきます。しかし、水分を多くとりすぎると体に無理がいき、心臓や肺に水がたまり負担が大きくなるので注意しましょう。
体重増加はドライウェイトの3〜5%以内を目安にして下さい。(下図参照)

(注記)ドライウエイトとは目標基本体重のことで、あなたの血圧・心臓の大きさ・貧血の有無・透析中の血圧の状態・全身症状を総合的にみて、医師が決定します。
(体重はそのときによって変動する事があります)

体重増加率表
(注記)ドライウェイトが例えば34.7Kgの場合は四捨五入し35.0kgとする
ドライウェイト 1日あき 3% 2日あき 5% ドライウェイト 1日あき 3% 2日あき 5%
30.0kg 0.9kg 1.5kg 65.0〜66.5kg 2.0kg 3.3kg
30.5〜31.0kg 0.9kg 1.6kg 67.0〜68.5kg 2.0kg 3.4kg
31.5〜32.5kg 1.0kg 1.6kg 69.0〜70.5kg 2.1kg 3.5kg
33.0〜34.5kg 1.0kg 1.7kg 71.0〜72.5kg 2.1kg 3.6kg
35.0〜36.5kg 1.1kg 1.8kg 73.0〜74.5kg 2.2kg 3.7kg
37.0〜38.5kg 1.1kg 1.9kg 75.0〜76.5kg 2.3kg 3.8kg
39.0〜40.5kg 1.2kg 2.0kg 77.0〜78.5kg 2.3kg 3.9kg
41.0〜42.5kg 1.2kg 2.1kg 79.0〜80.5kg 2.4kg 4.0kg
43.0〜44.5kg 1.3kg 2.2kg 81.0〜82.5kg 2.4kg 4.1kg
45.0〜46.5kg 1.4kg 2.3kg 83.0〜84.5kg 2.5kg 4.2kg
47.0〜48.5kg 1.4kg 2.4kg 85.0〜86.5kg 2.6kg 4.3kg
49.0〜50.5kg 1.5kg 2.5kg 87.0〜88.5kg 2.6kg 4.4kg
51.0〜52.5kg 1.6kg 2.6kg 89.0〜90.5kg 2.7kg 4.5kg
53.0〜54.5kg 1.6kg 2.7kg 91.0〜92.5kg 2.7kg 4.6kg
55.0〜56.5kg 1.7kg 2.8kg 93.0〜94.5kg 2.8kg 4.7kg
57.0〜58.5kg 1.7kg 2.9kg 95.0〜96.5kg 2.9kg 4.8kg
59.0〜60.5kg 1.8kg 3.0kg 97.0〜98.5kg 2.9kg 4.9kg
61.0〜62.5kg 1.8kg 3.1kg 99.0〜100kg 3.0kg 5.0kg
63.0〜64.5kg 1.9kg 3.2kg

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透析中に起こりやすい症状

(1)不均衡症候群

1.なぜ起こるのか

透析を行うと血液の老廃物は急速に取れてきれいになり、老廃物が取れにくい脳との間に濃度差が生じ、そのため濃度の高い脳は、周囲から水分を吸い取りむくんだ状態になります。
不均衡症候群とは、脳がむくみ脳圧が高くなるため起こるといわれています。

2.どんな症状が出るのか

*頭痛 *血圧の変動 *吐き気 *けいれん *体がだるい

3.予防するために

(注記)導入したばかりのうちは、体が慣れるよう、短い時間(2から3時間)の透析療法を行います。

(注記)体が慣れてきたら、多くは3から4時間の透析療法を週3回行います。

(注記)予防として、食事制限を守るようにしましょう。

(注記)透析後はしばらく安静にするようにしましょう。

(注記)我慢できない頭痛時には、鎮痛剤を内服します。

(注記)気分が悪くなったら我慢しないで、すぐに看護婦に知らせて下さい。

(2)血圧低下

1.なぜ起こるのか

体の中に貯まった水分を透析によって体外に取り除くこと(除水)や電解質を急激に改善することで起こることがあります。また全身症状がよくない時や貧血なども大きく影響します。
また、糖尿病や動脈硬化があると、血管の弾力性がなくなるため、血圧が下がりやすくなります。

2.どんな症状が出るのか

*生あくび *筋けいれん *眠くなる *顔面蒼白 *ドキドキする *腹痛 *冷や汗が出る *息切れ *目がかすむ *意識低下 *吐き気

3.予防するために

(注記)水分の取り過ぎや食事制限に注意し、体重をコントロールしましょう。
(体重を増やしすぎると多量の除水が必要となり、血圧低下を起こしやすくなります。)

(注記)透析前の血圧の薬の内服は医師の指示に従って下さい。
(血圧の変動があったときは看護婦に相談して下さい。)

(注記)透析中は急に立ち上がらないで下さい。

(注記)症状が出現したらすぐに看護婦に知らせ、血圧を測定します。

(注記)枕を外して頭を低くして、吐きそうなときは顔を横に向けて下さい。

(3)発熱

1.なぜ起こるのか

透析を行っている人は細菌に対する抵抗力が弱いため、感染症にかかりやすい状況にあります。機器類(ダイアライザー)などが体に合わない場合や、風邪などの感染症にかかった場合、透析中に輸血をした場合などに発熱しやすくなります。普通、透析による発熱は翌日にはおさまります。

2.どんな症状が出るのか

*悪寒 *頭痛 *熱が出る

3.予防するために

(注記)うがい・手洗いをしましょう。

(注記)熱があるときや微熱が続くときは看護婦に知らせて下さい。

(注記)透析を行った後は、シャント部を不潔にしないよう注意しましょう。

(4)筋けいれん

1.なぜ起こるのか

除水量が適切でなく、急激な除水をおこなった時や血液中の電解質のバランスが崩れたときなどに起こってきます。足の筋肉に見られることが多いです。

2.どんな症状が出るのか

*筋肉のこわばり *筋肉の痛み *筋肉の突っ張り

3.予防するために

(注記)急激に体を動かさないでください。

(注記)身体を冷やさないでください。

(注記)けいれんが起きたら温めたり、マッサージをしてください。

(注記)体重を増やしすぎない(食事・水分制限を守る)ように心がけてください。

(注記)症状がでた時には看護婦に知らせてください。

(5)腹痛

1.なぜ起こるのか

除水や血圧の低下により胃や腸の血の巡りが悪くなると起こってきます。
特に貧血があるときには起こりやすくなります。

2.予防するために

(注記)腹部を温め、マッサージしてください。

(注記)便通を整えてください。

(注記)おなかを冷やさないようにしましょう。

(注記)体重を増やさないように心掛けてください。

(6)血圧上昇

1.なぜ起こるのか

塩分・水分の取りすぎにより血管の中の血液の量が多くなって血圧は高くなります。また、精神的な影響も大きく、過度に緊張したりストレスの蓄積によっても起こってきます。

2.どんな症状が出るのか

*頭痛 *吐き気 *イライラ *肩こり *けいれん

3.予防するために

(注記)水分・塩分を控えてください。

(注記)安静にしてください。

(注記)血圧を下げる薬を内服します。

(7)かゆみ

1.なぜ起こるのか

カルシウム代謝異常によるカルシウムの皮膚への沈着、薬物の副作用、アレルギー、尿毒素の蓄積などが影響しています。
また、皮膚の乾燥や使用するダイアライザーなどもかゆみの原因となることがあります。

2.予防するために

(注記)かゆみ止めを使用しましょう。

(注記)タオルで拭いてください。

(注記)皮膚を冷やしましょう。

(注記)皮膚がカサカサしているときは、クリーム(病院から処方します)を塗ってください。

(注記)充分な透析を行いましょう。

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合併症

(1)心不全

1.なぜ起こるのか

透析を行っている人に起こる心不全や肺水腫のほとんどが水分と塩分の貯まりすぎによるもです。水分と塩分が貯まると循環血液量が増え、心臓の仕事が増えます。これが長く続くと、心臓は疲れ、働きが落ちてきます。このような状態が心不全です。
貧血 高血圧 動脈硬化などが大きく影響します。

2.どんな症状が出るのか

*むくみが強く、体重増加が激しい *胸が苦しい・動悸・息切れ *咳・痰 *呼吸困難 *血圧が上がる

3.予防するために

(注記)毎朝起床時に体重測定し、体重の増減を把握してください

(注記)起床時や就寝時に血圧を測定し、高すぎる時は医師に相談してください。

(注記)水分摂取量の目安は、前日の尿量+300から500mlとします。

(2)高血圧

1.なぜ起こるのか

水分塩分のとりすぎにより血液の水分が増えたり、腎臓からだされている
血圧を上げるレニンという物質の分泌増加から起こってきます。
高血圧は、動脈硬化、心不全、脳出血などの原因となるため十分な注意が必要です。

2.どんな症状が出るのか

*頭痛・肩こり・イライラ感 *吐き気 *顔面紅潮

3.予防するために

(注記)塩分を制限し、のどが渇かないようにしましょう。

(注記)インスタント食品やレトルト食品をさけ、自宅で調理するように心がけてください。

(注記)添加塩分を5から7g以内とします。食品の表面だけに味がつくよう調理を工夫してください。

(注記)加工食品、インスタント食品、外食の塩分量を把握します。

(注記)起床時、就寝前に血圧を測り高すぎるときは医師に相談してください。

(注記)血圧の薬は決められたように内服してください。

(3)高カリウム血症

1.なぜ起こるのか

高カリウム血症とは、カリウムを多く含んだ食事などにより血液中にカリウムが多くたまった状態です。血液中のカリウムは、低すぎても高すぎても生命に危険を及ぼします。透析を行っている人は尿にカリウムが排泄されないため、血液中のカリウムは高くなります。
カリウムが異常に高くなると、心臓を止めてしまうので十分注意が必要です。

2.どんな症状が出るのか

*手指・口唇がしびれる、言葉が言いにくい *胸が苦しい *だるい *心臓が止まる

3.予防するために

(注記)生ものに多く含まれています

(注記)生野菜をたべるときは50g位とし、薄く切り、十分流水で洗い、水にさらします。

(注記)芋・野菜は一度ゆでこぼしてから調理します。

(注記)果物の缶詰の汁は飲まないでください。

(注記)自分のカリウム値を知っておきましょう。

(4)貧血

1.なぜ起こるのか

腎臓から出されているエリスロポエチンという造血刺激ホルモンの低下によって起こります。その他に尿毒素や栄養不足により赤血球が減少し、貧血が助長されます。透析中に貧血改善のための(ひどいときは輸血)をしますが、ふらつきがあるときには転んだりしないように注意が必要です。

2.どんな症状が出るのか

*動悸・息切れ・めまい、ふらつき *疲れやすい・食欲がなくなる

3.予防するために

(注記)適度な運動をしましょう。

(注記)決められた食事療法を守りましょう。

(注記)ヘマトクリットなどの値から、貧血の状態を知っておきましょう。

(注記)貧血があるときは、エリスロポエチンの注射を行います。

(5)骨の異常

1.なぜ起こるのか

骨を作るカルシウムの吸収が悪いため、骨がもろい状態にあります。また骨以外のところにカルシウムが沈着しやすくなります。

2.どんな症状が出るのか

*骨・関節が痛い *骨折しやすい *カルシウムが皮膚に沈着しかゆみが出る

3.予防するために

(注記)炭酸カルシウムは食事中のリンと結合するため食直後に内服します。

(注記)自分のカルシウムとリンの値を知っておきましょう。

(注記)リンの多い食品は控えてください。

(6)感染症

1.なぜ起こるのか

腎臓の悪い方は免疫力が低下し細菌と戦う力が落ちています。そのため様々な形で感染症を起こしやすい状態になります。特に透析を行っている方は細菌が入る機会が多いため日頃からの感染予防が大切になってきます。

2.どんな症状が出るのか

*だるい *食欲がない *熱が出る *シャント部が赤くはれる・痛い *風邪を引きやすい

3.予防するために

(注記)体はいつも清潔にしましょう。

(注記)外出するときはマスクをしたり、帰ったら手洗い・うがいをしましょう。

(注記)適度な運動をして体力をつけましょう。

(注記)透析の日は入浴をさけてください。

(注記)シャント部の清潔に心がけましよう。

(注記)シャント部の状態を観察し、早めに対処してください。

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食事療法

正常な腎臓は、1日24時間働いていますが血液透析は週3回の短い時間しか腎臓の代行はできません。それに加えて腎臓の働きの全てを行えるものではありません。ですから食事による調節が必ず必要となってきます。食事は治療の一つであり、栄養状態の良否は健康状態 体力を大きく左右します。
ここででは、食事療法のポイントについて説明します。具体的には、栄養士さんから指導を受けることができます。

食事療法の6つのポイント

  • 1 適切なエネルギーをとる
  • 2 適切な良質の蛋白質をとる
  • 3 水分を控える
  • 4 塩分を控える
  • 5 カリウムを控える(生もの)
  • 6 リンを控える(乳製品)

1.適切なエネルギーをとる

人間の体は食べ物によってエネルギーを使って活動しています。
体を動かさない状態でも体温の保持 呼吸 血液の循環などによって体力は消耗します。透析は非常に体力を使う治療であり、エネルギーが不足すると、抵抗力の低下・体力の低下・貧血・食欲不振などを招きます。
また、太り過ぎも動脈硬化や心臓病を併発しやすくなります。適度に運動してベスト体重を保ちましょう。

エネルギーのもとになる食品
穀類・芋類・砂糖・菓子類・脂質類

2.良質なタンパク質をとる

人間の体は水分を除くと、ほとんどがタンパク質で作られています。
筋肉・血液・内臓はもとより、爪・骨も主体はタンパク質です。タンパク質の不足は貧血やむくみの原因となるため、必要量を適切にとることが大切です。

タンパク質の多い食品
魚介類・肉類・卵類・大豆製品(火を通してから)乳製品(リンが多いので注意)

3.水分を控える

正常な腎臓は尿量を調節することにより、体内の水分の量を一定に保っています。腎不全では尿が出なくなり、体の中に水分が貯まります。
水分をとりすぎると、むくみ、体重増加、呼吸困難、血圧上昇などの症状が出現し高血圧、心不全、肺水腫などの原因になります。 飲水量や食事中の水分をチエックし過剰に水分をとりすぎないようにしましょう。
塩辛い物・味の濃い物を制限しのどが渇かないようにしましょう。

4.塩分をひかえる

正常な腎臓はナトリウムを調節してます。腎不全では、ナトリウムの排泄が出来にくくなります。そのために一日の食塩量を5から7gに制限する事が大切です。塩分をとりすぎると、のどが渇き水分をとり過ぎてしまいます。

5.カリウムをひかえる

カリウムをとりすぎると、手指がしびれる・唇がしびれる・だるい・胸が苦しいなどの症状が出現し、心臓が止まってしまう原因になります。
カリウムは、水にとける性質があるので、野菜は細かく切って流水で十分に洗い、水にさらしたり、ゆで汁をこぼしたりする事によって調理前の1/5から1/2に減少します。

カリウムの多い食品
果物・野菜・芋類(特にさつまいも)・干し物・チョコレート

6.リンをひかえる

リンの排泄障害は、血中のカルシウムを低下させ、骨がもろくなったり、体のあちこちに貯まったり、又痛みが出たりします。長い透析を続けると二次性副甲状腺機能亢進症の原因になります。
通常の加工食品には、リン酸塩を添加物として使っているため、加工食品の摂取をひかえ、新鮮な食品を調理するよう心がけましょう。

リンを多く含む食品
牛乳・チーズ・小魚・うなぎの蒲焼き

希望があれば栄養士による指導も行います。

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日常生活

透析に入り退院後起床から睡眠まで充実した日々が送れるようにしたいものです。

1.運動

透析を行っている人にとって適度な運動は障害を克服する体力を養うため必要です。尿毒症症状などで体力、持久力、ともに低下していると思われます。運動不足から筋肉の低下・栄養不足・骨や心臓、血管などの病気を引き起こすことがあります。患者さんの年齢や病気により体力は異なるので医師に相談して運動しましょう。
高齢者にとっては洗濯・掃除・買い物など運動になります。自分で出来ることを積極的に見つけ家族も協力しましょう。通院は社会復帰の第一歩です。
年齢や性別を問わず、外出にはちょっとおしゃれをすることは精神的にも良い影響を及ぼします。

2.便秘

透析を行っている人は水分制限や野菜などの食物繊維をとれないことにより便秘になりやすくなります。一日に必要な食物繊維量は20から25gです。
昆布などを原料としている食物繊維はカリウムが多く含まれていますので栄養士に相談してカリウムの含まれていないものを選んでください。
毎日の規則正しい排便習慣が大事です。習慣性の便秘には医師と相談して下剤を使用しましょう。

3.睡眠

睡眠は食欲と同じく生き生きとした生活を送る上で大切です。しかし、安易に不眠に対して薬剤を使用するより原因が除去できないか考えましょう。
(注記)よく眠るため以下のことを心がけましょう
1.生活にリズムをつける
2.日光に当たる
3.自分の仕事・趣味を持つ
4.十分な透析をする
5.眠れないことを気にしすぎない
6.睡眠の環境を作る

4.旅行

「透析があるから旅行にいけない」とためらうことはありません。
透析終了後週末を利用して2泊3日の旅行も可能です。3泊以上して旅行先の透析施設を利用する場合、全国のリストがありますので予定が決まったら、医師、看護婦に相談してください。旅行中の食べ過ぎ、水分、カリウムには十分気を付けてください。

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社会復帰と腎友会

最後となりましたが職場復帰は皆さんにとって深刻な問題になってきたと思います。人工透析を開始しますと週2?3回は職場を休んだり早退したりで、時間が制限されます。そのため雇い主との折り合いがうまくいかずに、ついやめてしまうこともあると思います。
出きるだけ可能な時間帯に透析を変更したり調整も考慮しますが、しかし軽作業、あるいは机の上の作業ですと以前と変わらぬ状態で勤務できるのですから、配置転換などの便利を図ってもらうことなどが大切です。
私たち医療スタッフは皆さんが仕事を継続できるよう努めております。必要があれば会社側と話し合う機会を設けています。 皆さんも積極的に困難な問題にぶつかり、自ら努力して頑張って下さい。又、家族の協力や地域社会の協力、そして仲間とのふれ合いが勇気をもたらします。
このような仲間のつながりとして「全国腎臓病連絡協議会」があり、各都道府県に支部があります。
各施設において腎友会としてお互いの親睦や協力をはかるために活躍しています。詳しくは、係員の方へお尋ね下さい。

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