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JOGMEC 独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構

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包括的なCCSへの支援

2050年カーボンニュートラル達成に向けたLNG等資源の脱炭素化や、水素・アンモニアの供給体制の構築のためには、CCS技術の活用やCCS適地の確保が課題となります。JOGMECは、CCSに関する技術的知見や審査能力の蓄積・強化、研究開発や資源開発と一体になったCCS事業の事業性評価、国内外の機関との連携等の取組を強化します。また、CCS事業の共同研究・技術スタディやCCS適地調査支援を強化します。

CCS事業の事業性評価、共同研究、技術スタディの実施

計画:
CO2の挙動シミュレーション技術の改良、CO2分離回収技術の開発など、CCSの事業化に寄与する地下評価及び施設関連の要素技術の高度化を進めます。さらに、東南アジアにおけるCCSを用いた高濃度CO2含有ガス田開発など、具体のフィールドを対象としたCCSの事業化を進めます。

具体的取組事例:
  • 枯渇した油ガス田や帯水層(地層水で満たされた地層)に対するCO2圧入シミュレーション解析
油ガス田開発において培われた貯留層シミュレーション技術の知見を活かし、枯渇した油ガス田(注1)や帯水層(注2)等の様々な貯留層条件下でのシミュレーション技術に取組んでいます。また、JOGMECとハリバートン社で協力し、帯水層における新たなCO2圧入シミュレーション手法を検討しました。それにより、従来の分析手法に比べ、より高精度に地下におけるCO2の挙動や拡がりを把握する手法を構築しました(注3)。
CO2の原油胚胎エリアへの圧入 (CO2-EOR:原油回収促進)、CO2の水没エリアへの圧入 (CCS:貯留メカニズム)
  • 新潟県南阿賀野市における二酸化炭素(CO2)を用いた原油回収促進技術(EOR)の実証試験に向けた共同研究の開始について
2021年4月より、株式会社INPEXと、CO2EOR効率改善技術を用いて地下に残留した原油の回収促進効果の実証試験に向けて、共同研究を開始しました。温室効果ガスの一つであるCO2削減効果についても検証予定です。 (参考)
  • 豪州LNG事業におけるCO2排出低減のためのCCS事業に向けた共同研究の開始について
2022年12月より、株式会社INPEXと、豪州北部沖合に位置するボナパルト堆積盆地において、CO2の長期地貯留の可能性を検証することを目的に共同研究を開始しました。INPEXが豪州にて操業するイクシスLNGプロジェクトから排出されるCO2の貯留や、豪州の北部準州政府等が主導するダーウィンCCUSハブ構想等の実現に資するものと考えています。
  • 新潟県柏崎市におけるクリーンな水素・アンモニア製造及び枯渇ガス田へのCO2圧入利用の一貫実証試験の実施について
新潟県柏崎市に位置する東柏崎ガス田平井地区を対象に、「天然ガス利用等における低炭素化を目的とした国内枯渇油ガス田を活用したCO2貯留可能量把握に関する実証試験」に関する共同研究を開始いたしました。本実証試験では、東柏崎ガス田の権益を保有する(株)INPEXと共同で、調査のための坑井データ取得、ならびに、水素やアンモニア製造といったクリーン燃料製造(注1)に伴って得られる CO2 を、生産が終了し枯渇した同ガス田の貯留層へ圧入する計画です。この実証試験により、国内枯渇油ガス田へのCO2圧入操業に係る知見の獲得に加え、CO2 貯留可能量把握に資する知見を得ることを目指しております。 (注1)水素・アンモニア製造の実証については、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業のもとで実施いたします。

実証試験のイメージ図

実証試験のイメージ((株)INPEX提供)

産油ガス国やアジアとの連携強化

計画:
現在の産油ガス国は CCS 適地も有すると目されるほか、ブルー/グリーン水素・アンモニアの供給も期待される中、それらの国々を対象に、エネルギートランジション、ゼロエミッション化に向けた研修を実施することで関係を強化します。具体的には、CCSに係る制度やCO2削減量評価に係るJOGMECメソッドの紹介、水素・アンモニア市場の動向や日本での最新の水素・アンモニア設備見学による最新技術動向の把握を通して、燃料転換・低炭素化の必要性や新燃料に対する理解を深めることを内容とします。研修に参加した人材が我が国との具体的な案件や制度設計に関与していくことを期待し、資源国との関係強化・研修事業を拡充・強化します。
また、今後水素・アンモニアの需要やCCSへのニーズの拡大が想定されるアジアとの連携を強化します。具体的には、CCSに係るCO2削減量の評価や事業実施のための制度整備を検討するとともに、水素・アンモニア市場を担う人材育成などを進め、アジアのゼロエミッション化へ貢献します。CO2削減量評価にあたっては、2022年5月に策定・公表したガイドライン(次項参照)を最大限活用し、アジア共通の手法の確立に貢献していきます。さらに、これらの連携を活かしてアジアにおけるブルー・グリーンのアンモニア製造を含むサプライチェーン全体での技術・経済性評価を行い、新規の出資債務保証案件の形成を促進します。

実施状況:
CCS/水素・アンモニア開発を含む協力に係る覚書の締結を、資源国政府、関係機関等の間で推進しています。政府の推進するアジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)、アジア・ゼロ・エミッション共同体(AZEC)構想の一環として、「エネルギートランジション研修」を、ASEANの複数国を対象に実施しています。今後は更に内容を充実させながら、中東を含むアジアへ広く継続的に展開していきます。
9月に広島で開催されたアジアCCUSネットワークフォーラムにおいて、METIとJOGMECはマレーシア国営石油会社ペトロナス社と温室効果ガス削減に貢献する2国間のCO2越境輸送・貯留に関する検討を推進すべく協力覚書(MOC)を締結しました。 (参考)

CO2削減の評価手法や方法論・認証枠組みの構築に対する積極的関与と貢献

計画:
CCSの事業化のためには貯留したCO2の長期安定性を検証し、信頼性を高めていくことが必要です。また、CCSによるCO2削減量や、LNG・水素・アンモニア等のGHG排出量やCO2排出原単位を評価することで、環境改善効果を定量的に示していくことも重要です。
かかる観点から、2022年5月に「CCSガイドライン」及び「GHG・CIガイドライン」を策定し、公表しました。今後、JOGMEC事業を実施する際には本ガイドラインを参照、活用していきます。また、関係機関との意見交換を進め、より実態に即した形でCCS事業やCO2の排出削減量の評価を行っていきます。さらに、合成メタンなど対象範囲の拡大や、CO2-EORによるCO2貯留量算定の検討など、ガイドラインのさらなる充実を図るとともに、推奨作業指針としての精度向上にも継続して取り組みます。
また、CO2以上に温室効果が大きなガスであるメタンについても検討対象とし、これらの評価手法をクレジット制度等のカーボンプライシングの仕組みへ活用することなどを通じ、 脱炭素化に向けた制度構築へ積極的に関与・貢献します。

実施状況:
エネルギー安定供給と気候変動の緩和を目指す制度整備のために、CO2を地下貯留層に圧入し、原油を増産する技術であるCO2-EOR(CO2 Enhanced Oil Recovery)を、クリーンエネルギーへの橋渡しとなる重要な手段の一つと位置付け、その適切な実施のために「CO2EORガイドライン(初版)」を発行いたしました。
2022年5月のGHG・CIガイドライン初版公開後、LNG、水素、燃料アンモニアに加えて、合成燃料であるe-methaneの製造にかかわる炭素強度算定を取り込んだ「GHG・CIガイドライン(第2版)」を発行いたしました。
評価手法 検討事項
CCS事業性評価
(CO2地中貯留評価およびCO2削減量算定)
・CO2の長期貯留安定性や貯留可能量の技術的評価
・CCS事業計画(坑井数、圧入レート、漏洩対策等)の技術的評価
Carbon Intensity
(CI:CO2排出原単位)の算定
・LNG・水素・アンモニア等のGHG排出量(メタンを含む)、CIの算定方法
CO2削減量の算定・認証 ・CCS等の手法によるCO2削減量の算定方法
・カーボンプライシング等の仕組みへの活用
資源エネルギー事業のCO2排出量(削除量)の認定

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