キジア台風
| キジア台風 昭和25年台風第29号 | |
|---|---|
| カテゴリー3の タイフーン (SSHS) | |
| 発生期間 | 1950年9月7日 - 15日 |
| 寿命 | 約8日間 |
| 最低気圧 | 945 hPa |
| 最大風速 (気象庁解析) |
50 m/s |
| 最大風速 (米海軍解析) |
125 mph |
| 被害総額 | |
| 死傷者数 | 65人 |
| 被害地域 | 西日本 |
キジア台風(キジアたいふう、昭和25年台風第29号、国際名:キジア/Kezia)は、1950年(昭和25年)9月に発生した台風である。「キジヤ台風」あるいは「キジャ台風」などとも呼ばれる[1] [2] 。
概要
[編集 ]マリアナ諸島のサイパン島付近で形成が始まり、9月7日に台風29号となった[3] 。北西に進んだ台風は11日に室戸岬の南方500 km付近で、中心気圧945 mb(hPaと同等)、風速50 mにまで成長[3] 。進路を西北西に変えたのちわずかに勢力を弱めながら、13日正午に鹿児島県 志布志湾の大隅半島付近より上陸した。宮崎県 都城市付近を通過した時には中心気圧960 mb、風速30 m以上の勢力であった[3] 。その後九州地方を縦断して14日3時ごろに日本海へ抜けた後[3] 、日本海を東に進んで北海道の松前半島付近から再上陸。北海道を横断してオホーツク海へと抜け15日に消失した。
ジェーン台風の襲来からわずか10日しか経っていなかったこと、台風が通過したあとも低気圧による豪雨が続いたことや1946年(昭和21年)の昭和南海地震によって地盤が沈下したところへ高潮を受けたことなどが重なり[3] 、各地に大きな被害をもたらした。
被害
[編集 ]九州から近畿にかけての17府県で家屋のほか船舶や鉄道にも暴風雨や高潮による被害が出た[4] [5] 。死者30名、行方不明者19名、負傷者35名[4] 。家屋の全半壊・流失・破損は4,836戸[5] 、家屋の浸水12万1,924棟[5] 。田畑の冠水面積518.1ヘクタール[4] 。
広島県 佐伯郡 厳島町(現・廿日市市)の厳島神社では9月13日、高潮によって社殿が破損[6] 。山口県 岩国市では9月14日、錦川の増水によって錦帯橋が流失した[7] 。
同年9月21日、被害が大きかった山口県、宮崎県、大分県、広島県は昭和天皇、香淳皇后より御救恤金を賜った[8] 。
なお、当時は朝鮮戦争の真っ只中で仁川上陸作戦を直前にしていたが、公開されている高等軍事研究院の資料には「艦隊が125マイルの暴風に襲われた」との記述がある[9]
脚注
[編集 ]- ^ 土屋義人、芝野照夫「恋ケ浜海岸における波の変形に関する模型実験的研究」『京都大学防災研究所年報. B』17巻(B)、京都大学防災研究所、1974年4月、607–629頁。CRID 1050282677086768256。hdl:2433/69916。ISSN 0386-412X。
- ^ "ダムの書誌あれこれ(60)〜熊本県のダム (下)(石打・上津浦・緑川・市房)〜 4ページ - ダム便覧". damnet.or.jp. 2020年6月9日閲覧。
- ^ a b c d e "衆議院会議録情報 第008回国会 建設委員会 第15号". 国立国会図書館 (1950年10月19日). 2012年12月9日閲覧。
- ^ a b c 昭和災害史辞典、P.50
- ^ a b c 環境・災害・事故の辞典、P.812
- ^ "平成16年の強風災害の特徴と教訓". 京都大学防災研究所 (2005年10月28日). 2012年12月9日閲覧。
- ^ "錦帯橋の歴史". 岩国市観光振興課 (2012年9月21日). 2012年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年12月9日閲覧。
- ^ 宮内庁『昭和天皇実録第十一』東京書籍、2017年3月30日、131頁。ISBN 978-4-487-74411-4。
- ^ Richard C. Halbleib; 高等軍事研究院 (1990年5月15日). "No Guts No Glory - Operational Risk Taking: Gaining and Maintaining the Tempo" (PDF). Monograph rept. AY89/90. アメリカ国防技術情報センター: 33.
参考文献
[編集 ]- 『昭和災害史辞典 (2)昭和21年 昭和35年』 日外アソシエーツ、1992年、ISBN 978-4-8169-1138-5
- 『環境・災害・事故の辞典』 丸善、2001年
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