世代間ケアシステムのあり方についての調査研究
研究名
世代間ケアシステムのあり方についての調査研究
事業年度
平成10年
本研究の目的
急速に人口構造が変化する中で、高齢化社会に関する議論が盛んです。その大部分は医療・福祉、年金財政や国民負担の問題など、これまでの社会体制を所与のものとしての議論です。21世紀にむかい高齢化のフロント・ランナーとして世界の先頭を走る日本社会に求められていることは、高齢化の意味を原点に立ち返って再検討し、そこに新しいビジョンを見出すことであろうと思われます。
国際長寿センターでは、平成10年度に厚生省からの研究助成を受け「超高齢社会における世代間ケアシステムのあり方に関する調査研究」をテーマにすえ、多角的なアプローチを行ってきました。
本研究では、「老人と子ども」という3世代モデルを機軸にすえて、それを生物学的・心理学的・社会科学的視点から捉えなおし、高齢者はもとより、各世代の福祉を増進するような世代間ケアのあり方を構想することを目指しています。
<研究会メンバー>
主査:広井良典 千葉大学法経学部助教授
池本美香
さくら総合研究所環境・高齢社会研究センター主任研究員
緒方泰子
東京大学大学院医学系研究科
工藤由貴子
国際長寿センター主任研究員
黒須正明
ケアハウス日夕苑理事長
清水忠男
千葉大学工学部教授
多田千尋
芸術教育研究所
新井淳子
東京大学大学院医学系研究科
林 廓子
社会調査専門家
報告書名
「超高齢社会における世代間ケアシステムのあり方についての調査研究
-「老人と子ども」の3世代モデルの視点から―」
(A4版 248ページ)
報告書
刊行時期
平成11年5月
本報告書の内容
第1部 総論 人間の3世代モデル -新しい高齢化社会のビジョンのために-
- 人間の3世代モデル -自然科学的視点
- 老人の時間と子どもの時間 -人文科学的視点
- 老人・子どもと社会保障 -社会科学的視点
- 政策提言 -新しい「ケア」の姿を求めて
第2部 調査編
第1章 「老人と子ども」統合ケアについて
- 喪失する世代間コミュニケーション
- 世代間交流における遊びの価値
- 多世代交流における福祉と文化の統合
第2章 世代間交流の効果に関するミクロ調査
- 調査目的と調査対象施設に関する基本情報
- 調査結果
- 世代間交流の効果に関する考察
第3章 「老人と子ども」統合ケアに関する自治体の取組み状況調査
- 調査実施概要
- 調査結果概要
- 自治体における世代間交流の現状と課題
第4章 世代間の所得移転と世代間交流による少子化対策の可能性
- 老人と子どもへのお金の流れに着目した少子化対策
- 老人と子どもの時間・空間に着目した少子化対策
第5章 「老人と子ども」統合ケアにおける環境デザイン的考察
- 求められる<ソフトとハードの統合>
- 求められる<環境デザインの視点>
- ソフト・ハード両面の実態把握からデザインへ
- 施設における高齢者相互の交流の実態と環境デザインへの反映
- 施設における高齢者と子どもとの相互交流の実態と環境デザインへの反映
- 施設における高齢者や子どもと地域との相互交流の実態と環境デザインへの反映
第3部 事例集
第1章 老人と子ども世代間統合に関する先駆的試み
- 現代社会における老人と子ども
- 「老人と子ども」との統合に関する興味深い試み -内外の事例から
第2章 国内視察報告
- 特別養護老人ホーム天寿園
- 大阪府立長草保育園・長草デイサービスセンター
- ハモリーハウス愛知たいようの杜
- 特別養護老人ホームさくら苑
- 戸越台特別養護老人ホーム・戸越台中学校
- 複合施設品川区立五反田保育園・ふれあいデイホーム悠遊
- 芸術教育研究所・おもちゃ美術館
- 融合施設みずの塔ふれあいの家・融合施設さくら館ふれあいの家
- 特別養護老人ホームすずうらホーム・うらら保育園
- 養護老人ホーム江東園
- ケアハウス日夕苑
第3章 海外視察報告
附属資料
- 「老人と子ども」にかかわる基礎統計資料
- 自治体における「老人とこども」交流事業事例集