皆さんは「貝形虫(カイケイチュウ)」という生き物をご存じでしょうか? 体長1mmに満たない、とても小さな甲殻類の仲間です。最近は地学の図録などにも写真が載るようになり、名前を聞いたり写真を見たりしたことがある方もいるかもしれません。しかし、実際に生きている姿をご自身の目で見たことがあるという方は少ないのではないでしょうか。ところが、貝形虫は、海や川、湖、田んぼ、さらには陸地にまで、私たちのすぐ近くに暮らしている身近な生き物なのです。この小さな貝形虫は、地球科学にとって大切な存在で、彼らの化石は、数億年にわたる生物進化や地球環境を読み解くカギとなってきました。
今日は、地球科学の中での貝形虫の役割を紹介しながら、"遠いようで実はとても身近な"貝形虫の不思議と魅力をお話します。
講師 日本大学文理学部地球科学科准教授 中尾 有利子 氏
15:05-16:05 「湖に眠るタイムカプセルを探る ━ 湖沼掘削研究の魅力 ━」
皆さんは、湖の底が「過去の記録帳」になっていることを知っていますか? 湖や池の底には、長い時間をかけて泥や砂が少しずつ積もっていきます。それを筒状にくり抜くと「コア」と呼ばれる試料が手に入り、この中には数万年以上にわたる環境の変化の記録がぎっしりと詰まっています。日本最大の湖である琵琶湖では1970年代に大規模な掘削が行われ、当時の世界記録となる深さまでコアが採取されました。これは日本の研究だけでなく、掘削技術そのものが世界の最先端を切り拓いた出来事でした。さらに1990年代には、福井県の水月湖で「年縞」と呼ばれる土の年輪が発見されました。これによって、過去の環境変動を年ごとに細かく復元できるようになり、考古学や歴史学ともつながる大発見となったのです。湖底に眠る泥の中から過去をさぐる「湖沼掘削科学」は、地学にとどまらず、環境学・考古学・年代学など幅広い学問を結びつける学際的な魅力をもっています。この講演では、湖が秘めたタイムカプセルを解き明かす研究の世界を紹介します。
講師 早稲田大学人間科学学術院教授 山田 和芳 氏
16:05-16:10 終わりの挨拶 (澤口事務局長)
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