Werner症候群は、1904年にドイツの医師Otto Wernerにより「強皮症を伴う白内障症例」として初めて報告された常染色体劣性の遺伝性疾患です。
本症は、思春期以降、様々な老化徴候が出現することから、代表的な早老症候群の一つに数えられています。
本症患者は、思春期以前は健常人と全く変わらないことも多く、女性患者では妊娠、出産が可能な場合も多く、幼年期から好発する早老症であるハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(プロジェリア症候群)に対して、「成人性プロジェリア(Adult Progeria)」と称されることもあります。
第8染色体短腕上に存在するRecQ型DNA/RNAヘリカーゼ(WRNヘリカーゼ)のホモ接合体変異により生じることがわかっています。
我が国におけるWerner症候群の発症頻度は100万人に1〜3名の割合とされ、これまでは主に近親婚の多い地域で報告されてきました。しかし、神奈川県内で一般住民1000人を対象として行われた検討によれば、6人が代表的なWRNヘリカーゼ遺伝子変異をヘテロ接合体として保有していたことが報告されています。すなわち、単純に計算すれば、毎年およそ23人のホモ接合体(即ちWerner症候群患者)が我が国で出生していると推定されます。
ウェルナー症候群が日本人に多い理由は、最も大きな要因に、日本人の祖先にウェルナー症候群原因遺伝子を持つ人が 他地域より多く存在していたという可能性が考えられます。過去のWerner症候群の症例報告をまとめた検討では、世界各地で約1200例の症例報告の内、8割が日本人であり、我が国に非常に多い早老症候群であると言われています。(千葉大学大学院医学研究院細胞治療内科学)
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ー上記画像はワシントン大学のウェブサイトから引用しています。ー