アンジェルマン症候群は重い知的障害、てんかん、ぎこちない動きを示し、ちょっとしたことでよく笑うなどの特徴を示します。顎が尖っている、口が大きいなどの特徴もみられます。
出生15,000に1人の割合で生まれます。
特に、どのような人に多いということはありません。どのご夫婦のお子さんとしても生まれてくる可能性があります。稀ですが、家族例も知られています。
15番染色体短腕q11-q13に位置するUBE3A遺伝子の働きが失われることで発症します。UBE3A遺伝子の働きが失われるメカニズムとして、15q11-q13の母性染色体微細欠失(70%)、15番染色体父性片親性ダイソミー(5%)、 ゲノムインプリンティング の障害である刷り込み 変異 (5%)、UBE3Aの変異(10%)が知られています。残り10%には遺伝学的異常が 同定 できません。
欠失と片親性ダイソミーには次子への遺伝性はありません。刷り込み変異の10%とUBE3A変異の30%程度は遺伝性があるので、 遺伝カウンセリング が望まれます。
乳児期後半から発達の遅れに気づかれることが一般的です。意味のあることばを話すようになることは稀ですが、理解の発達は比較的良いとされています。90%以上にてんかんが合併します。けいれんは乳児期に熱性けいれんとしておこることが最も多いです。その後のてんかんの発作にはいろいろな形が知られています。行動の特徴としては、容易に引き起こされる笑いがよく知られています。その他に、落ち着きのなさや旺盛な好奇心、水やビニールなどキラキラしたものに対する興味がみられます。乳児期から幼児期に睡眠障害の合併が多く、夜間中途覚醒や遅い入眠と早期覚醒に悩まされることが多いとされます。
治療は対症療法となります。てんかんは適切な抗てんかん発作薬の使用で発作は消失、あるいはあっても日常生活に支障がない程度にコントロールできることが多いですが、時に意識が減損する発作が長くつづいたりする場合もあります。発作頻度は思春期前後で減少し、30歳以降で再び増加しうるといわれています。睡眠障害がひどい時には、睡眠薬の使用も考慮されます。
平均して5歳くらいで一人歩きができるようになります。理解は進みますが、発語は難しいことが多いです。大人になると、あまり動かなくなることが知られ、そうなると肥満になりやすくなるので、適度な運動を続けることが大切です。
内臓の病気の合併はありません。てんかんの治療は主治医の指示に従い、抗てんかん発作薬の飲み忘れに注意しましょう。生活全般の介護が必要ですので、療育を通して様々な福祉資源の利用が望まれます。
該当する病名はありません。
Angelman syndrome foundation
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エンジェルの会
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