名古屋グランパス・岡山哲也スカウト、地元出身の強みは「自分の仲間の声が生で届くこと」自らの手で後身発掘へ奔走
2025年1月22日 20時20分
◇連載「鯱の舞台裏」
その激闘、あの勝利には仕掛け人がいて、このチームを支える人たちがいる。名古屋グランパスのスタッフや職員らを紹介する「鯱の舞台裏」。第3回は、クラブ創設から高卒ルーキーとして入団、13年間在籍し、初代ミスターグランパスと呼ばれた、アカデミースカウトの岡山哲也さん(51)に聞いた。
岡山哲也さん
願うのは、第2の岡山哲也と、第2の吉田麻也のハイブリッドの誕生だ。岡山さんは地元の名古屋市中村区出身。主にU―18に入れる有望な中学生を探すべく、全国を回っている。
下部組織出身で長く活躍する選手の少なさは、クラブの課題。「自分は名古屋で育って、地元のグランパスに入って、13年プレーしたけど、クラブが30年ちょっと年数がたった中で、そういう選手って片手も多分いないと思う。長い歴史の中で、それだけって、ちょっと寂しい」。自らの手で後身を発掘しようと奔走している。
スカウトは、難しくもおもしろい。中京大中京高(名古屋市)で指揮を執っていたころ、後に日本代表となるDF伊藤洋輝(バイエルン)と対戦したことがある。「これは無理だぞというすんごいシュートを決められたけど、そこまでスピードとかもなかったし、まさかあそこまで行くと思わなかった」。逆に、今季高校2年でトップチームで出場可能な2種登録され、U―17日本代表にも選出されたDF森壮一朗は、中学時代に一本釣りに成功し、U―18入りした。今季の春季キャンプにはトップチームに帯同する逸材。競合する選手の獲得とともに、原石発掘も任務の一つだ。
地元出身、グランパス育ちの強みは「自分の仲間の声が生で届くこと」。「僕、グランパスではオカだけど、地元の仲間からしたらテツなんですよ。だから、テツ頑張れ、テツ応援してるっていう生の声は、選手としてはプラスアルファになった。生で届く声援が、どれだけ背中を押してくれたか、へこみそうになったときに立ち上がれたか。そういうのが経験としてあるので。サッカー知らない人でも、この子応援しようみたいな、そういうメリットも絶対ある」。何よりの裏付けが、実体験だ。
ブラジル人の子どもたちと交流する岡山哲也さん
今季からトップチームのコーチを務める玉田圭司さんへの期待も語った。今季は強豪の昌平高(埼玉)で監督を務め、2年間指導に関わった玉田さん。岡山さん自身、10年間中京大中京高を指導し、大勢の選手たちに目を配りつつ、練習試合や合宿などの調整をした経験がある。「高体連の指導経験は、絶対に生きる。しかも、玉田君はトップトップでチャンピオンにもなっているから」と行く末を見つめる。
小学生年代のスカウトも、今季から担当する。「愛知県、東海エリアっていうのは、僕のストロングを生かせるところ。例えば3年生、4年生の試合で、グランパスのスカウトが来てるよって。それが種になって、4年生、5年生、6年生の時に芽が出れば」。数年後、地元出身選手が活躍したとき、そのきっかけは、初代ミスターグランパスにあった、となるかもしれない。
▼岡山哲也(おかやま・てつや) 1973年8月27日生まれ、名古屋市中村区出身の51歳。中京高(現中京大中京高)から92年にグランパス入りし、13年間在籍。新潟でもプレーし、J1通算306試合54得点。引退後、2009年からグランパスのスタッフに。11年から20年まで中京大中京高サッカー部監督として出向。21年からグランパスに復帰し、アカデミースカウトを担当する。
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