乳幼児のおもちゃを選ぶときは必ず確認!知っておきたい「子供PSCマーク」
[画像:ボール、木馬、ぬいぐるみ、積み木などのおもちゃで遊ぶ小さなこどもとそばで見守る男性と女性のイラスト]
POINT
こどもが遊ぶおもちゃが本当に安全なのか、心配になったことはないでしょうか。小さなこどものおもちゃによる事故は毎年のように発生しています。事故を未然に防ぐため、令和7年(2025年)12月25日から3歳未満の乳幼児向けのおもちゃの安全性を確保する新たな取組が始まります。おもちゃを買うときにチェックしたいポイントと、遊ぶときの注意点についてご紹介します。
1おもちゃによる事故を防ぐために
おもちゃの誤飲による事故の約9割が3歳未満
乳幼児期のこどもは好奇心や探究心が旺盛で、いろいろな物を口に入れる、手・足・頭など体の一部を物の中に入れる、物を強く叩くなどといった行動が見られます。そのため、おもちゃの小さな部品を誤って飲んでしまったり、とがった部分を体に突き刺してしまったり、おもちゃに指を挟み込んでしまったりする事故が毎年のように発生しています。特に、命に関わるおそれのある誤飲事故、窒息事故の約9割が3歳未満の乳幼児です。
[画像:「玩具を誤飲したときのこどもの年齢」の円グラフ。消費者安全調査委員会による保護者302人への調査=2017年の注釈。6か月未満8%、6か月から1歳未満26%、1歳から1歳6か月未満22%、1歳6か月から2歳未満18%、2歳12%、3歳7%、4歳以上7%、覚えていない2%。集計時の技術上の都合で合計は100%にならない。]資料:消費者安全調査委員会「消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書 玩具による乳幼児の気道閉塞事故」から政府広報室作成
強力な磁石を組み合わせたマグネットセットや、水を吸収すると大きく膨らむ吸水性のボールは、誤飲した場合の被害が重大なことから、令和5年(2023年)から磁石の大きさや磁力、ボールの膨張率などが技術基準を満たさないものは販売ができなくなっています。こどもが複数の磁石を誤飲し、腸壁を挟んで磁石がくっつき腸壁に穴を開ける、ボールが消化管の中で膨らみ腸閉塞となるなどのおそれが生じ、開腹手術に至る事例が発生しています。これらの製品が自宅等にある場合は、こどもに触らせないよう注意してください。
技術基準を満たさないマグネットセットと水で膨らむボール
マグネットセット
水で膨らむボール
写真提供:独立行政法人製品評価技術基盤機構
「子供PSCマーク」は安全なおもちゃの証
近年ではインターネット上で、海外から安全が保証されていない製品を簡単に購入できる環境にあります。こうした現状を受け、こどもが使用する製品の安全を確保するため、消費生活用製品安全法などの改正が行われ、3歳未満の乳幼児向けのおもちゃを対象に新たな規制が運用されます。これにより、令和7年(2025年)12月25日以降に製造又は輸入される製品は、国の安全基準への適合と、対象年齢や使用上の注意事項の表示が義務化されます。これらの基準を満たした証として「子供PSCマーク」が導入され、おもちゃへの表示が必要となりました。
ただし、規制開始以前に製造・輸入された製品は、子供PSCマークが無くても販売できることとなっています。その場合は、STマークの付いた製品をお勧めします。STマークは、おもちゃメーカーなどが加入する一般社団法人日本玩具協会が「安全面について注意深く作られたおもちゃ」として推奨するものです。なお、子供PSCマークは法令に基づく強制規格ですが、STマークは玩具業界による自主規制として、昭和46年(1971年)に創設されました。
おもちゃによる事故を防ぐためには、マークの付いた安全な製品を選ぶだけではなく、対象年齢と使用上の注意を正しく守ることが大切です。
2おもちゃの対象年齢や使用上の注意事項をチェック
こどもの年齢に合ったおもちゃを選ぼう
3歳未満の乳幼児向けとして販売されるおもちゃには、対象年齢の表示が義務付けられています。おもちゃの誤飲などによる事故を防ぐには、対象年齢をしっかり確認し、こどもの成長段階に応じたおもちゃを選ぶことが大切です。
[画像:「購入の際は子供PSCマークと対象年齢の確認を」とのテキストと、おもちゃについた対象年齢や使用上の注意が書かれた表示札を確認する人のイラスト。]
ふだんから安全の意識を
おもちゃで遊ばせるときは、使用上の注意を必ず守りましょう。警告表示には、「破れたゴム風船を口に入れないよう注意する」、「おもちゃの可動部に指を挟まないよう注意する」といった注意事項が記載されています。これらの注意事項を必ず確認し、安全な環境でこどもに遊ばせましょう。また、きょうだいのいるご家庭では、年上の子のおもちゃの対象年齢が年下の子の年齢よりも高い場合、年下の子には遊ばせないよう置き場などに注意しましょう。
3事故が起きてしまったときは
速やかに医療機関へ
万が一のため、事故が起きた場合の対処法をあらかじめ知っておくことも大切です。こどもがおもちゃなどを誤って飲み込んでしまったときは、基本的に無理に吐かせることはせず、速やかに医療機関を受診しましょう。受診の際には誤飲した物と同じ物があれば、持参するとよいでしょう。のどに物を詰まらせた場合は、短時間で重篤化するおそれがあるため、直ちに救急車を呼ぶとともに、詰まった物を吐き出させることが重要です。
メーカーや販売店に事故の報告を
こどもの処置が落ち着いたら、メーカーのお客様相談窓口や、購入した販売店・インターネットモールのショップなどへ事故の状況について報告しましょう。「自分が目を離していたせい」などと考えて連絡しないケースもあるようですが、報告がなければ事故防止対策につながりません。事故がきちんと報告されることで、類似の事故を防ぐためのメーカーでの対策や、場合によっては製品の回収など、次の事故の未然防止につながります。メーカーや販売店の連絡先が分からないとき、又は連絡がつかないときはお近くの消費生活センターに連絡してください。
[画像:赤ちゃんがおもちゃを誤飲したときの様子を、おもちゃメーカーに電話で報告する男性のイラスト。]
また、オンライン上に流通する製品の安全性を高めるため、インターネットモール運営事業者と消費者庁や経済産業省などが協力し、製品安全誓約という自主的な取組も行われています。
まとめ
こどもはおもちゃで遊ぶ中で多くのことを学び、成長しています。小さいおもちゃも、手先の発達を助けたり、好奇心を満たしたりしてくれます。それだけに、安全・安心で年齢に合ったおもちゃを選ぶことが大切です。「子供PSCマーク」や「STマーク」を確認し、対象年齢と使用上の注意を守って、こどもが安全に、楽しくおもちゃで遊べる環境をつくりましょう。
(取材協力:経済産業省 文責:内閣府政府広報室)