2003年に世界各国で公開された、
叙事詩的時代劇アクション映画「ラスト サムライ」。
1877年に西郷隆盛を盟主にして起こった西南戦争と、
外国勢力による日本の西洋化にヒントを得た作品で、
海外作品ながら、武士道とはどんなものなのかを、
偏見なく描こうとした意欲作でした。
映画やエンタメ情報を専門的に扱うメディア、
「Movies and Delight」は、
「正論を述べていた映画の"悪役"」として、
「ラスト サムライ」の大村(演:原田眞人)の名を挙げ、
その理由を以下のように綴っています。
「『日本は強くなる事で列強に抵抗しなければならない。
そのためには富国強兵を目指さなければならない』
おそらく大村の意図は自己利益を追求しており、
日本が近代化していく過程において、
自分の財布を肥やすことを目指していただろう。
しかし、彼の手法と目標は日本全体のために最善であり、
士族反乱の領袖である勝元(演:渡辺謙)の目標は、
日本の遺産と古い生活様式を保護することにあった。
大村は日本のために何がなされるべきかを理解していた。
欲望と力への飢えが根底にあったにせよ、
日本が世界の舞台で競争するためには、
近代化が必要であるという事実を認識していたのだ。
列強により国土を切り取られないためには、
日本は西洋のやり方を受け入れなければならなかった。
そして大村は、そのために中心に立っていた。
近代化により古いやり方は忘れ去られるかもしれないが、
最終的には日本は新しい世界で生き残り、繁栄する。
明治政府側は結局のところ正しかった。
『日本は新しい物を導入しなければならない』。
日本の未来はまさにこの考えにかかっていたのだ」
上記の指摘に対して、世界中から意見が寄せられていました。
その一部をご紹介しますので、ごらんください。
「日本人との差は何なんだろう...」 明治維新を成し遂げた日本にアフリカから羨望の声 screenshot 54
(追記) (追記ここまで)
翻訳元(シェアページからも)
[
フレーム]
■しかく 歴史を見れば、結局は大村が正解だった。
当時の武士階級、特に反乱軍たちは、
1600年ごろと同じように、比較的平和な時代に、
基本的には漫然と日々を過ごして、
俸給を受け取るような生活をしてたし。
+159 アメリカ ■しかく 1600年は日本の歴史の中で、
最も激動の時代だったけど🙂
+13 ポーランド ■しかく でも大村は、明治初期の内務大臣で、
元士族の大久保利通がモデルだよ。
フィリピン■しかく 当時の世界の現実を真に理解してたのは、
アジアでは日本だけだったと思われる。
そういう面がちゃんと描写されてるから、
俺はこの映画が大好きなんだ。
+10 イギリス ■しかく シャム、今のタイもそうだったよ。
+7 タイ■しかく 西洋化に抗おうとした場合に、
そういった国内における葛藤はよく起きた。
日本然り、オスマン帝国然り。
+73 アメリカ■しかく 俺は古い価値観に固執する人を評価しない。
この世に変わらないものなんて1つもなくて、
変化を進歩的なものに形作るために努力すべきなんだ。
だから「ラストサムライ」に本当の主人公がいるとすれば、
国、この場合は日本の近代化を進める一方で、
それに付随する腐敗と戦う人物像。
+4 ギリシャ■しかく 俺もサムライ映画は大好きだけど、
実際にはサムライは軍事独裁政権の支配階級だった。
もし明治政府に権力が移行してなかったら、
彼らは日本を農耕的な封建社会として維持して、
すべての富と権力を自分達に集中させたはず。
近代化は植民地勢力から日本を守る、
唯一の方法だったと俺は考えてる。
+19 ニュージーランド■しかく 実際に明治政府は日本を近代化して、
強大な国に勝るほどの大国に導いたのにね。
+30 ポーランド「まったく日本人は...」 歴史が繋いだ日本の小学校とアルゼンチンの友情に感動の声 ■しかく 中世的な封建制度を敷いていた日本が、
西洋(ペリー提督)の近代技術と出会ってから、
たった55年以内に列強にのし上がった。
当時の日本の変化の速さには、
今なお興味をそそられてしまう。
+8 ■しかく 映画はよく出来てるし感動的な場面もあるけど、
薩長同盟(1877年)の歴史をかなり歪めてる。
西郷隆盛は単に昔を懐かしむような、
そういうロマンチストではなかったよ。
明治維新や近代化運動に参加したにもかかわらず、
武士の称号や特権が廃止されたから、
それらを維持したかった西郷は怒ったんだ。
実際には武士の特権を回復させたかったんだよ。
明治の時代は大部分が寡頭政治だったけど、
少なくともかなりの実力主義ではあった。
反乱軍の戦いはロマンチックに語られてるけど、
反乱の最中はそうじゃなかったし。
+153 カナダ ■しかく 素晴らしい。俺もその見方に同意する。
「ラストサムライ」は名作映画だけど、
現実の歴史とは大きくかけ離れている事は、
肝に銘じなければならないと思う。
それでも友人が紹介してくれた、
最高の映画の1つだけど。
+3 アメリカ ■しかく 世界史に共通するテーマのようだ。
+3 フランス■しかく 大村(のモデル)は今でも日本で尊敬されてる。
映画版は彼のキャラクターを完全に台無しにした。
だけどそのおかげで映画は非常に面白くなって、
トム・クルーズは好感の持てるヒーローになった。
この映画はより正確な歴史的背景を踏まえて、
リメイクされるべきだと思う。
+71 ■しかく ちなみに主人公はアメリカ人に置き換えられてるけど、
実際に主人公のモデルになったのは、
フランス人のジュール・ブリュネね。
+5「日本史に影響を与えてたのか!」 サムライと共に戦ったフランス人の存在に現地が熱狂 ■しかく 非常に熱い意見だけど、間違いなくその通りだ。
目的が実際に手段を正当化する場合もある。
多くの場合、新しく強い未来を望む場合、
現在を破壊することを伴うんだから。
+29 アメリカ■しかく だけど渡辺謙が演じた勝本は、
明治政府側が自分たちが何者で、
何を代表しているのかを忘れない限りは、
近代化に反対してなかったはず......。
+5 ドイツ■しかく サムライは日本の騎士団。
そしてヨーロッパの騎士も日本のサムライも、
過大な栄誉と評価を受けてきた。
一般人よりもはるかに多くの権利を持ってたから。
笑っちゃうことに現代人は特権階級に批判的なのに、
サムライや騎士は大好きなんだよな。
+29 ニュージーランド ■しかく 武士は全員が豊かという訳ではなかったよ。
+3 ■しかく 結果として大村側は正しかったわけだけど、
彼の関心は国の安全保障ではなかった。
あくまでも自分の経済的利益だ。
+25 アメリカ■しかく 19世紀のサムライは武士ではなかったでしょ。
日本は200年間平和な時代を送ってたんだし。
サムライは官僚になってたんだよ。
+8 イギリス■しかく 西南戦争では両陣営とも西洋風の軍服を着用してたし、
銃も使用して、西洋人の顧問だっていた。
1540年代にポルトガル人によって導入されて以来、
日本には銃がかなり豊富にあったし、
長篠の戦いで使用されたことでも有名だ。
サムライが自分たちの生活様式を守ろうとしていた、
という考え方は、すべて映画のでっち上げだよ。
だって1500年代の終わりごろには、
欧州全土を合わせたよりも多くの火縄銃が、
日本にあったんだから。
+150 アメリカ「なぜ侍は盾を使わないんだ?」 戦国時代の合戦を再現した映像が海外ネットで大反響 ■しかく 当時の日本で銃が普及してたのは事実だけど、
徳川家康が禁止にした事も忘れてはいけない。
だいだい1700年代までには、
ほとんどの銃はなくなった。
+5 ルーマニア ■しかく あの剣豪宮本武蔵ですら、
「五輪書」で銃に言及してるからね。
+7 ■しかく そして実際に明治政府は正しく物事を行った。
現代の日本は先進国の一員であり、
欧米諸国と肩を並べてるんだから。
+8 ベナン■しかく 最高の物語は「悪役」の動機に共感できる物語。
明治政府側のやり方に同意するかどうかが、
違いを生むって俺は思ってるけどね。
+3 カナダ■しかく 中世の武士は誇り高き戦士だった。
だけど江戸時代の将軍の戒厳令の下で、
何世代にもわたって平和が続いた結果、
多くの武士が傲慢な官僚になってしまった。
このことは「ラストサムライ」が公開されたときに、
日本の人たちからも指摘されてたよ。
+26 アメリカ■しかく 実はすべてのサムライが、
文字通りの武人だったわけではないんだがね。
インテリ層の武士は明治期には楽な仕事にありつけた。
明治初期に武士の反乱を引き起こしたのは、
当時の陸海軍に吸収される事にはならなかった、
剣士たちだったんだよ。
+30 シンガポール ■しかく ローマ帝国に関する話題と同じだよね。
「サムライ」も時代によって全然違う。
後期のサムライたちは初期とは、
あるいは戦国時代とは別物。
アメリカ「日本は現代のローマ帝国だ」 日本のふとした日常の光景にイタリアから驚きの声 ■しかく ほとんどの「悪役」には一理あるものだ。
彼らのやり方には深い欠陥があるかもしれないが、
その指摘は哲学的に妥当であることが多い。
+29 ■しかく 天皇は大村の改革が必要であると認識し、支持した。
だからこそ勝元は政府中枢から追放されてしまった。
問題は、それ(改革)を達成するための、
大村の振る舞いにあったんだよ。
+8 イギリス■しかく 俺たちは感情的にはサムライと一緒だけど、
近代的な政治をやらなきゃいけない事を、
頭では分かってしまってるからなぁ。
+4 アイルランド■しかく 大村にも一理あるが、勝元にも一理ある。
勝元は日本社会の変化があまりにも速いと感じてた。
そして彼にとって神聖な存在である天皇が、
国家の事など考えていない政府要人に使嗾され、
コントロールされているとも考えていた。
勝元は天皇の師という神聖な義務も負っており、
その義務を懸命に果たしただけなんだ。
+13 ブラジル
多くの外国人が侍に共感し、映画も名作だとした上で、
当時の日本は近代化以外に独立を保つ方法はなく、
「悪役」的な立ち位置であった大村こそが、
政治的には正しかったと考えているようでした。
(追記) (追記ここまで)
- 関連記事
-
人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へ ↑皆様の応援が、皆様が考えている以上に励みになります。