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マーケティング気象台 第3回「サクラが早く咲くと景気が良くなる?」

2018年04月02日

株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
企画部 アシスタント・ディレクター 宮沢弥栄子(気象予報士)


「清明(せいめい)」
玄鳥至(つばめきたる)
―燕が日本に渡ってくる時期、4月5日ごろ。本格的に春を感じるシーズン。


今の時期、七十二候では南の国で冬を過ごしたツバメが日本に渡ってくる季節にあたる。
実は気象庁から毎年「ツバメが来た日」が公式に発表されているのをご存じだろうか?

全国各地の気象台の決まった地点で、統一された基準によって、植物が開花した日や紅葉した日、鳥や虫の鳴き声を初めて聞いた日などを目と耳で観測・記録している。これは「生物季節観測」と呼ばれるもので、主に以下のような生物が対象になっている。


《植物》
・開花日...うめ、あじさい、さくら
・紅葉日(黄葉日)...かえで、いちょう

《動物》
・初鳴日...うぐいす、あぶらぜみ
・初見日...つばめ、もんしろちょう、ほたる
(注記)この他、地方気象台によって独自の動植物が定められている


ツバメは初めて見た日が「初見日」として観測されている。2018年3月末の時点では中国・四国から近畿、東海地方、北陸の一部まで初見が確認されているようだ。

東京の場合、大手町にある東京管区気象台からおおむね5Km圏内で見られると「来た!」と認定され、時期は毎年4月7日ごろになることが多いらしい。残念なことに「ウグイスの初鳴き」は2000年以降東京では観測されていない。もちろん東京でも鳴き声を聞くことはあるが、大手町近辺には来なくなってしまったらしい。ツバメはいつまで見られるのか、気になるところである...


しかくサクラの開花が早い年は景気が良くなる!?
生物観測で大きなニュースとなるのは何といってもサクラ。今年の東京都心の開花日は3月17日と、平年よりも早めとなった。1991年以降の東京のサクラの開花日推移をみると、少しずつ早まっているように見える。


地球温暖化の影響により、21世紀後半には桜の開花が東北地方で今より2〜3週間早くなり、九州以南では満開にならない地域が出てくるという予測もある。

そこまで早くなっては大変だが、最近「サクラの開花が早いと景気がよくなる」という気になる情報があった。

サクラの開花には春の気温上昇と冬の寒さが関係している。前年の夏ごろから花のもととなる花芽(かが)ができ、その後一旦休眠状態に入る。秋から冬にかけて低温に一定期間さらされると休眠状態から目覚め(休眠打破)、さらに春の気温上昇が続くと花芽が成長して開花する。

つまり開花が早い年は「冬はしっかりと寒く、春の訪れは早い」のが特徴で、このような年はエアコンや冬物・春物衣料がよく売れ、外出も多く消費が活発になる、という説だ。実際に過去のサクラ開花日と経済指標データを見ると、開花が早かった年は株価やGDPの伸び率が高かった年と重なるらしい。


今の時期、人間の体は気温・湿度や日照時間の変化を感じ取り、基礎代謝が下がる「夏モード」へと変わり始めている。そのメカニズムは複雑でサクラの開花の休眠打破のように解明されているものではないが、「気象条件の変化によって生体機能のスイッチが入り、行動や現象となって現れる」ということはヒトもツバメモンシロチョウも同じはずだ。そう考えると、生物季節観測は景気予想や需要予測と意外と相性がいいのかもしれない。




―2018年3月30日、多摩市、満開の桜並木




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【参考文献】
石川勝敏 (2007) 成美堂出版
気象庁:生物季節観測の情報
くらしの経済メディア MONEY PLUS 「桜の開花条件が景気に連動」

2018年04月02日

category:マーケティング気象台
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