僕の宿題が突然爆発した。
急な出来事で顔を守るのがやっとだった。紙きれが天井へ吹き飛んで、跳ね返って、部屋中を散って集まって踊りだした。竹ぼうきではたき落としたら紙きれが束になって泣きだした。
机は狂ったみたいに笑っている。一蹴り喰らわせるとたちまち口を閉ざした。まだ紙束は泣いている。つかみとってゴミ箱の口に放り込んだ。ゴミ箱が「苦しい。」と喋って紙きれを吐き出した。九死に一生を得た紙きれを僕はつかんで便器に食わせた。今回の僕は教訓を得ている、蓋を閉めたんだ。便器の涙が腹の中で渦巻いてた。
授業の開始時間が迫り、他の紙きれがそわそわとして動き回りだした。そいつらをカバンに詰め込むと中でドカドカぶつかって、カバンごと部屋のドアを飛び出して学校の方に飛んでった。
これでよし、僕は手ぶらでクラスに入る。まだカバンは来ていない。クラスメイトに事の経緯を得意げに説明し、「今日はラッキーデーだ、宿題出さなくていいもん。」と彼女に教えた。僕の真に迫った説明を聞き終わると、クラスメイトは目を見開いた。「けど爆発したんだよね、宿題。」そう言うと、彼女は我慢できずにクスクスと笑い出した。
先生が宿題を回収しにきた。僕の番が来て立ち上がる。「先生、宿題が爆発しました。」最初に耐えがたい沈黙。続いて先生が尋ね返すのが聞こえた。「今、なんて言いました?」
「僕の宿題が、爆発しました。」僕はなるべく胸を張った。
笑い声が教室で爆ぜた。机が笑って腰を曲げ、中の教科書を吐き出した。教科書も笑っていて、ゲラゲラと笑う声が聞こえた。教壇は笑って空を向き、笑い転げた椅子でつまづいた。黒板は笑ってひっくり返り、書いてあったチョークの文字もひっくり返った。蛍光灯は笑って電流の音を鳴らし、危なっかしく回転しだした。
笑い声が木の扉を突き破って廊下にあふれた。ウイルスみたいに他のクラスでも爆笑が広がった。すぐに校舎も笑い転げだした。校舎がかすれた笑い声を出して壁の欠片を振り落とし、校庭で転げ回る。
先生の顔が真っ赤になったけど、怒りだす前に小さな黒い点が飛んでくるのが見えた。黒い点は校舎の割れた口から飛んできていて、笑い声の波の代わりにクラスへなだれ込んできた。みんなが見つめる中で僕のカバンが僕の周りを回って、優雅に一礼。そして、僕のカバンも爆発した。
どうしたら事態が収まるんだ。知らせを聞いた校長が校舎に一蹴り浴びせると校舎はうんともすんとも言わなくなった。全クラスの先生たちは辺り一面に飛び回る紙の捕獲を任された。学生たちには自分の机と椅子のしつけが押しつけられた。騒ぎは静かになった。
集めた紙を先生たちが合わせると、三枚足りないことがわかった。それでも先生が解決策を教えてくれた、宿題の残りを出せばいいって。実際には便器から残りの紙を吐かせれば終わりだけど。
帰り道、今日の出来事を思い出す。便器は紙を二枚しか飲みこんでいなかった、ってことは一枚分の紙が先生の追跡を逃れて校外に散らばってる。どこに行ったんだろ?
今日の天気はいい天気、今日の自分はいい気分。
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