テーマ2「「こと」(文字・律令・制度・都市)の研究」
研究分担者
テーマ2の研究分野
テーマ2の研究内容
第2研究テーマでは、明治大学所蔵日本古代学研究資料群を活用しつつ、新たな世界的研究拠点を展開するプロジェクトの一環として、特に【1】 1次資料である国分寺瓦関係の前場コレクション、院政期の儀式書「除秘鈔」(室町期写本の天下の孤本)、【2】 2次資料の好太王碑初期石灰拓本、井上光貞『令集解』関係資料群、【3】 そして、古代学研究所が公開している鷹司本「令集解」と、さらに充実化する墨書土器データベース・文字瓦データベース等を活用し、古代国家形成に伴う文字使用の実態と、律令法・制度・都城などの歴史的意義を解明する。具体的に述べれば、
1 国家的支配の根幹である養老令(大宝令)の諸規定を、明法家の諸説を集大成した『令集解』から解明する。すでに鷹司本を公開し、また東山文庫本の公開を準備中であり、それらを駆使して解明にあたる。その際、井上光貞による研究(未完成)は、『令集解』解読の大きな手立ての一つであり、日本法制史の研究史上でも重要である。
2 律令法の解明とともに、文書行政とも深く関わる文字使用の実態として、文字自体の研究に取り組む。また、律令制による統治の実態を明白にするため、全国から出土する墨書土器と文字瓦を集成するデータベースの充実化をはかる。人文分野にとって、テータベースの構築はそれ自体が重要な研究である。日本で唯一のデータベースの充実化を実現することは、日本史学にとって大きな貢献となる。
3 地域における国家的支配の事実を掌握するため、全国に設置された、国分寺瓦を通じて、各地域の偏差を比較研究する。これは、データベースによる地域的偏差の研究と連動して、律令法による政治基調だけではなく、地域支配の様相と地域実態の多様性を解明するうえで貴重な研究となる。
4 律令制支配を貫徹するには、こうした法制を制度化・儀礼化していく必要がある。天下の孤本である「除秘鈔」の釈読文の作成に取り組む。院政期の儀式書の公開は、それ自体として重要である。
テーマ2の年次別計画
○しろまる平成26年度
【1】 1次・2次資料群の古代学上の研究史総括と課題の提示
(1)国分寺瓦関係の前場コレクションのデータベースの歴史的意味
(2) 「除秘鈔」の釈読と儀式書における歴史的意味 (その1)
(3)好太王碑初期石灰拓本(剪装本・全紙本)の釈読と、碑文解読上の意味 (その1)
(4)井上光貞『令集解』関係資料群と職員令研究の文献目録とその構造研究 (その1)
(5)墨書土器データベースの充実化・補訂 (関東地域)
(6)文字瓦データベースの補訂 (東日本)
【2】 総括的研究
(1)国家形成と文字使用の研究 (その1)
(2)日本国家の形成と律令・制度・都市研究 (その1)
*研究方法や運営については3テーマ共同で会議体を組織して、毎年3回協議・点検・評価・改善を行う。
○しろまる平成27年度
【1】 1次・2次資料群の古代学上の活用 (その1)
(1)国分寺造営の歴史的意味と下総国の実態調査 (その1)
(2)「除秘鈔」の釈読と公開、儀式書における歴史的意味 (その2)
(3)好太王碑初期石灰拓本(剪装本・全紙本)研究と公開、碑文解読上の意味 (その2)
(4)井上光貞『令集解』関係資料群と職員令研究の文献目録とその構造研究 (その2)
(5)墨書土器データベースの充実化・補訂 (東北地域)
(6)文字瓦データベースの補訂 (西日本)
【2】 総括的研究
(1)国家形成と文字使用の研究 (その2)
(2)日本国家の形成と律令・制度・都市研究 (その2)
○しろまる平成28年度
【1】 1次・2次資料群の古代学上の活用 (その2)
(1)国分寺造営の歴史的意味と下総国の実態調査 (その2)
(2)好太王碑文の釈読文の公開
(3)職員令研究の文献目録の公開と、都市構造の研究 (その1)
(4)墨書土器データベースの充実化・補訂 (中部地域その1)
(5)文字瓦データベースの補訂 (畿内その1)
【2】 総括的研究
(1)国家形成と文字使用の研究 (その3)
(2)日本律令制の研究と中国との比較研究 (その1)
○しろまる平成29年度
【1】 1次・2次資料群の古代学上の活用 (その3)
(1)国分寺造営の歴史的意味と下総国の実態調査 (その3)
(2)好太王碑文とヤマト王権の研究 (その1)
(3)職員令研究の文献目録の公開と、都市構造の研究 (その1)
(4)墨書土器データベースの充実化・補訂 (中部地域その2)
(5)文字瓦データベースの補訂 (畿内その2)
【2】 総括的研究
(1)日本列島における文字利用の研究 (その1)
(2)日本律令制の研究と中国との比較研究 (その2)
○しろまる平成30年度
【1】 明治大学所蔵の日本古代学資料群の公開と研究
(1)下総国国分寺・国分寺尼寺の研究発表
(2)好太王碑文とヤマト王権の研究 (その2)
(3)職員令研究の文献目録の公開と、都市構造の研究 (その2)
(4)墨書土器データベースの最終的公開
(5)文字瓦データベースの最終的公開
【2】 総括的研究
(1)日本列島における文字利用の研究 (その2)
(2)日本律令制の構造的研究
期待される成果