粘液腫(形が不規則でゼリー状の非癌性腫瘍)、皮膚色素斑(ほくろやそばかすに似た皮疹)、さまざまな内分泌機能の 亢進 状態(ホルモンの過剰など)を主な症状とする病気で、発見者の名前にちなんで命名されています。多発性腫瘍症候群の一つです。
国外では750例以上の報告や症例登録があり、国内では50例程度が報告されていますが、正確には不明です。まだ診断されていない患者さんが少なからずいると推測されています。
性差や地域差、生活習慣との関連ははっきりしません。家族に同じ病気の方がいれば可能性は高まりますが、必ず遺伝するわけではありません。
患者さんにはPRKAR1A(protein kinase A regulatory subunit 1-α )という遺伝子が普通と異なる場合が比較的多くみられますが、他にも原因にかかわっている遺伝子があると想定されています。
上記の遺伝子が普通と異なる場合には遺伝する可能性がありますが、偶発的な場合もあり得ます。
皮膚の症状(ほくろやそばかすに似た皮疹)や、粘液腫と呼ばれる非癌性腫瘍が皮膚や心臓・乳房・骨などに発生することがあります。その他、副腎や下垂体・甲状腺・精巣・神経・乳房などに腫瘍(多くは非悪性の腫瘍)が発生することがあります。発生した腫瘍の種類や場所によって症状は様々で、 特異的 な症状はありません。
発生した腫瘍に対して、可能であれば外科的治療を行います。その他、内分泌機能が亢進している場合には、その内分泌機能を抑制する薬物治療を内科的に行う場合もあります。
症状は生まれた時に出現していることもありますが、この病気だと診断がついた時の平均年齢は20代とされています。診断確定後にも新たな腫瘍が発生する可能性があります。また、発生した腫瘍の治療に奏効すれば、通常の寿命を全うできるものと思われますが、一部の患者さんは若年死することが報告されています。なお、この病気の死因の半分以上が心臓関連と考えられています。
診断確定後も検査などを継続的に行って、新たな腫瘍発生の早期発見・早期治療に結びつけていくことが重要だといえます。
深く関連する病名
原発性色素性結節状副腎皮質病変(primary pigmented nodular adrenocortical disease:PPNAD)
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