昨年9月に、地球環境論文奨励賞を受賞された藤森真一郎研究員にインタビューを行いました。
そうですね、はい。
感想。うーん、(賞を)もらっていいのかなっていうのは若干思います(笑)。
僕がやってる研究は、どちらかと言うとモデルやデータの準備に労力と時間がかかりますが、今回の研究はどちらかというと入念に設計した研究というつもりはあまりなくて、できたモデルを少しアレンジして、出てきた結果を解析して論文に出した、という感じでした。(自分の中で)苦労がそんなに大きくなかったので、自分の苦労感と受賞されたことに対するギャップが若干あるな、と感じています。
実は、当初この論文は書くつもりはありませんでした。ですが、甲斐沼さん(元社会環境システム研究センターフェロー)がこのテーマで絶対書いたほうがいいと強く勧められたので、書こうかなと思って書いた論文でした。なので、甲斐沼さんがいなければまったく実現しなかった受賞ですし、甲斐沼さんに対してはとても感謝しています。
前半では普段の研究内容や、特に、モデルが可能にすること、についてお話しいただきました。
後半は研究者になったいきさつや、やりがいについてのお話です。
分かりやすい例で言うと、僕らは物が高くなるとそれを買わなくなって、安い物を選ぶといったことをしますよね。例えばレタス高くなってきたらちょっとやめて安いピーマンにしようとか(笑)。ちょっと変な例かもしれないですけど、同じようなことで、ちょっとガソリン高くなってきたからちょっと交通を控えて、近くの公園で遊ぼうとかいったことが家庭の消費関数というところで表現されています。
産業のほうはもう少し生産技術的なことを考えていて、さっき言ったように、例えば電力価格が上がってきたので、できるだけ電力を使わない機械を導入するといった行動が関数として入っています。でも、色んな人の行動によってさまざまなモノ、サービスの価格が変わるんです。その産業が、じゃあ仮に自動車工場としましょう。新しい最新鋭の機械を導入したがために、自動車のコストが上がり、自動車の価格が上がるとします。そうすると、その自動車価格が上がったら家庭では自動車を買う量をちょっと控えて、ほかのもの、例えば電車代を余分に増やします。すると次に、電車の需要が増えるので…というような変化の波及が全体として描かれている、というのがCGEモデルです。
(聞き手:杦本友里(社会環境システム研究センター)、2015年9月28日インタビュー実施) (撮影:成田正司(企画部広報室))