特徴的な顔貌と胸郭異常を呈し、出生直後から始まる呼吸障害、哺乳障害、発達の遅れ示す先天奇形症候群です。ときに臍帯ヘルニアのような重度腹壁異常が見られます。胎児期は羊水過多を認めます。
国内でこれまでに約60名程度 遺伝子診断 されています。
特になりやすい体質などはありません。
14番染色体インプリンティング遺伝子の発現の異常によりおこります。遺伝子の発現異常は、14番染色体がともに父親に由来する14番染色体父親性ダイソミー、14番染色体インプリンティング領域を含む微細染色体欠失、14番染色体インプリンティング遺伝子の発現を調節している領域のメチル化の異常であるエピ 変異 によっておこります。
エピ変異、14番染色体父親性ダイソミーおよびエピ変異が原因の場合は、原則遺伝しません。14番染色体インプリンティング領域を含む微細染色体欠失の場合、母がその欠失の 保因者 であれば、50%の確率で遺伝します。
妊娠中は羊水が多くなり、胎盤過形成も見られます。ほぼ全ての患者さんで、出生直後から呼吸がうまくできないため、人工呼吸管理を必要とします。哺乳不良もほぼ全例に認め経管栄養を必要とします。様々な程度の発達の遅れを全例に認めます。肝芽腫の合併を約8%に認めるため注意が必要です。豊かな頬、突出した人中、平坦な鼻梁、前額の突出といった特徴的な顔貌を示します。
対症療法となります。早産児で死亡例が多いことから、胎児診断がついた場合、早産防止のための治療を行い予定日近くでの出生をめざします。新生児期から乳児期は呼吸障害に対する治療が中心となります。哺乳不良や発達の遅れに対するリハビリも大切です。
死亡率は約25%で全例4歳未満です。出生直後から始まる呼吸障害は平均1か月程度の人工呼吸器管理は必要としますが、成長とともに改善します。人工呼吸管理終了後は呼吸障害により入退院を繰り返すことは少ないです。哺乳不良も全例に認めますが、平均7.5か月程度で経管栄養が不要となります。新生児期から乳児期の呼吸障害や哺乳不良をのりきると比較的順調な経過をたどることが多いです。発達の遅れは全例に認めます。年長児では独歩も確保されており、特殊支援学級などへの通学もできています。
新生児期から乳幼児期は風邪、インフルエンザ、胃腸炎などの感染症への注意が必要です。また、肝芽腫のスクリーニング検査を定期的に行うことが重要です。発達の遅れや摂食障害に対するリハビリは早めに始める必要があります。その他、側弯の合併なども認められることから定期的な通院は必要です。
該当する病名はありません。
14番染色体父親性ダイソミーおよび類縁疾患 (Kagami-Ogata syndrome) の臨床像の解明 | 国立成育医療研究センター (ncchd.go.jp)
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研究班名 | 患者との双方向的協調に基づく先天異常症候群の自然歴の収集とrecontact可能なシステムの構築班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和6年11月(名簿更新:令和7年6月) |