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第219回国会(臨時会)衆議院法務委員会における平口洋法務大臣所信表明

令和7年11月18日(火)
はじめに

法務大臣の平口洋です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、委員長、理事及び委員の皆様には、法務行政の運営について格別の御理解と御尽力を賜り、心より御礼申し上げます。
法務省は、基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護に加え、国民の重大な関心事である出入国及び外国人の在留の公正な管理も担っており、法の支配のもとで国民の安全・安心を守るという重大な使命を与えられています。
私は、法務大臣として、これらの役割・使命を果たすため、これから述べる具体的課題に全力で取り組んでまいります。

法務行政の具体的課題への取組

1 安全・安心な社会の実現に向けた取組
まず、安全・安心な社会の実現に向けた取組についてです。

(再犯防止に向けた取組)
「第二次再犯防止推進計画」に基づき、国、地方公共団体、民間協力者が役割を果たしつつ、相互に連携することで、再犯防止に向けた取組を推進します。
保護司、更生保護事業者、協力雇用主等の民間協力者への支援を行うとともに、更生保護に関する地域援助等の取組を通じて、地域における「息の長い」支援の充実強化に努めます。
また、更生保護制度の充実を図るため、保護司の適任者確保、活動環境の改善及び安全確保に関する規定の新設などを内容とする「更生保護制度の充実を図るための保護司法等の一部を改正する法律案」について、今国会での成立を目指します。

(拘禁刑の理念の実現に向けた取組)
本年6月に導入された拘禁刑の理念の実現に向け、刑事施設で働く職員が使命感を持って職務に取り組み、併せて地域社会との連携を深めることで、個々の受刑者の特性に応じた処遇や社会復帰支援を推進します。

(公共の安全の確保)
公安調査庁において、公共の安全を脅かし得る偽情報の拡散を含む対日有害活動、経済安全保障、サイバー空間上の脅威、国内外におけるテロ関連動向に関する情報の収集・分析等にも努め、政府の施策に積極的に貢献します。
北朝鮮に関して、核・ミサイル関連の動向、日本人拉致問題を含む対外動向や北朝鮮内部の状況等について、関連情報の収集・分析等を進めます。
我が国の領土・領海・領空の警戒警備に関しても関係機関と連携し、適時の情報提供を行うなど、適切に対処します。
いわゆるオウム真理教について、観察処分の適正かつ厳格な実施や「Aleph」に対する再発防止処分の実効性の確保等を通じた公共の安全の確保に努めます。

2 出入国及び外国人の在留の公正な管理を実現するための取組
次に、出入国及び外国人の在留の公正な管理を実現するための取組についてです。

(出入国在留管理の一層の適正化)
出入国審査環境を整備するとともに、「共同キオスク」の配備や、JESTA導入の準備等、デジタル技術等の活用による出入国審査業務の高度化に取り組みます。
長期収容・送還忌避の課題解消に努めるとともに、「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」の着実な実施に取り組みます。
また、難民等の適切な保護・支援に取り組むなど、国際状況の変化に応じて適切に対応します。

(外国人材の適正かつ円滑な受入れのための取組)
育成就労制度の導入により様々な課題を解決し、外国人材から「選ばれる国」となるための魅力ある制度を構築するとともに、特定技能制度の適正化を図ることで、長期にわたり我が国の産業を支える外国人材が確保されるよう努めます。育成就労制度等の準備を進めるとともに、関係者に対する広報・周知に努めます。

(外国人との秩序ある共生社会実現のための取組)
外国人との秩序ある共生社会の実現のため、「外国人の人権に配慮しながら、法令にのっとって外国人を受け入れ、適切な支援等を行うとともに、不法滞在者等の法令に違反する者に対しては厳正に対応する」ことを基本として取り組みます。
また、外国人在留支援センター(FRESC)における支援等の取組を推進します。

(第二次出入国在留管理基本計画の策定等)
第二次出入国在留管理基本計画の策定に向けて、出入国在留管理政策懇談会を引き続き開催していきます。
また、本年11月4日に「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」が設置されたことから、外国人との秩序ある共生社会推進担当大臣と連携し、各種取組を進めます。
加えて、当該会議における総理指示に基づき、出入国在留管理庁に設置したPTにおいて外国人の受入れの基本的な在り方に関する基礎的な調査・検討を進めます。

3 時代に即した法務行政に向けた取組等
次に、時代に即した法務行政に向けた取組等についてです。

(法務・司法のデジタル化に向けた取組等)
改正刑事訴訟法等の施行に向け、関係機関と連携しながら、刑事手続等のデジタル化に向けた取組を進めます。
また、更生保護行政のデジタル化についても、スピード感を持って進めます。

(危険運転による死傷事犯に係る罰則の整備)
危険運転致死傷罪のうち飲酒類型や高速度類型に数値基準を定めることなどに関し、法制審議会において調査審議が行われており、その結果を踏まえて、必要な法整備を速やかに進めます。

(刑事再審制度の在り方)
刑事再審制度の在り方については、国民の関心も高いところであり、法制審議会の調査審議の結果を踏まえて、必要な取組をスピード感をもって進めます。

(売買春に係る規則の在り方)
売買春に係る規制の在り方について、近時の社会情勢などを踏まえ、必要な検討を行います。

(所有者不明土地問題への対策等)
相続登記・住所等変更登記の義務化は、所有者不明土地対策の中核であり、関係機関と連携し、周知・広報などに取り組みます。
また、登記所備付地図の整備について、新たな地図整備計画に基づき、地図作成事業を推進します。

(法教育の推進)
法教育について、基礎となる諸原理や法の役割を理解し、法的なものの考え方を身に付けられるよう、積極的に推進します。

(法務省施設の耐震化・老朽化対策等の強化)
法務省施設の耐震化・老朽化対策について、中長期的な視点に立ち着実に推進します。災害発生時の避難所としての機能確保にも努めます。

(高度・複雑化する法務・司法制度を支える人材育成等)
司法制度を支える人材を確保・育成するため、関係機関等と連携し、新たな法曹養成制度や法曹の魅力についての情報発信等の取組を推進します。

(裁判官・検察官の報酬等)
「裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案」及び「検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案」につき、今国会での成立を目指します。

4 困難を抱える方々への取組や国民の権利擁護に向けた取組
次に、困難を抱える方々への取組や国民の権利擁護に向けた取組についてです。

(犯罪被害者等への支援等)
犯罪被害者等に対して、「第四次犯罪被害者等基本計画」等に沿って、きめ細やかな支援を実施します。
「犯罪被害者等支援弁護士制度」について、法テラスとともに、運用開始に向けて、周知広報等の準備を進めます。

(性犯罪・性暴力対策の推進)
「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」等を踏まえ、引き続き、改正刑法等による厳正な対処に努めるとともに再犯防止施策の更なる充実強化等を図り、性犯罪・性暴力対策を進めます。

(困難を抱えるこどもたちへの取組等)
「児童虐待防止対策の更なる推進について」も踏まえ、関係機関と連携し、児童虐待の根絶に取り組みます。
父母の離婚等に直面するこどもたちの利益保護のため、民法等改正法の施行準備を進めます。

(様々な人権問題等への対応)
様々な人権問題への対応について、関係省庁等と連携し、人権相談や調査救済活動を充実強化するとともに、人権啓発活動等の取組を推進します。

(国民の司法アクセスの充実・強化)
法テラスにおいて、関係機関や地方自治体等と連携した支援の推進や、民事法律扶助の運用等、総合法律支援の充実に取り組むとともに、オンライン法律相談等のデジタル技術の利活用やデジタル基盤の強化を推進し、利用しやすい質の高い支援を提供できるよう体制の整備・強化に努めます。
裁判外紛争解決手続、いわゆるADRの利用・促進のための周知・広報を行うとともに、デジタル技術を活用したODRを推進します。
また、民事裁判情報の活用の促進に関する法律の施行準備を進めます。

(性同一性障害特例法の違憲決定への対応等)
最高裁判所で性同一性障害特例法に関する違憲決定がされたことについて、厳粛に受け止める必要があると認識しており、立法府の動向等を注視しつつ、関係省庁と連携して、引き続き所要の検討を進めます。夫婦の氏の在り方について、内閣府など関係省庁と連携して、旧姓の通称使用における課題の整理と必要な検討を行い、更なる拡大に取り組みます。

5 法務行政における国際貢献に向けた取組等
最後に、法務行政における国際貢献に向けた取組等についてです。

(法の支配の定着に向けた司法外交の推進)
「法の支配」や「基本的人権の尊重」といった普遍的価値を国際社会に浸透させるべく、その担い手となる国際法務人材の育成と国際機関との連携強化を図りつつ、司法外交を推進します。
「司法外交閣僚フォーラム」で実施されたASEAN諸国との法務大臣会合の定期開催に取り組むほか、「中央アジア+日本」法務大臣会合の実施に向けて準備を進めます。
中央アジア及び太平洋島しょ国地域やウクライナ等に対する法制度整備支援を戦略的に推進するとともに、UNAFEIによる国際研修等を通じた各国の刑事司法実務家の能力構築支援を推進するなどして、法の支配の定着に向けてリーダーシップを発揮します。
各国における再犯防止施策の充実に貢献するため、国連総会で採択が見込まれる再犯防止国連準則や、保護司制度を始めとする更生保護ボランティアの国際社会における認知度向上及び活用促進を図るとともに、拘禁刑導入を含む刑事施設での再犯防止施策の知見を各国と共有します。

(経済活動の国際化を支える環境整備)
我が国での国際仲裁の環境整備を進めるとともに、東南アジア地域等における普及を図り、また、UNCITRAL等の国際機関でのルール形成を主導します。
国際商取引を円滑化し、対日投資を促進する基盤として、関係省庁等と連携し、我が国法律の外国語訳の整備を推進します。

結び

副大臣、政務官及び法務省職員と一丸となって、法務行政の諸課題に取り組んでまいりますので、委員長、理事及び委員の皆様におかれては、一層の御理解と御協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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