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飛翔サギ識別の面白さ

飛翔するサギの識別は難しい。でも面白い。一体どこが面白いのだろう。やっぱり皆で「ダイサギだ」「いやチュウサギだ」「今度はコサギだ」「いやアマサギだ」などとワイワイ言いながら識別してカウントするその過程が面白いのではなかろうか。一人孤独に識別していてもそれはそれで楽しいがやはり皆でやるところに面白さがある。サギがいて、調査仲間がいて、調査しているというやりがいがある。これが普通の探鳥会にはないサギコロニー調査の魅力である。ひとたびこの魅力にハマると毎年のサギコロニーシーズンが待ち遠しい。飛翔するサギの識別は難しいが、一方、その識別のコツを覚えるとよいこともある。例えば探鳥会で一羽のサギが上空を通過したとする。皆が「コサギだ」「チュウサギだ」と言い合っているとき、サギ調査で目の肥えたあなたは、腕を組み、アゴに手を当ててこう断言する。「ふーむ。早い羽ばたき。短いクチバシ、そしてなによりスッキリとしてふくらみのないのど元、故にあの個体はアマサギの冬羽である。」すると回りの人々から「へえ〜、アマサギの冬羽ですか。よくわかりますね〜。」と称賛の声を浴び、その日はずっと幸せな気分でいられる。こんな実に野鳥の会らしいささやかで慎ましい楽しみが待っているのだ。

飛翔サギ識別法―佐久間式3段階識別法

さて繰り返すが飛翔するサギの識別は難しい。特にねぐら入りする夕方はクチバシの色も足の色も判別できないため困難を極める。8月を過ぎるとアマサギは冬羽に換羽して白くなり、しかも巣立ちした幼鳥は白一色のためチュウサギやコサギとの識別は特に困難となる。そんなときに役立つ識別方法が佐久間式3段階識別法。日本野鳥の会愛知県支部の佐久間氏が編み出した3段階の絞り込みによるサギの識別法により飛翔するシラサギ4種(ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギ)の識別は初心者でも少しの訓練で可能となった。以下に佐久間式3段階識別法を紹介します。

第1段階―羽ばたきの速さ

羽ばたきの速さで「ダイサギかチュウサギ」のグループと「コサギかアマサギ」グループに絞り込みます。羽ばたきの遅いグループは「ダイサギかチュウサギ」、羽ばたきの早いグループは「コサギかアマサギ」です。羽ばたきの遅い、早いはその日の風向きや風の強さ、あるいは換羽中かそうでないかでも異なるため一概には言えませんが、およその検討をつけることが出来ます。県支部では、飛翔するサギの動画を撮影してその羽ばたき回数を数えることで羽ばたきの早い、遅いを数値化しました。

1秒間あたりの羽ばたき回数(参考値)

羽ばたき 遅い

羽ばたき 早い

第2段階―クチバシの長さ

次にクチバシの長さで「ダイサギかチュウサギ」、または「コサギかアマサギ」を判断します。「ダイサギかチュウサギ」のうち、クチバシが長いほうがダイサギ、短いほうはチュウサギです。「コサギかアマサギ」では、クチバシが長いほうはコサギ、短いのはアマサギと判断できます。ただしこの段階では最終判断はまだ難しい。なぜならクチバシの長さは観察者からの見る角度によってかなり異なることがあるからです。そこで最終判断は第3段階で、ということになります。


ダイサギ・チュウサギ

コサギ・アマサギ

第3段階―全体の印象・バランス

第2段階まででおよその見当をつけたところで第3段階では全体の印象とバランスで最終判断をします。一見皆同じように見えるシラサギ類ですがよく見るとそれぞれ飛ぶ姿の印象は異なっています。その印象の違いは足の長さだったりのど元の下の膨らみだったりします。こうした特徴も頭に入れておくことで近くまで飛んできたときに最終的な識別が可能となります。下の写真風イラストはそれぞれのサギの特徴を大胆にデフォルメして描いています。

第3段階

サギ識別クイズ

300x225 上の写真のように、サギ調査前には近くの公民館に集合して動画を見ながら飛翔するサギの識別勉強会を実施します。以下は問題のほんの一部です。チャレンジしてみてください。答は一番下にあります。

第1問(クリックで動画が開きます)


第2問(クリックで動画が開きます)


第3(クリックで動画が開きます)


第4(クリックで動画が開きます)









サギ識別クイズの答え

  • 第1問:チュウサギ
  • 第2問:コサギ
  • 第3問:ダイサギ
  • 第4問:アマサギ

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