傘と笠

傘

歌舞伎舞踊でも、傘は現代の傘と同じく雨や日光をよける用途で使われます。

『かさね』では日傘の役割の他、立廻りにも使われます。

『将門(まさかど)』の滝夜叉姫(たきやしゃひめ)は春雨の中、蛇の目傘(じゃのめがさ)を差して登場します。蛇の目傘は開いた模様が蛇の目のように見えることからこう呼ばれています。

『娘道成寺(むすめどうじょうじ)』で所化(しょけ)という若い僧たちが使う花のついた花傘は、実用性はなく、踊りを華やかにするために使います。

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笠

笠は傘と同じ用途で使われるもので、主に旅をしている人物が用います。

主従の旅の『吉野山(よしのやま)』では、忠信も静御前も笠を持っています。忠信の笠はわらや竹を編んだ編笠(あみがさ)の1種です。横から見るとまっすぐな形なので一文字笠(いちもんじがさ)という名がつけられています。静御前の笠は市女笠(いちめがさ)といい、市で物を売る市女が用いていたのでこの名前があり、平安時代中期から上流階級の女性の外出用として使われていました。

『娘道成寺』の花子の笠は振り出し笠と呼ばれる3つの笠が繋がったもので、実用性はなく、踊りを華やかに彩ります。