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刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会 (第349回)議事要旨

1 日時
令和6年8月8日(木)14:00

2 審査件数
検討会付議件数 審査結果
処理案相当 再調査相当 処理案不相当
21件 20件 1件 0件
3 意見その他
(1)書籍等の閲覧を禁止された措置の取消しを求める再審査の申請について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から以下のとおり意見が付された。
書籍の閲覧は、憲法上の知る権利に関わるものであるから、原則として制限されるべきではなく、刑事施設の規律・秩序の維持、もしくは受刑者の改善・更生において、放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性がある場合に、必要かつ合理的な範囲に限って、制限が許容されると考えるべきである。
この点、本件書籍は、刑事施設からの逃走事件を題材にしたものではあるが、提示された資料を読む限り、大半は広く報道された内容である上、一部に逃走の具体的な方法に関する記述があるものの、それ自体は80年近く前の事件に関するものであり、現在に通用するとは考えにくい内容である。また、全体として、逃走した者の動機や背景事情、制度等に焦点を当てた内容のようであり、少なくとも逃走をあおったり、逃走者を賛美するような内容はうかがわれないことに鑑みても、本件書籍を読むことにより、(一般的抽象的な懸念のレベルを超えて)刑務所の規律や秩序を害する相当の蓋然性があるとは言い難い。
もとより、本件書籍は、通常の書店で、誰でもが普通に購入することができる類のものである。このように、広く流通して一般市民に提供されている書籍を閲覧する自由は、知る権利の一環として、受刑者に対しても可能な限り保障されるべきである。本件書籍につき、逃走の具体的な方法に関する記述部分が問題であるとするならば、受刑者にその旨を説明し、受刑者の同意を得て、その部分を抹消して閲覧を許可することも可能であったと思われ、そのような対応もなく全面的に閲覧を制限した本件について、法務省意見を相当と判断するのは困難である。
(2)保護室収容を違法又は不当とする事実の申告について、「法務省意見相当」との結論に至ったが、1名の委員から、以下のとおり意見が付された。
保護室収容の契機となった、職員に申告人が味噌汁をかけた行為に関しては、意図して職員に味噌汁をかけたとする職員の判断は著しく不合理であるとはいえない。よって、その後の申告人の挙動をも踏まえ、保護室に収容するとした指揮者の判断に違法な点はない。
しかしながら、上記の行為については、不安定な精神状況の下で、食器口に複数積まれたカイロに味噌汁椀がぶつかることを避けようとして、満杯になっていた味噌汁椀を制御できず、結果として、職員に味噌汁をかけることになった、との可能性も排除できない。本件保護室収容後の時点において申告人に対し精神障害者保健福祉手帳が交付された事実を踏まえれば、申告人に対しては、施設入所の早い時点において身体・精神の状況を適切に踏まえた処遇方針を確立し、職員全体で共有することが望ましかったと考える。

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