尼崎事件 支配・服従の心理分析
本事件では、多くの被告人が主犯の角田美代子に支配され、服従することで虐待や殺人に関与した。本書が対象とする被告人もその一人である。なぜそのように支配され、犯行するにいたったのか。被告人への聞き取りなどから、美代子との出会いから犯行まで、その心理過程を解明する。
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尼崎事件 支配・服従の心理分析(ペーパーバック)
HONZ書評「こうして角田美代子は、人間をロボット化させた! 『尼崎事件 支配・服従の心理分析』から見えた戦慄のメカニズム」 http://honz.jp/articles/-/42537
村山満明(むらやま・みつあき)
1959年生まれ。広島大学教育学部心理学科を経て、1985年広島大学大学院教育学研究科博士課程前期(教育心理学専攻)修了。1986年広島県立保育専門学校教諭、1995年広島女子大学子ども文化研究センター講師、2000年県立広島女子大学子ども文化研究センター助教授、2004年同大学生活科学部助教授、2005年同大学保健福祉学部助教授、2006年大阪経済大学人間科学部教授、現在に至る。臨床心理士。研究領域・テーマは、臨床心理学、法心理学。
主な著作に、『目撃供述・識別手続に関するガイドライン』(分担執筆、現代人文社、2005年)、「広島港フェリー甲板長事件心理学鑑定書─被告人の心理学的能力および性格特徴ならびに一連の供述の理解について」(法と心理7巻1号(2008年)93-106頁)、「心理学からみた法の現場のディスコミュニケーションの諸相」(共著、法と心理15巻1号(2015年)37-52頁)などがある。
大倉得史(おおくら・とくし)
1974年生まれ。京都大学総合人間学部を経て、2003年京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。京都大学博士(人間・環境学)。臨床心理士。九州国際大学講師、准教授を経て、2009年京都大学大学院人間・環境学研究科講師、2010年同准教授、現在に至る。研究領域・テーマは、発達心理学、自己の形成、アイデンティティ、保育、供述分析、現場心理学。
主な著作に、『「語り合い」のアイデンティティ心理学』(京都大学学術出版会、2011年)、『育てる者への発達心理学─関係発達論入門』(ナカニシヤ出版、2011年)、「周囲の人間関係の中で生み出された虚偽のわいせつ事件」(法と心理13巻1号(2013年)126-130頁)などがある。
稲葉光行(いなば・みつゆき)
1965年生まれ。立命館大学文学部を経て、1998年ハワイ大学大学院コミュニケーション・情報科学専攻博士課程中退。1998年立命館大学政策科学部助教授。2008年教授、現在に至る。立命館大学R-GIRO法心理・司法臨床センター・代表。研究領域・テーマは、言語情報科学(コンピュータを用いた供述調書分析等)、学習科学(コンピュータによる学習支援と分析等)。
主な著作に、『デジタル・ヒューマニティーズ研究とWeb技術』(編著、ナカニシヤ出版、2012年)、『コミュニケーション研究法』(分担執筆、ナカニシヤ出版、2011年)、『日本文化デジタル・ヒューマニティーズの現在』(分担執筆、ナカニシヤ出版、2009年)などがある。
尼崎事件人物相関図
第1章 事件の概要
1.尼崎事件とは
2.岡島泰夫の被疑事実
3.鑑定嘱託事項
4.鑑定の内容と本書の構成
第2章 巻き込まれた男
1.岡島泰夫の生い立ちと経歴
2.角田美代子と角田家の来歴
3.角家に同居することになるまで
4.尼崎での生活と麻由美との結婚
5.沖縄逃亡
6.監禁
7.後藤みちよと麻由美の死
8.村本順司の死
9.美代子逮捕
第3章 分析のための心理学的基礎
1.権力構造における役割と人間
2.暴力と死の恐怖
3.小括
第4章 状況の力──本件の心理学的分析
1.美代子の奴隷化戦略─岡島泰夫の置かれていた心理学的監禁状態について
2.岡島泰夫の心理状態に関する時系列的分析
3.小括
第5章 テキストを掘る──コンピュータによるテキスト解析
1.本章の位置づけ
2.テキストマイニング手法の概要
3.テキストマイニング手法による供述分析
4.分析対象とソフトウェア
5.分析結果の概要
6.小括
第6章 心理検査等からみた岡島のパーソナリティ
1.心理検査等の作業の経過
2.心理検査の結果と所見
3.他者の供述にみる岡島の特徴...
第7章 情状鑑定結論
1.鑑定書結論
2.補足説明
第8章 裁判と判決
1.本件判決について
2.裁判の経過
エピローグ
1. 取り込み・支配型犯罪としての尼崎事件
2. 情状鑑定の意義