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第1章 第3章

第2章 家計からわかる暮らしの特徴

家計支出の内容は、住んでいる地域によって違ったり、暮らしぶりの変化に伴い変わります。ここでは、家計からわかる暮らしの特徴を取り上げて見てみましょう。

1. 食生活から垣間見える土地柄

消費者の食生活には土地柄によって特徴が表れます。

都道府県庁所在市及び政令指定都市別の結果(二人以上の世帯)から、代表的な品目を取り上げました。

「かまぼこ」の支出金額全国一の仙台市

仙台市は、かまぼこの2022〜2024年平均の1世帯当たりの年間支出金額が8,222円で、全国平均(3,214円)の2.6倍となっています。

宮城県の名産品である「笹かまぼこ」は、県内に数多くの老舗や専門店があります。

「塩さけ」の支出金額全国一の新潟市

新潟市は、塩さけの2022〜2024年平均の1世帯当たりの年間支出金額が5,212円で、全国平均(2,361円)の2.2倍となっています。

新潟県では、鮭の塩引きは冬の風物詩としても親しまれ、お土産としても有名です。

「食パン」の支出金額全国一の神戸市

神戸市は、食パンの2022〜2024年平均の1世帯当たりの年間支出金額が14,204円で、全国平均(10,497円)の1.4倍となっています。

神戸市では、港町としてパン文化が早くに根付き、パン祭りなどのイベントも多く行われています。

下の表は、2022〜2024年平均の品目別「年間支出金額」又は「年間購入数量」が、全国で上位(青の太字は1位)である主な品目(食料)について、それぞれの地域の特徴を踏まえ、まとめたものです。

都道府県庁所在市

品目

札幌市 さけウイスキー、他の生鮮肉(羊肉など)、さんま
青森市 りんごほたて貝ビール
盛岡市 中華麺こんぶゼリー
仙台市 かまぼこ、わかめ、カップ麺
秋田市 生しいたけほうれんそう、だいこん漬
山形市 中華そば(外食)こんにゃく他の果物(さくらんぼ、洋梨など)
福島市 納豆しめじ
水戸市 メロン、せんべい、しじみ
宇都宮市 いちごサラダ、ぎょうざ
前橋市 きゅうり、ドレッシング、乳酸菌飲料
さいたま市 パスタチョコレートピーマン
千葉市 キウイフルーツワイン、調理パン
東京都区部 チーズ飲酒代、バター
横浜市 しゅうまいかぼちゃ紅茶
新潟市 塩さけさやまめ、天ぷら・フライ
富山市 ぶりオレンジもち
金沢市 れんこんすし(外食)、アイスクリーム・シャーベット
福井市 油揚げ・がんもどきコロッケカツレツ
甲府市 ぶどうあさり、まぐろ
長野市 小麦粉えのきたけ、りんご
岐阜市 喫茶代和食(外食)
静岡市 まぐろしらす干し緑茶、じゃがいも
名古屋市 和食(外食)、喫茶代
津市 小麦粉、かき(貝)
大津市 コーヒー、他の洋生菓子、ハム
京都市 他の野菜の漬物(千枚漬など)なす牛乳
大阪市 はくさいチューハイ・カクテル、たこ
神戸市 食パン、紅茶、キウイフルーツ
奈良市 すし(弁当)、牛肉、生しいたけ
和歌山市 梅干しみかん、えび
鳥取市 かにいわしかれい
松江市 しじみ、さば、あじ
岡山市 ぶどう、桃、ソース
広島市 かき(貝)ソース
山口市 あじ他の野菜・海藻のつくだ煮(のりのつくだ煮など)
徳島市 さつまいも、ちくわ、生しいたけ
高松市 生うどん・そば日本そば・うどん(外食)
松山市 他の柑きつ類(伊予かんなど)、ちくわ
高知市 かつおはくさい漬、飲酒代
福岡市 たらこ風味調味料、鶏肉
佐賀市 干しのりたい、ごぼう
長崎市 カステラあじ、かまぼこ
熊本市 鶏肉、他の生鮮肉(馬肉など)、マヨネーズ・マヨネーズ風調味料
大分市 鶏肉、干ししいたけ、焼肉
宮崎市 焼酎、ぎょうざ、さば
鹿児島市 揚げかまぼこ焼酎
那覇市 かつお節・削り節にんじんハンバーグ

政令指定都市

品目

川崎市 ジャム、おにぎり・その他、パスタ
相模原市 レタスブロッコリー、ベーコン
浜松市 うなぎのかば焼きぎょうざ、緑茶
堺市 バナナたこ、はくさい
北九州市 さしみ盛合わせごぼう、たらこ

2. 最近の特徴的な支出

最近の家計消費の動き

2024年の消費支出は実質1.1%の減少となり、2年連続の実質減少

2024年の二人以上の世帯(平均世帯人員2.88人、世帯主の平均年齢60.4歳)の消費支出は、1世帯当たり1か月平均300,243円で前年に比べ名目2.1%の増加となりました。一方、物価変動(3.2%)の影響を除いた実質では1.1%の減少となりました。「食料」や「光熱・水道」などが減少したほか、「自動車等関係費」が減少となり、2年連続の実質減少となりました。

2024年における月別の動き

2024年の消費支出を月別にみると、1月は、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により「自動車等関係費」が減少したほか、暖冬の影響により、「電気代」、「ガス代」などが減少し、実質6.3%の減少となりました。

2月は、うるう年で前年より1日多かった影響もあり前月と比べ減少幅が縮小し、実質0.5%の減少となりました。

7月は、牛肉や豚肉から、鶏肉へ需要がシフトしている影響などにより「肉類」が減少となった一方、パリオリンピック・パラリンピック需要でテレビなどの「教養娯楽用耐久財」が増加したことなどにより、実質0.1%の増加となりました。

8月は、米の流通不足への懸念、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表や台風による防災意識の高まりから、米などの「穀類」やミネラルウォーターなどが増加となった一方、販売店の客足が鈍ったことにより「自動車等関係費」が減少し、実質1.9%の減少となりました。

12月は、価格高騰の影響で「野菜・海藻」、「果物」などが減少した一方、「保健医療サービス」、「洋服」など幅広い項目で増加し、実質2.7%の増加となりました。

統計豆知識 〜名目と実質〜

「名目」とは額面どおりの金額で、普段私たちがスーパーなどで目にしている金額そのものです。一方、「実質」とは、物価の変動の影響を取り除いたものです。

支出金額の名目増減率は、支払った金額の動きを示し、実質増減率は、支払った金額(名目)から消費者物価指数の変化分を取り除いた実質的な金額の動きを示します。実質増減率は、数量や品質の変化分に当たります。

2024年における主な品目別の動き

「電気代」の1か月当たりの支出金額を月別にみると、4月までは気温が高かったことによる暖房需要の減少などにより、前年同月と比べ低い水準で推移しました。一方で、7月以降は前年同月より高い水準で推移しました。

「米」についてみると、2024年は前年同月と比べ、1月以降上昇幅が徐々に大きくなり、特に8月以降、南海トラフ地震臨時情報の発表や台風等を背景とした買い込み需要などの影響で、上昇幅が大きくなっています。

「卵」についてみると、2024年は、鳥インフルエンザの感染拡大による価格高騰などの影響で高水準で推移した前年に比べ、3月から11月まで低い水準で推移しました。

「さんま」についてみると、近年は記録的な不漁で水揚げ量が減少していましたが、2024年は各地で豊漁となり価格が安定したことなどの影響により、8月以降高い水準で推移しました。

3. あの日には欠かせない この日には欲しい この品目

特定の日に購入が集中する「もち」と「チョコレート」

1年の中でも特定の日に購入が特に多くなる商品があります。

2024年12月の「もち」の支出金額を日別にみると、特にクリスマスが終わった頃から支出が増え、最も多くなるのは12月30日(116.8円)となっています。年間を通じた1日当たりの平均支出金額の約25倍になっています。大晦日の前日で多くなるのは、お供えとして飾る鏡もちも含まれることもあり、いわゆる「一夜飾り」を嫌う風習も一因かもしれません。

また、「チョコレート」の支出金額は、バレンタインデー前に支出が増加しており、少し余裕をもってチョコレートを購入する世帯もいる一方、バレンタインデー直前に購入する世帯も多いようです。

4. 変わる季節性

購入時期が早まる通学用かばん

商品の中には、消費者が購入する時期が、昔とは異なってきているものがあります。

通学用かばんの支出金額は、20年前は年末から入学前にかけて多くなっていました。10年前は秋頃から多くなる傾向がみられました。最近では春から初夏にかけて多くなってきているなど、購入時期が大きく変化しています。

最近は、ランドセルメーカーや小売店が、祖父母が孫のために購入する需要を見込んで、親が子を連れて帰省する夏休みシーズンや4、5月のゴールデンウィークを狙い、春頃から翌年用のランドセルの新商品の販売を開始するようになりました。また、ランドセルの色や素材は多種類から選べるようになり、人気ブランドやデザインによっては、早々に売り切れることも珍しくないため、購入時期が早まる傾向にあるようです。

「通学用かばん」の月別支出金額(二人以上の世帯)

[画像:「通学用かばん」の月別支出金額(二人以上の世帯)のグラフ。2022〜2024年度平均、2012〜2014年度平均、2002〜2004年度平均の各月の支出金額を示している]

注1 2022年4月から2025年3月までの月ごとの平均

注2 2012年4月から2015年3月までの月ごとの平均

注3 2002年4月から2005年3月までの月ごとの平均

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