MVK(mevalonate kinase、メバロン酸キナーゼ)遺伝子 変異 を原因とし、発熱などの 炎症 が体質的に起こる病気です。軽症型の高IgD症候群から重症型のメバロン酸尿症までをまとめて、メバロン酸キナーゼ欠損症と呼ばれます。
まれな疾患です。世界的には100人以上の患者さんが見付かっています。日本では2015年現在、10人の患者さんが診断されています。
全世界で認められます。オランダで多いとされていますが、日本でも患者さんがいます。
病気を起こす遺伝子としてMVKが知られています。メバロン酸キナーゼはコレステロールなどを作る、体内での化学反応に必要な 酵素 です。この酵素の機能が低下することが、発熱などの症状にどのように結びつくか、研究が進められています。
常染色体潜性(劣性)遺伝です。常染色体潜性(劣性)遺伝というのは、父親の遺伝子から1つ、母親の遺伝子から1つ、2つの変異した遺伝子がそろったときに発症してくるということです。
高IgD症候群の場合、多くは乳児期早期に周期性発熱という形で発症します。発熱には、ワクチン接種や外傷などの誘因を伴うことがあります。発熱時には以下のような症状を伴うことがあります。
(i) リンパ節腫脹
(ii) 皮疹
(iii) 腹部症状:腹痛、下痢、嘔吐などが認められます。
(iv) 関節症状:多くは膝関節や足関節などの大関節を中心とした関節痛や関節炎です。
(v) 肝障害
(vi) その他:口腔内や直腸の粘膜症状を認めることがあります。
メバロン酸尿症の場合、上記の炎症症状に加えて出生時に子宮内発育遅延や白内障、小頭症などの先天奇形が見られたり、出生後に発達・発育の遅れが見られたりします。
発作時の初期治療としては非ステロイド抗炎症薬やステロイドを使用します。炎症がコントロールできない場合は追加治療として、抗IL-1製剤(カナキヌマブ)の導入を検討します。
成長するに従って症状が軽減する患者さんもありますが、重症度があまり変わらず持続する患者さんもあるとされています。
運動、食事の制限は必要ありません。予防接種により発熱発作を誘発する場合もありますが、予防接種は受けるべきとされています。
メバロン酸キナーゼ欠損症
メバロン酸尿症
ホスホメバロン酸キナーゼ(PMVK)欠損症(メバロン酸は、メバロン酸キナーゼ(MVK)とホスホメバロン酸キナーゼ(PMVK)の2つの酵素によってリン酸化されますが、PMVK遺伝子変異によっても類似した症状が認められることが報告されています)
治験を実施している指定難病を調べることができます。キーワード検索欄に指定難病名を入力し、検索してください。
研究班名 | 自己炎症性疾患とその類縁疾患における、移行期医療を含めた診療体制整備、患者登録推進、全国疫学調査に基づく診療ガイドライン構築に関する研究班 研究班名簿 |
---|---|
情報更新日 | 令和6年11月(名簿更新:令和7年6月) |