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日本版司法取引の実務と展望

米国等の事情に学ぶ捜査協力型司法取引の新潮流

日本版司法取引の実務と展望

アメリカ等における司法取引の実態とその実務を本格的に紹介。日本型司法取引にかかわる実務と対策を検討。

著者 市川 雅士
土岐 俊太
山口 祥太
ジャンル 法律 > 刑事法 > 実務書
出版年月日 2019年04月30日
ISBN 9784877987237
判型・ページ数 A5・224ページ
定価 本体2,900円+税
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想

現代の司法取引は、米国等で企業犯罪の摘発に大きな効果をあげている。司法取引が主要国で果たしている機能は、企業による捜査当局への犯罪の自主申告・捜査協力を促し、犯罪により生じた問題を是正することである。日本でもその機能が十分果たせるのか。

日本における司法取引第1号事件は、企業が検察に同社元役員の犯罪情報を提供し、その見返りに会社が起訴を免れる「捜査協力型司法取引」であった。これは、アメリカで1980年代から頻繁に行われている司法取引の例にならったものである。本書は、このアメリカ等における司法取引の実態とその実務を本格的に紹介し、日本型司法取引にかかわる実務と対策を検討するものである。


第1部 司法取引に関する概念の整理――司法取引を読み解く道しるべ

第1章 協議・合意制度の施行――「日本版司法取引」の新設

第2章 2種類の捜査協力型司法取引

第3章 「司法取引」の境界の画定

第2部 現代的司法取引の誕生と発展――経済事犯に見る米国の司法取引

第1章 米国の刑事司法制度の基礎

第2章 米国の司法取引の歴史

第3章 司法取引の手続の流れ1――捜査機関への発覚前に自主申告する場合

第4章 司法取引の手続の流れ2――捜査開始後に捜査協力する場合

第3部 現代的司法取引の世界的な拡散――米国以外の主要国の動向

第1章 現代的司法取引の国際的な広がり

第2章 英国のDPA

第3章 フランスのDPA

第4章 カナダのDPA

第5章 シンガポールのDPA

第6章 オーストラリアのDPA

第7章 小括 5カ国のDPA制度に共通する要素

第4部 日本の協議・合意制度の検討――米国等の司法取引事情を踏まえて

第1章 協議・合意制度の利用形態

第2章 古典的司法取引として用いる場合

第5部 日本版司法取引の展望――協議・合意制度はどこへ向かうか

第1章 第1号案件

第2章 第2号案件

第3章 協議・合意制度の今後の展望
はしがき─本書の目的

第1部 司法取引に関する概念の整理――司法取引を読み解く道しるべ

第1章 協議・合意制度の施行――「日本版司法取引」の新設
1 協議・合意制度導入の背景
(1) 制度導入の経緯
(2) 従前の議論との関係
2 協議・合意制度の概要
(1) 協議・合意制度の整理
(2) 検察庁の運用方針
(3) 裁判所規則の改正
3 協議・合意制度の第1号案件への反応
(1) 協議・合意制度の第1号案件
(2) 協議・合意制度の第1号案件に対する反応

第2章 2種類の捜査協力型司法取引
1 「自己負罪型」「捜査協力型」という分類
2 新しいタイプの捜査協力型司法取引
3 現代的司法取引の沿革
(1) 米国における自主申告を促す仕組みの誕生
(2) 米国における自主申告を促す仕組みの拡大
(3) 米国における現代的司法取引の利用状況
(4) 米国以外の国への現代的司法取引の広がり
4 古典的司法取引と現代的司法取引の違い
(1) 標的
(2) 協力者
(3) 標準的な協力の時期
(4) 主な協力の内容
(5) 主な恩典の内容
(6) 巻込みの危険

第3章 「司法取引」の境界の画定
1 本書における「司法取引」の定義
2 いわゆる闇取引の扱い
3 裁判所の関与の有無
4 リニエンシー制度の扱い


第2部 現代的司法取引の誕生と発展――経済事犯に見る米国の司法取引

第1章 米国の刑事司法制度の基礎
1 連邦法と州法の関係
2 コモン・ローと制定法の関係
3 軽罪と重罪
4 法人の刑事責任
5 司法取引の位置付け
6 量刑ガイドライン
(1) 量刑改革法の制定
(2) 量刑ガイドラインの拘束力─Booker判決
(3) 量刑ガイドラインによる刑の決定

第2章 米国の司法取引の歴史
1 黎明期
2 企業の訴追協力を促す仕組みの誕生─リニエンシー制度
3 企業の捜査協力を促す仕組みの定着─「企業訴追の諸原則」
(1) ホワイトカラー犯罪との戦いの本格化
(2) 「企業訴追の諸原則」の策定─ホルダー・メモ
(3) 第3の選択肢(DPA)の必要性─アーサー・アンダーセン事件
(4) 拡大する捜査協力に対する揺り戻し─トンプソン・メモ以降
4 企業の捜査協力を促す仕組みの発展─FCPAパイロット・プログラム
(1) 3つの合意を使い分ける仕組みの確立
(2) 「FCPAに対する法執行の新時代」の到来
(3) 個人の責任と企業の捜査協力の関係─イエイツ・メモ以降

第3章 司法取引の手続の流れ1――捜査機関への発覚前に自主申告する場合
1 標準的な手続の流れ
2 社内調査
(1) 弁護士およびフォレンジック業者の起用
(2) 文書等の収集
(3) 従業員のインタビューとアップジョン警告
(4) 従業員の弁護士費用の扱い
3 Proffer(協議)
4 Agreement(合意)
(1) PA(Plea Agreement)
(2) DPA(Deferred Prosecution Agreement)
(3) NPA(Non-Prosecution Agreement)
(4) 企業の対応方針と標準的な合意内容
5 合意の履行

第4章 司法取引の手続の流れ2――捜査開始後に捜査協力する場合
1 標準的な手続の流れ
2 捜査の端緒
3 サピーナ(Subpoena)
4 起訴(Indictment)
5 答弁取引の交渉(Plea Bargaining)
6 公判(Trial)
7 量刑手続(Sentencing)


第3部 現代的司法取引の世界的な拡散――米国以外の主要国の動向

第1章 現代的司法取引の国際的な広がり
1 国際的な広がりの概況
2 国際的な広がりの背景

第2章 英国のDPA
1 制度導入の背景
(1) ホワイトカラー犯罪への対処の必要性
(2) 法人の刑事責任モデルの欠陥に伴う必要性
2 制度の内容
(1) 概要
(2) DPAの当事者
(3) DPAの対象犯罪
(4) DPAの内容
(5) DPAに対する裁判官の承認
(6) DPAで定められた事項の不履行
3 事例紹介
(1) 第1号案件
(2) 第2号案件
(3) 第3号案件
(4) 第4号案件
(5) 小括

第3章 フランスのDPA
1 制度導入の背景
2 制度の内容
(1) 概要
(2) CJIPの当事者
(3) CJIPの対象犯罪
(4) CJIPの内容
(5) CJIPに対する裁判官の承認
(6) CJIPで定められた事項の不履行
3 事例紹介
(1) 第1号案件
(2) 第2号案件
(3) 第3号案件

第4章 カナダのDPA
1 制度導入の背景
2 制度の内容
(1) 概要
(2) Remediation Agreementの当事者
(3) Remediation Agreementの対象犯罪
(4) Remediation Agreementの内容
(5) Remediation Agreementに対する裁判所の承認
(6) Remediation Agreementで定められた事項の不履行

第5章 シンガポールのDPA
1 制度導入の背景
2 制度の内容
(1) 概要
(2) DPAの当事者
(3) DPAの対象犯罪
(4) DPAの内容
(5) DPAに対する裁判所の承認
(6) DPAで定められた事項の不履行

第6章 オーストラリアのDPA
1 制度導入検討の背景
2 制度の内容
(1) 概要
(2) DPAの当事者
(3) DPAの対象犯罪
(4) DPAの内容
(5) DPAに対する第三者の承認
(6) DPAで定められた事項の不履行

第7章 小括 5カ国のDPA制度に共通する要素


第4部 日本の協議・合意制度の検討――米国等の司法取引事情を踏まえて

第1章 協議・合意制度の利用形態

第2章 古典的司法取引として用いる場合
1 想定される典型的な事例
2 協力者(X)の弁護人から見た場合
(1) 協力者の弁護人の役割
(2) 協議開始の申入れはどちらから行うか
(3) 協議の主体
(4) 対象となる犯罪
(5) 協議を行う際の考慮要素
(6) 合意の効果
(7) 合意の終了
3 標的(Y)の弁護人から見た場合
(1) 標的の弁護人の役割
(2) 合意がなされた事実の把握
(3) 公判段階
(4) 検察官の合意違反があった場合の対応
(5) 共犯者との関係

第3章 現代的司法取引として用いる場合
1 想定される典型的な事例
2 協力者(X社)の弁護人から見た場合
(1) 協力者の弁護人の役割
(2) 社内調査
(3) 社内調査の結果を踏まえた検討
(4) 対象となる犯罪
(5) 協議開始の申入れ
(6) 合意の内容
(7) 合意の効果・終了
3 標的(事業部長Y)の弁護人から見た場合
(1) 標的の弁護人の役割
(2) 合意がなされた事実の把握
(3) 公判段階


第5部 日本版司法取引の展望――協議・合意制度はどこへ向かうか

第1章 第1号案件
1 第1号案件の概要
2 第1号案件の概観
(1) 問題の所在
(2) 企業による自主申告・捜査協力を促すものであったか
(3) 捜査協力以外の行動は不要であったか

第2章 第2号案件
1 第2号案件の概要
2 第2号案件の概観
(1) 問題の所在
(2) 合意の当事者として企業ではなく個人を選択することの是非
(3) 合意の公正性の担保は十分か

第3章 協議・合意制度の今後の展望
(1) DPAに近い運用は可能なのか
(2) 裁判所による監督は不要なのか
(3) 合意事項の制約は厳しすぎないか
(4) 背信的な協力者への加重制裁は十分か

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