コフィン・ローリー症候群(Coffin-Lowry syndrome)は1966年Coffinらが記載した X連鎖性遺伝 性疾患です。中等度から重度の知的障害を認めます。他の症状として、特徴的顔貌、低身長、骨格変形、 先天性 心奇形などがあります。X染色体にあるRSK2(RPS6KA3)遺伝子の変異が原因です。
出生4万人に1人程度といわれていますが、未診断例も含めると実際にはもっと多い可能性があります。
乳幼児期に発達の遅れなどで症状が出現します。
X染色体にあるRSK2(RPS6KA3)遺伝子の変異が原因です。神経系の機能で重要な役割をもつ遺伝子です。現在は遺伝学的検査が保険収載されています。遺伝学的検査を受ける際には、医療機関受診と遺伝カウンセリングが必要です。
男性(染色体46,XY)はX染色体を1本しかないので、基本的には男性が罹患します。女性保因者(46,XX)はX染色体が2本あるので、無症状ないしある程度の知的障害や下記に示すような症状を認める場合もあります。X染色体の不活化の偏りが影響する可能性があります。母親が保因者の場合、兄弟で罹患する可能性があります。男性患者の娘は保因者になりますが、息子には遺伝しません。
遺伝について、ご不安な点がある場合、臨床遺伝専門医などの 遺伝カウンセリング を受けられることをお勧めいたします。
疾患に対する特別な治療薬はありません。早期からの療育訓練が重要です。症状・合併症に合わせた治療を行います。刺激誘発転倒発作は、てんかんではありませんが、抗てんかん薬やセロトニン再取り込み阻害薬などが有効な場合がありますが、治療抵抗性です。転倒して頭部を打撲することがあり、保護帽が必要です。重度の場合、車いす移動を余儀なくされます。周囲の十分な注意が必要です。てんかんを発症した場合は一般的な抗てんかん薬治療を行ないます。側彎症の程度が強い場合は、コルセット装着など整形外科治療をうける必要があります。
多くの患者さんは健康にすごすことができますが、先にのべたような合併症に注意が必要です。その児の発達状況に応じた、特別支援教育が必要となります。
多くの患者さんは健康にすごすことができますが、刺激誘発転倒発作が頻発する例では日常生活に影響がでます。なるべく驚かさないように配慮します。転倒しやすい場合は保護帽を着用するとよいでしょう。必要に応じて、車いすを利用します。進行性の脊椎変形や運動機能低下も要注意です。
該当する病名はありません。
Gene Review Japan(コフィン-ローリー症候群)
http://grj.umin.jp/grj/cls.htm
(英文)
COFFIN-LOWRY SYNDROME FOUNDATION
http://www.clsf.info/
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研究班名 | 患者との双方向的協調に基づく先天異常症候群の自然歴の収集とrecontact可能なシステムの構築班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和6年11月(名簿更新:令和7年6月) |