2014年11月10日
美術館でのひととき(1) 『ユートピアを求めて』&『北大路魯山人展』@世田谷美術館
所属してる地元青色申告会からは月に一度、会報が届くのですが、
会報だけでなく保険や共済の案内とか(←共済は入ってます)、他にも会員向けの国内外パックツアーの案内とかのリーフも入ってるんですよね。
で、それ以外にもたまに、地元美術館での催しのリーフなんかも。以前、世田谷文学館での『上を向いて歩こう展』の案内なんてのが入ってて、それは伺いましたけどね。
今回は世田谷美術館のそれです。建物周辺や美術館自体の立地などを含めて、その存在を気にするかたには人気の美術館です。
いや、好い展示をしてくださればそれがビルの中であっても百貨店の中であっても歓迎しますが、好い作品を鑑賞して"こころがお腹いっぱい"になった状態で外に出たら...食べ物の匂いとか雑踏の騒音によっていきなり現実に引き戻されて余韻を楽しむ余裕もなし...それはちょっと寂しかことですよね。
メイン展示は『ユートピアを求めて ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム』です。
このジャンルは昔から、体系をまとめた展示で〜つまりは美術館で鑑賞してみたかったんですよね。でもって今やロシア語の学習を始めてしまった身の上ですし、その学習の一助にもなるかな〜?と。
11/24までやってます。
※(注記)詳しくは公式サイトをどうぞ
そしてもうひとつ。二階展示室では『北大路魯山人展』が。これまた最近気になる存在。
インターネットラジオの朗読番組で先ごろ、氏が記されたエッセイが幾編か読まれたんです。それが面白かったので、それ以降は鉄道移動中などに『青空文庫』で読んでるんですけどね。
このひとといえば、とあるコミックに登場する陶芸界の重鎮のモデルとして有名みたいですが、『青空文庫』で著作を読むと...そんなに偏屈なひとではないように思うんですよね。高級食材や"ねばならぬ"だけじゃなく、それこそ簡素なものを使っても...美食は美食、と。
ただ、実名を挙げての批判はどうかとは思いますが...でも面白い爺さんじゃん!とは改めて。
※(注記)こちらも詳しくはこちらを
世田谷美術館が人気ある理由のひとつとして、広大な区立砧(きぬた)公園の中にあるってところがまず。自然豊かで四季折々ですしね。
1美術館への道.jpg
東急田園都市線・用賀駅からバスか徒歩なんですが、徒歩だと駅から17分らしいんです。
開館時刻の1000に合わせて、とりあえずその20分以上前に着いたのですが、地上へと上がればそこにあるバスターミナルに折りしも《美術館》と表示されたバスが。
一時間に二本程度の本数ですが、5分待ちくらいでの発車でしたし、これはありがたいと思いきや...直で向かうんじゃなくて、方向の違う大きな病院に寄ってから、そして折り返してから向かうんです。
所要時間は15分かかりました。しかもバス停『美術館』は美術館前ではなく、隣の清掃工場前に停まります。
そこから上記の写真のように公園内に入り、数100m歩いて...バス発車の待ち時間を含めれば、健常者ならバス利用より歩いたほうが早く着きます。
これは発見でした。実はこの日も自転車でと思ってたのですが、昼前後に雨という予報を受けて、鉄道での訪問にしたんですよね。自転車だったら時間もストレスも圧縮できたのですが。
2世田谷美術館.jpg
ここです。エントランス周辺の見た目はまあ...何か言うほどのもんじゃないですよね。
3ユートピアを求めて.jpg
これです。これを観に来たのです。
で、結果的に...感動しまくら千代子でした。お千代さんが亡くなられて一周忌ですから、逆にあえてこの表現を使わさせていただきます。
ただ...この美術館は床が硬いからなのか...わたしの後に結構間を置いて入ってきた若い(=多分)女性ふたり連れがいちいち話し合ってる...と言っても専門的な議論とかではなく"わぁ!面白い"みたいなそれや、今ここで話さなくてもいいような日常話が...別に高い声でなくとも回って伝わってきて、聴きたくもないのに聴こえてしまうんですよね。
こういった施設の設計を志してるかたにはお願いしたいですね。目で観る施設ではあっても、いやむしろそういう施設だからこそ、話し声を含めて音を吸収するような空間にして欲しいよな、と。
このふたり、ずーっとずーっと話し続けてて、結構離れたわたしのところまでいちいち喋り声が届いて耳障りでした。
ブースの区切りや距離もありますが、反射の関係か近くても聴こえなかったり、離れてても聴こえたり。
結局、カナルタイプのイヤフォンを耳に入れたらちょうど好い感じに話し声が聴こえなくなり、じっくり鑑賞できました、と。
図録プラスアルファ.jpg
近年は美術展に行っても図録を買うことは少なくなりましたが、これはヤッパリ買わなければ、と。積年の課題でしたし。
で、それだけでなく...常々思ってたロシア語学習関係で...幼児向け絵本なら読みやすいかも?とか思ってたんですよね。で、『幻のロシア絵本 1920-30年代』という、過去に他の美術館で行われた展示の図録を見つけて、これさいわい、と。
『ユートピアを求めて』も『北大路魯山人展』も、どちらもお薦めです。全て鑑賞をじっくり楽しんでも二時間半くらいでしょうか。
『ユートピア〜』は11/24まで、『魯山人展』は12/21までやってます。興味あるかたは是非!
(つづく)
会報だけでなく保険や共済の案内とか(←共済は入ってます)、他にも会員向けの国内外パックツアーの案内とかのリーフも入ってるんですよね。
で、それ以外にもたまに、地元美術館での催しのリーフなんかも。以前、世田谷文学館での『上を向いて歩こう展』の案内なんてのが入ってて、それは伺いましたけどね。
今回は世田谷美術館のそれです。建物周辺や美術館自体の立地などを含めて、その存在を気にするかたには人気の美術館です。
いや、好い展示をしてくださればそれがビルの中であっても百貨店の中であっても歓迎しますが、好い作品を鑑賞して"こころがお腹いっぱい"になった状態で外に出たら...食べ物の匂いとか雑踏の騒音によっていきなり現実に引き戻されて余韻を楽しむ余裕もなし...それはちょっと寂しかことですよね。
メイン展示は『ユートピアを求めて ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム』です。
このジャンルは昔から、体系をまとめた展示で〜つまりは美術館で鑑賞してみたかったんですよね。でもって今やロシア語の学習を始めてしまった身の上ですし、その学習の一助にもなるかな〜?と。
11/24までやってます。
※(注記)詳しくは公式サイトをどうぞ
そしてもうひとつ。二階展示室では『北大路魯山人展』が。これまた最近気になる存在。
インターネットラジオの朗読番組で先ごろ、氏が記されたエッセイが幾編か読まれたんです。それが面白かったので、それ以降は鉄道移動中などに『青空文庫』で読んでるんですけどね。
このひとといえば、とあるコミックに登場する陶芸界の重鎮のモデルとして有名みたいですが、『青空文庫』で著作を読むと...そんなに偏屈なひとではないように思うんですよね。高級食材や"ねばならぬ"だけじゃなく、それこそ簡素なものを使っても...美食は美食、と。
ただ、実名を挙げての批判はどうかとは思いますが...でも面白い爺さんじゃん!とは改めて。
※(注記)こちらも詳しくはこちらを
世田谷美術館が人気ある理由のひとつとして、広大な区立砧(きぬた)公園の中にあるってところがまず。自然豊かで四季折々ですしね。
1美術館への道.jpg
東急田園都市線・用賀駅からバスか徒歩なんですが、徒歩だと駅から17分らしいんです。
開館時刻の1000に合わせて、とりあえずその20分以上前に着いたのですが、地上へと上がればそこにあるバスターミナルに折りしも《美術館》と表示されたバスが。
一時間に二本程度の本数ですが、5分待ちくらいでの発車でしたし、これはありがたいと思いきや...直で向かうんじゃなくて、方向の違う大きな病院に寄ってから、そして折り返してから向かうんです。
所要時間は15分かかりました。しかもバス停『美術館』は美術館前ではなく、隣の清掃工場前に停まります。
そこから上記の写真のように公園内に入り、数100m歩いて...バス発車の待ち時間を含めれば、健常者ならバス利用より歩いたほうが早く着きます。
これは発見でした。実はこの日も自転車でと思ってたのですが、昼前後に雨という予報を受けて、鉄道での訪問にしたんですよね。自転車だったら時間もストレスも圧縮できたのですが。
2世田谷美術館.jpg
ここです。エントランス周辺の見た目はまあ...何か言うほどのもんじゃないですよね。
3ユートピアを求めて.jpg
これです。これを観に来たのです。
で、結果的に...感動しまくら千代子でした。お千代さんが亡くなられて一周忌ですから、逆にあえてこの表現を使わさせていただきます。
ただ...この美術館は床が硬いからなのか...わたしの後に結構間を置いて入ってきた若い(=多分)女性ふたり連れがいちいち話し合ってる...と言っても専門的な議論とかではなく"わぁ!面白い"みたいなそれや、今ここで話さなくてもいいような日常話が...別に高い声でなくとも回って伝わってきて、聴きたくもないのに聴こえてしまうんですよね。
こういった施設の設計を志してるかたにはお願いしたいですね。目で観る施設ではあっても、いやむしろそういう施設だからこそ、話し声を含めて音を吸収するような空間にして欲しいよな、と。
このふたり、ずーっとずーっと話し続けてて、結構離れたわたしのところまでいちいち喋り声が届いて耳障りでした。
ブースの区切りや距離もありますが、反射の関係か近くても聴こえなかったり、離れてても聴こえたり。
結局、カナルタイプのイヤフォンを耳に入れたらちょうど好い感じに話し声が聴こえなくなり、じっくり鑑賞できました、と。
図録プラスアルファ.jpg
近年は美術展に行っても図録を買うことは少なくなりましたが、これはヤッパリ買わなければ、と。積年の課題でしたし。
で、それだけでなく...常々思ってたロシア語学習関係で...幼児向け絵本なら読みやすいかも?とか思ってたんですよね。で、『幻のロシア絵本 1920-30年代』という、過去に他の美術館で行われた展示の図録を見つけて、これさいわい、と。
『ユートピアを求めて』も『北大路魯山人展』も、どちらもお薦めです。全て鑑賞をじっくり楽しんでも二時間半くらいでしょうか。
『ユートピア〜』は11/24まで、『魯山人展』は12/21までやってます。興味あるかたは是非!
(つづく)
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このロシアポスター私も楽しみにしてたものです。
何か月か前に葉山だったか横須賀だったかでやっていたのですが,さすがに遠くて砧に巡回するのを待っていました。
今度は逃さず見に行こうと思っています。
って食べ物ネタがないな。。。砧は意外とごく普通の食堂みたいなお店がオシャレなお店と混ざっているのが面白いですね<ちょっとムリヤリ。
これ、純粋に美術として面白いですが、当時の社会状況(←ロシア革命前後から社会主義体制へ...と)なども平行してアタマに置きながら鑑賞すると、こういったそれ〜ポスターは社会の反映でもありますし、そこのところの面白さがたまんないです。
仰るとおり、この展示の前は昨秋から今春にかけて葉山だった模様。
これで打ち止めというか、今後は巡回も無いみたいですので、お時間あれば是非!興味あるかたにはとにかく面白い展示です。
で、今回は全三回に亘ってお送りします。最終回に美味しいもの情報はアップしますよん♪
用賀って、案外面白いところだなと思いましたが、やっぱりそれは高所得者層あってのものかな?とも。蜂蜜専門店とか何々専門店とか(笑)。
ちょっと面白い地域です。砧公園散策を含めれば一日かけて楽しめるかも知れません。
砧公園は遠いわ。電車で行くと大回りで遠いんですよねぇ。
車でなら垂直に南下すればいいんだけど、道が混むしな。
一度花見に行った記憶があるんですが、どうやって行ったのか覚えてません......
タカラトミーアーツから出ている魯山人納豆鉢の紹介で
305回で醤油を入れて、全部で424回かき混ぜるべしという
魯山人先生が到達した究極のかき混ぜ回数を知りました。
納豆を食べるときは実践しています(笑)
チェルニコフは無かったと思いますが、あれは好いですよね。わたしも実物を観てみたいです。
で、確かにそちらからだと遠いですよね。縦移動ともなると、環八はいつも混んでるし。
でも、興味がおありなら一日かけても無駄にはならないと思いますよ。
納豆鉢の紹介記事って、もしかしてGIGAZINEでしょうか。わたしも見ましたが、何てクレイジーな製品を作ったんだと驚いたものです。
さすがにわたしはそこまでかき混ぜてられません(笑)。
いやー,質量ともにすごかったです。そして全体にまとわりつく息苦しさ。作家紹介のキャプションのたびに没年をチェックしてしまう。大粛清に掛かっているんじゃあるまいなって<歴史を知っている後出し視点だからですが。
冒頭の壁新聞風ポスターでも,一人抽象めいた表現で気を吐くマヤコフスキーを見て,なるほどこのヒト絶対この後保たないよと思ってしまう。
映画のコーナーは,意外とこんなハリウッド作品まで来ていたのと素直にデザインを楽しめました。特に前半は不思議とソ連国産映画と輸入映画が見ただけで何となくわかってしまう。多分人物の顔付き化粧法服装によるものなんでしょうけれども。
それでもステンベルグ弟の夭折がバイク事故によるもので逆にほっとする。
政経プロパガンダ系統のポスター,実はこちらがメインの展示なのかなと思っていたのですが,この流れで見ると本当にしんどかった。クルーツィスの最後も知っているだけに。
そして全体を通じてロシア語が読めたらなあと心底思いました。英仏独あたりなら何となく分からないのではないのですが。ロシア語はそもそもアルファベットの形が分からないw。
いろいろ書き流しですみません。お寿司屋さんのカレーとか別館の方で気になるお話もあるのでまた。
ではでは。
おおっ!楽しまれたようで何よりです。
確かにあれだけのコレクションは、質量共に圧倒的ですし、しかも個人でのコレクションというところにも驚いてしまいます。
そうなんですよね、確かに作者が"いつ"亡くなったのかとか、没年が気になる展示でした。
で、革命から映画ポスターを経て、自由に物言えぬ時代へと進むソ連の重苦しくなっていく空気感みたいなものも感じられました。
ポスターの何たるかも理解できましたし、これは観に行って好かったと、図録を眺めながらつくづく思います。