2024年6月19日水曜日

特別展「大灯籠絵」を楽しむために その6 絵師の痕跡をたどって山へ

THE ASTONISHING WORLD OF GIANT LANTERN PAINTINGS

会期:2024913日(金)~114日(月・休)  会場:福岡市博物館


この秋、福岡市博物館では、特別展「(おお)(とう)(ろう)()」を開催します。

展覧会の開催に向けて、「大灯籠絵」にまつわる話題をお届けします。

今回の展覧会では、大灯籠絵だけでなく、大灯籠絵を描いた絵師たちにも注目しています。

彼らは、地域密着で、さまざまな活動をしています。

地元の新聞の連載小説の挿し絵を描いたり、学校教材の挿し絵を描いたり、見世物小屋の看板を描いたり、人々が神社に奉納する絵馬を手掛けたり、福岡で発行される錦絵を描いたり…

という訳で、資料調査は多方面に及びます。

5月某日、調査のために出かけたのは、朝倉市の某神社。

目的は、大正6年(1917)に奉納された(しろ)(うず)(こう)(うん)が手掛けた絵馬です。

神社がある山は、平成29年(2017)の九州北部豪雨で土砂崩れがあり、神社の両脇の崖は崩れてしまったものの、幸い神社は被害をまぬがれています。

地元関係者の方から

「絵馬の安全のためにも、作業する人の安全のためにも、梅雨入り前に集荷した方がいい」

と助言をうけて、6月某日、集荷のための出動となりました。

豪雨災害以来、神社への道は荒れてしまい、車両を乗り入れられない状況のため、

手分けして絵馬を運ぶための資材を抱えて山道を歩きます。

地元関係者の方々に先導されて山道を進みます

目的の絵馬は神社の拝殿に

5月の調査時の記録を片手に絵馬の状態を確認します

安全に輸送できるように絵馬を梱包します

車両が待つ地点まで注意深く人力で運びます

今回調査・集荷した絵馬の作者は、初代白水耕雲(18761923)。

大学通三丁目(福岡市博多区千代三丁目)に「白水絵馬店」を構えていました。

特別展「大灯籠絵」では、箱崎(福岡市東区)で絵馬店を続けていた二代目白水耕雲(18971974)が手掛けた大灯籠絵も公開します。

お楽しみに!!

(by おーた)



2024年6月14日金曜日

【別冊シーサイドももち】〈083〉小学校の体育用具倉庫で山笠のムルティをつくってほしい ―よかトピアで大活躍だったインド(その1)―

埋め立て地にできたニュータウン「シーサイドももち」の、前史から現代までをマニアックに深掘りした『シーサイドももち―海水浴と博覧会が開いた福岡市の未来―』(発行:福岡市/販売:梓書院)。


この本は、博多・天神とは違う歴史をたどってきた「シーサイドももち」を見ることで福岡が見えてくるという、これまでにない一冊です。


本についてはコチラ


この連載では【別冊 シーサイドももち】と題して、本には載らなかった蔵出し記事やこぼれ話などを紹介しています。ぜひ本とあわせてお楽しみいただければ、うれしいです。










〈083〉小学校の体育用具倉庫で山笠のムルティをつくってほしい─よかトピアで大活躍だったインド(その1)─


今日は6月14日


すでに福岡は博多祇園山笠の準備期間に入っていて、舁き山笠・飾り山笠の今年の標題も発表されました。


新天町商店街(中央区天神)の飾り山笠の見送り標題は「サザエさん」だそうですね。

ちなみに表標題は「武門之棟梁清盛」。

人形師はどちらも小副川太郎さんです。




このブログ「別冊シーサイドももち」には欠かすことができない西新のスター「サザエさん」ですから、新天町商店街をさらに賑やかに飾ってくれることと思います。




なぜ山笠の話をはじめたかというと、先日、昔の新聞を見ていましたら、1989年のアジア太平洋博覧会(よかトピア)に「インドの山笠」がお目見えしたという記事を見つけたからなのです。




インドの山笠??




さっそく記事を読んでみると、3月17日の博覧会開催を前にインドから人形師さんが来福されたとのこと。


会場のメーンステージ「リゾートシアター」に飾る人形をつくるために、はるばるインドのコルカタから来られたのだそうです。


(福岡市史編さん室作成)


リゾートシアターのことは過去のこの回のブログが詳しいです。




コルカタはインド共和国の東、バングラデシュに近い大都市。

よかトピアの当時は「カルカッタ」と呼ばれていて、新聞記事でもそう書いてあるのですが、現在はコルカタと改められています。



インドではヒンドゥー教のお祭り「ドゥルガー・プージャ」(9月か10月ころ)と「サラスヴァティー・プージャ」(2月)で、豪華に飾りつけたムルティ(神像)に祈る風習があります。


そのために「ドゥルガー・プージャ」では「ドゥルガー」(正義の女神。手がたくさんあってさまざまな力を持っています)の神像が、「サラスヴァティー・プージャ」では「サラスヴァティー」(知恵の女神。仏教でいうと弁財天です)の神像がそれぞれつくられます。



この2体を福岡でつくってもらって、本物のムルティを「リゾートシアター」入り口の両脇に飾ろうという企画だったようなのです。


なんて贅沢な…。



博覧会のころがバブル景気だからというより、空前の円高のためにこうしたこともやりやすかったのでしょうね。




先ほどの「インドの山笠」という言い方は、このときの新聞取材にあたって、山車にムルティを乗せている様子を「山笠」に例えて説明したためのようです。

たしかに福岡の人にはイメージしやすい例えかもしれないですね(実際は山車の形が山笠とはだいぶん違ったのですけど…)。




このとき来福されたのは、マニー・パールさん。

コルカタの人形師のまち「クマトゥリ」ご出身の45歳(当時)です。


マニーさんは人形師歴30年のベテランで、前年の「ドゥルガー・プージャ」の人形コンテストでは、2000体のなかから優勝された人形製作の第一人者なのだそうです。




来福したマニーさんは8日(水)に桑原敬一市長を表敬訪問したのち、さっそく10日(金)から作業に取りかかり、2月末には完成させるというスケジュール(2体を20日でつくってしまうとは、さすがの職人技…)。


新聞記事によれば、神像は木とわらで骨組みをつくって粘土で形づくると書いてありますので、塑像のような作り方ということになるのでしょうか。



神像の身長は2.6メートル

これを山車の上に乗せるので、全高は3.6メートルになるとのこと(山車の幅は1.8メートル)。



マニーさんは神像に着せる衣装も自ら最高のものを選んで持ち込まれていて、「素晴らしいムルティをお見せできるでしょう」と新聞記者のインタビューに答えています。




マニーさんがムルティをつくる場所なのですが、福浜小学校の体育用具倉庫とのこと。


こどもたちが国際感覚を身につける良い機会になるからと、小学校がこの場所を提供されたのだそうです。


福浜小学校はよかトピアの会場になった埋め立て地「シーサイドももち」まで歩いて行けますので、距離的にも絶好の場所。


なるほど、一石二鳥です。


(地理院地図Vectorを基に作成)




つくりはじめる10日には児童全員が集まってマニーさんの歓迎会を開き、さっそくみんなでインドの話を聞いたそうです。


インドの人形製作の第一人者が人形をつくる過程を最初から完成まで、しかもそれを自分たちの学校のなかで毎日間近に見られるのですから、まるで博覧会が前乗りで出張してきたようなもの。


海外の文化を肌で感じられて、きっと今でも思い出になっているのではないでしょうか。




こうして福岡の小学校でつくられて、会場に置かれた人形がこれです。


(西日本新聞社編『アジア太平洋博覧会―福岡’89公式記録』
〈アジア太平洋博覧会協会、1990年より)


なかなか写真がなかったのですが、博覧会の公式記録のなかに写り込んでいるものを見つけました(この写真の構図だと、リゾートシアターの「満員」の様子を撮りたかった1枚なのでしょうね)。


手がたくさんあるので、これは「ドゥルガー」の像。

足下に獅子と男性を置くのは定番の形です。



貞刈厚仁さんのご著書『Ambitious City―福岡市政での42年―』を読んでいましたら、この神像の製作についてふれておられました。

貞刈さんは当時アジア太平洋博覧会協会にいらっしゃって、マニーさんを招かれた方です。


本のなかには、公式記録にはなかった「サラスヴァティー」像の写真や、福浜小での製作風景、マニーさんの送別会の写真もあって、どれもここだけの貴重な記録になっています(勝手に転載はできないので、ご覧になりたい方はぜひ貞刈さんの本をご覧になってみてください。とても良い写真です。口絵と55ページにあります)。




ところで、その送別会の写真には1メートルもないくらいの小さな神像が写っていました。


貞刈さんによれば、これはマニーさんがこのときのお礼としてつくって福浜小に贈られた品で、サラスヴァティー像のようなのです。



これは貴重なよかトピア遺産!(福岡市史では、今もまちに残るよかトピアにまつわる物を勝手にこう呼んでいます)


しかも当時一流の人形師の作品です。


福浜小学校の関係者の方々、もしこの神像の所在をご存知でしたら、福岡市博物館の市史編さん室までお知らせくださらないでしょうか。

ぜひ拝見したいです。




よかトピアのテーマは「であい」。


〈081〉のヤップの話もそうでしたけど、この博覧会をめぐる「であい」は会場や会期にとどまらず、もっと広がりをもったものだったことを感じるエピソードでした。




インドはこの神像だけではなく、パフォーマンスやお店でも国際色豊かによかトピアを盛り上げた国です。


もう少しそんな話を調べてみようと思っています。




そうそう、インドといえば、明日とても楽しそうなイベントが福岡アジア美術館で開かれますので、最後にご紹介。


福岡アジア美術館は博多区下川端町にあるリバレインセンタービル7・8階。


ここで今、「アジアン・ポップ」という展覧会が開かれているのですが、明日その関連イベントとしてインド映画『SHOLAY』(邦題「炎」)が上映されます。



詳細はこちらをご覧ください。



『SHOLAY』は1975年につくられた「インドで最も大衆に愛されたインド映画の金字塔」と言われている映画。

監督はラメーシュ・シッピーさん、主演はインド映画のスター、アミダーブ・バッチャンさん、サンジーヴ・クマールさんのお二人です。



ストーリーは『七人の侍』『荒野の七人』を思わせる、村を守る2人の用心棒の物語

もちろんこちらはインド映画独特のエンターテインメントと、何で?という展開を詰め込んで仕上げられています(長尺の204分!)。


「七人」ではないので、むしろ今話題の舘ひろしさん・柴田恭兵さん主演『帰ってきた あぶない刑事』や、ウィル・スミスさん・マーティン・ローレンスさん主演『バッドボーイズ RIDE OR DIE』のようなバディ物として見ることもできそうですね。


この『SHOLAY』、「アジアン・ポップ」展の作品『ガンボージ色のガッバル』(インドの画家アトゥル・ドディヤさん作、福岡アジア美術館所蔵)のモチーフになった映画なのだそうです。



アトゥル・ドディヤさんの『ガンボージ色のガッバル』はこちらで見ることができます。





今回の上映は貴重な日本語字幕付き


しかも上映前には、館内のアートカフェでアジアをテーマにしたDJイベントがあったり、インドビールも飲めるのだとか。



いや、「急に明日なんか行けない!」「ブログを見たときにはもう終わってた!」という方、ご安心ください。


8月17日(土)の「アジアン・ポップ☆イベントⅡ」で、ふたたび上映されます。



この日はDJイベントではなく、『SHOLAY』を翻訳されたアジア映画研究家・松岡環さんの解説トーク(オンラインでのご登場)があります。

松岡さんは『ムトゥ 踊るマハラジャ』などの字幕も担当された方です。


インド映画は作品の背景を知っていると、いろんな視点からもっと楽しめそうですよね。




よかトピアではテーマを考えるにあたって、人や物の「であい」によって、エネルギーを生産するプロセス「まつり」が生まれ、それは博覧会場の外へと広がっていく、そしてそこでまた新たな「まつり」がはじまると構想していました。


まさに「まつり」無限装置



構想時のこの「まつり」の具体像は難解ですし、場合によってはちょっと都合良く聞こえることもあるかもしれないのですが、日々福岡でこうした新たなアジアのイベントやアート・交流活動が生み出されていたり、あのときの小学校での神像製作の場面が思い出されたりしているということは、これも「まつり」の一端なのかもしれないですね。







【参考文献】
『アジア太平洋博覧会―福岡'89 公式記録』((株)西日本新聞社編集製作、(財)アジア太平洋博覧会協会発行、1990年)

・『アジア太平洋博ニュース 夢かわら版'89保存版』((株)西日本新聞社・秀巧社印刷(株)・(株)プランニング秀巧社企画編集、(財)アジア太平洋博覧会協会発行、1989年)

・草場隆『よかトピアから始まったFUKUOKA』(海鳥社、2010年)

・貞刈厚仁『Ambitious City―福岡市政での42年―』(松影出版、2020年)

・『朝日新聞』1989年2月9日「インドから人形職人」

・『西日本新聞』1989年2月9日「インドの人形師来福─ヒンズー様式の山車製作─」

・『フクニチ新聞』1989年2月9日「アジア博にインドの山笠?─祭りの人形制作 第一人者のマニーさん来福─」

・『毎日新聞』1989年2月9日「カルカッタから人形職人が来福─リゾートシアター正面入り口を飾る─」

・『読売新聞』1989年2月9日「ヒンズー教人形飾る─製作の第一人者来福─」

・ウェブサイト
 ・博多祇園山笠公式サイト(https://www.hakatayamakasa.com/
 ・福岡アジア美術館(https://faam.city.fukuoka.lg.jp/


 


シーサイドももち #アジア太平洋博覧会 #よかトピア #インド #飾り山? #福岡アジア美術館 #アジアン・ポップ #SHOLAY




Written by はらださとしillustration by ピー・アンド・エル

2024年6月12日水曜日

特別展「大灯籠絵」を楽しむために その5 特別展「大灯籠絵」の顔

この秋、福岡市博物館では、特別展「(おお)(とう)(ろう)()」を開催します。

展覧会の開催に向けて、「大灯籠絵」にまつわる話題をお届けします。

現在制作中の特別展「大灯籠絵」のポスターのメインビジュアルはこの人

荒木あらきまた右衛門えもん(15981638)です。

歌舞伎などに詳しい方は、「あぁ、あの」とご存じかもしれません。

曾我兄弟、赤穂義士とならぶ日本三大(あだ)(うち)のひとつ、

「鍵屋の辻の決闘」あるいは「()()(ごえ)の仇討」として有名な仇討事件の主要人物です。

1634年、岡山藩士渡辺数馬が荒木又右衛門の助太刀で、河合又五郎を討ち取ったという事件で、

歌舞伎の演目や映画などの題材にもなっています。

大灯籠絵全体は↓こんな感じです。

大灯籠絵「伊賀越敵之図」 筥崎宮蔵

サイズは、縦約180cm×横約375cm、ちょうど畳を4枚ならべたくらい。

画面中央で、敵に囲まれながら睨みをきかす荒木又右衛門の姿は、

今回の展覧会で展示予定の大灯籠絵のなかでも、一二を争う迫力です。

はてさて、この荒木又右衛門が、どんな風にポスターとなって登場するのか、

どうぞ、お楽しみに!!

(by おーた)

2024年6月7日金曜日

【別冊シーサイドももち】〈082〉シーサイドももちの緑地さんぽ① ~地行浜&海浜エリア編~

埋め立て地にできたニュータウン「シーサイドももち」の、前史から現代までをマニアックに深掘りした『シーサイドももち―海水浴と博覧会が開いた福岡市の未来―』(発行:福岡市/販売:梓書院)。


この本は、博多・天神とは違う歴史をたどってきた「シーサイドももち」を見ることで福岡が見えてくるという、これまでにない一冊です。


本についてはコチラ


この連載では【別冊 シーサイドももち】と題して、本には載らなかった蔵出し記事やこぼれ話などを紹介しています。ぜひ本とあわせてお楽しみいただければ、うれしいです。









〈082〉シーサイドももちの緑地さんぽ① ~地行浜&海浜エリア編~

シーサイドももち地区(早良区百道浜・中央区地行浜)は埋立地として誕生しましたが、土地の用途は住宅のほか、学校や病院文化・商業施設、さらには多くの企業ビルや娯楽施設もあり、多種多様です。


埋立地としての計画が始まったのは昭和35(1960)年のことですが、当初から現在のような姿を想定していたわけではなく、ご多分に漏れず百道も当時主流だった「工業都市的なまち」が目指されていました。


その後紆余曲折を経て、昭和46(1970)年の福岡市総合計画で、現在のようなウォーターフロントとしての姿に繋がる「シーサイドタウン計画(臨海部大団地)」が掲げられるようになったわけです。


このときの計画では、昔から百道海岸に広がっていた松原や砂浜を中心とした自然の風光美を残し、さらにまちの緑化をすすめることが盛り込まれていました。


シーサイドももち地区が、いわば人工のまちでありながら、海と緑に囲まれた自然の多いエリアなのは、そういった理由があったんですね。



そんなシーサイドももちを隅々まで楽しむには、徒歩やサイクリングがオススメです。


今回は、シーサイドももち地区に設けられた公園・緑道・緑地などをほぼすべて・・・・・めぐる「緑地さんぽ」に出かけてみたいと思います。



* * * * * * *



まず、シーサイドももち地区にどのくらい公園や緑地があるか、地図で見てみます。



このうちの、、、



このくらいが公園・緑地・緑道です。

これらを順に回っていきたいと思います。





今回のルートはこんな感じです。


地図の右端にある唐人町側の地行浜エリア(地行浜橋)からスタートして、最後は百道浜エリア(百道浜橋)を目指したいと思います。

なお、今回は徒歩だけでなく自転車でもまわることができるルートをご紹介します。



それではスタートします。

ちょっと距離がありますので、水分を補給&休憩しつつ、がんばって行きましょう!





1.スタート地点(地行浜橋)




まずは地行浜橋シーサイドももち地区の東の入口です。

最寄りの唐人町駅(福岡市地下鉄)からは、1番出口を出て菰川沿いに約450mほど歩くと到着します。



ここから東へ向かって歩きます。





よく見ると、歩道の壁は石積みのようなデザインになっていて、どことなく「元寇防塁」をほうふつとさせますね。







さっそく、「MARK IS福岡ももち」が見えてきました。

シーサイドももち地区最大の商業施設で、隣には高層マンションの「ザ・パークハウス 福岡タワーズ」や、奥にはドームの屋根も見えています。








最初の交差点(地行3丁目)に到着。この信号を渡って、領事館エリアに向かいます。

地行3丁目の交差点。


信号を渡り、駐福岡大韓民国総領事館沿いに西に向かっています。




2.みぞえ画廊(福岡市中央区地行浜1-2-5)

※ちょっと寄り道





駐福岡大韓民国総領事館から脇道に入ると、みぞえ画廊があります。


こちらは公園ではありませんが、道路からでも美しい緑の庭を見ることができます。

敷地内にはギャラリーのほか、フラワーショップやワイン専門店も併設。

まだ歩き始めてちょっとですが、休憩がてら立ち寄ってみるのも楽しいかもしれません(休憩早い…)。


みぞえ画廊のホームページはコチラ をクリックしてご覧ください。




3.樋井川河畔緑道(地行浜エリア/南側)(中央区地行浜1丁目付近)

【種別】緑道

【大きさ・長さ】約420m(地行浜エリアの全長では約600m)

【施設】ベンチ


いよいよ最初の目的地。最初は「緑道」です。


角にはいつもお巡りさんが立っています。
ここから緑道がスタート。




この樋井川河畔緑道は、百道浜橋をはさんで地行浜地区と百道浜地区それぞれ、樋井川沿いに続いています。




舗装された川沿いの歩道と、一段下がって未舗装の遊歩道が併走しています。

途中には複数箇所にベンチがあり、途中で休憩することもできます(休憩は大事ですから)。

遊歩道は自転車でも通ることができますが
木の根など凹凸があるので要注意です。





4.地行浜西公園(中央区地行浜1丁目3)

【種別】公園

【大きさ・長さ】2,497 ㎡

【完成した年】1990年

【施設】ベンチ・遊具(すべり台)・あずまや・トイレ・広場



樋井川河畔緑道を海に向かうと、すぐ右手に地行浜西公園が見えてきます。

公園の手前には小さなグラウンドがあります。
中央の建物はトイレです。

半分は砂場になっていて、中央には一風変わったすべり台が。

この公園は遊具もあり、周辺が全面砂地になっているので子供も遊べますし、あずまややベンチ、トイレもあるのでちょっとした休憩にも最適です。





隣には広場があって、ちょっとしたキャッチボールなどもできるのですが、その裏手(東側)を見ると、かわいらしい小さなお地蔵さまが鎮座されていました。

やさしいお顔のお地蔵さま。





さきほどの樋井川河畔緑道にもどって先に進みます。


左の階段は橋につながっていて、右の道は次の目的地、地行中央公園につづきます。

こういう緑のトンネルが嬉しいですね。
ここを抜けると地行中央公園です。




5.地行中央公園(中央区地行浜1丁目3)

【種別】公園

【大きさ・長さ】22,810 ㎡

【完成した年】1994年

【施設】ベンチ・遊具(コンビネーション遊具・スプリング遊具・砂場)・水飲み場・あずまや・トイレ・広場・自動販売機・時計塔

【その他】モニュメントあり



地行浜エリア最大の公園、地行中央公園です。


ここはヒルトン福岡シーホークドームに面しており、バス通りに直結しているので、中に入らずとも目にしたことのある方は多いと思います。


巨大なモニュメント(「大きな愛の鳥」)時計塔が印象的な公園です。

これが「大きな愛の鳥」。
作者はニキ・ド・サンファル(1930-2002)。
フランス出身の彫刻家です。
上の鳥は風で倒れないよう、風向きによって動くそうです。



公園には遊具もありますが、体を動かせるスペースがとても広く、芝生(というか草地)があるグラウンドエリアを中心に、東西に石畳のエリアがある設計になっています。


石畳エリアには各所にベンチもたくさん設置されています。



公園の奥にはスロープがあり、自転車も通行が可能です。


スロープは、芝生のグラウンドエリアを通ってドーム側に抜けることができます。



スロープの一番上には大きなあずまやがあります。




このあずまやから公園の東側(ドーム側)の時計塔がある円形広場に下りることができます。

自転車はスロープがありますが、あずまやのすぐ目の前には大きな階段もあります。

結構大きく急なので上り下りするには大変ですが、座って休憩するにはもってこいの場所でもあります。




時計塔を中心とした円形広場はベンチやモニュメントも多く、ゆっくりと時間を過ごすことができますよ。



彫刻「木の精」。作者はドルヴァ・ミストリー。

ベンチの奥には巨大松ぼっくり形の「泉「松の実」」。
外尾悦郎によって、ドーム建設に合わせ1993年に制作されました。



見所が多く長居したいところですが、そろそろ公園を出てさらに海側へ向かって行きます。


「愛の鳥」の目の前に信号があります。

ここを渡っていきます。






6.樋井川河畔緑道(地行浜エリア/北側)(中央区地行浜2丁目2)

【種別】緑道

【大きさ・長さ】約180m(地行浜エリアの全長では約600m)

【完成した年】1993年

【施設】ベンチ・モニュメント・大型バス専用駐車場





信号を渡ると川沿いに、先ほど歩いた樋井川河畔緑道が続いています。



ここも、先ほどと同じように川沿いの舗装の歩道と未舗装の遊歩道がありますが、さらにこちらはレンガ敷きの広いスペースが併設されています。


そして、そこには巨大な自然石のモニュメントが。



この石製のモニュメントは1993(平成5)年にここが整備された時にあわせて設置されたもので、手前の平たい板状のものと、100mほど離れた同一線上にくびれがあり上部には穴が空いた不思議な形のものがそれぞれ1体ずつ、対峙するように置かれています。

高さはどちらもおよそ3mほどあるようです。


大きな愛の鳥までほぼ一直線。謎…。


作者などは不明ですが、なにやら意味ありげなモニュメント…。

周りには何もなく、ぽつんとたたずむ姿は、その大きさもあいまって、なんとも不思議な空間です。




このスペースにもベンチがありますよ。


ちなみにこのスペースは自転車では入れませんが、ベンチは歩道の方にもあります。




さきほどモニュメントがあるスペースの奥には、最近整備された大型バス専用の駐車場があります。

かつてはドームの東側道路に並んでいた観光バスですが、現在ではこのように整備されたことで、多くのインバウンドを中心とした観光客の皆さんがシーサイドももちを訪れやすくなっているんですね。

緑地の一部を改装して作られた大型バス専用駐車場。


こちらは平成28(2016)年3月の様子です。
現在のMARK IS福岡ももち(当時はホークスタウン)の東側に
大型バスがずらりと並んでいました。



樋井川河畔緑道から高速道路の下を通る道が海まで道がつながっているので、このまま進んでみましょう。





7.シーサイドももち海浜公園(地行浜地区)(中央区地行浜2丁目3付近)

【種別】その他

【大きさ・長さ】約41,000 ㎡

【完成した年】1989年

【施設】ベンチ・あずまや・トイレ・シャワー・更衣室



樋井川河畔緑道を抜けると、ついに海に出ました!


ここはシーサイドももち海浜公園の地行浜地区。かつての百道の美しい海岸線を参考にして、シーサイドももち地区につくられた人工海浜です。


実はシーサイドももちの浜辺は「海水浴場」ではなく「海浜公園」なので、許可された時期以外の遊泳は禁止されています。ご利用の際にはどうぞご注意くださいね。






さきほどの大型バス駐車場から歩いて数分で海に出られることもあり、この日も海外からの旅行客の皆さんが団体で訪れ海を楽しまれていました(ちょっと写真では分かりづらいですが…)。





ここから西へ向かって浜沿いに歩いていきます。

地行浜と百道浜をつなぐ橋「なぎさ橋」は、歩行者専用橋

高速道路のすぐお隣にあります。





8.シーサイドももち海浜公園(百道浜地区)(早良区百道浜2丁目)

【種別】その他

【大きさ・長さ】約110,000 ㎡

【完成した年】1989年

【施設】ベンチ・トイレ・シャワー・更衣室・バレーネット・水場・パーゴラ・あずまや・ボードウォーク・多目的広場

【その他】マリゾン・渡船場(うみなかライン発着所)





これぞシーサイドももち!という風景ですね。こちらはシーサイドももち海浜公園百道浜地区です。

これからの季節はとくに気持ちよくお散歩できそうですね。

橋からの道はスロープになっているので、自転車やベビーカーなどでも通行が可能ですよ。




浜辺に沿って続く遊歩道は、途中にはいくつものベンチが設置されています(ベンチチェックがしつこくてスミマセン…)。

休憩は大事ですからね。



また、海浜に沿って植えられた松林の中には、海沿いの歩道と並行して遊歩道があるので、松林の中をゆっくり散歩することもできます。

松林の中は日陰になっていて風も通るので気持ちがいいです。
自転車も通行できます。




海浜公園の百道浜地区は設備も多く、パーゴラバレーコートなどの屋外設備に加え、レストランや結婚式場のあるマリゾンも、海浜公園の一部です。

これが「パーゴラ」です。東西に2つ設けられています。

マリゾンも公園の一部なんですね。

西側にあるバレーコート。
学生さんなどでいつも賑わっています。

砂を洗い落とせるシャワーや更衣室も完備。
この季節は鯉のぼりも泳いでいました。


老若男女、たくさんの人がくつろいだり遊んだり食べたり飲んだり…。外で過ごすにはいい季節になり、それぞれ思い思いの時間を楽しんでおられました。


中央の階段を上ると福岡タワーに行くことができます。




そしてここも地行浜地区と同じく、許可された時期以外は泳ぐことはできません。




印象としては、同じ海浜公園でも地行浜地区がインバウンドを含む観光客の皆さんが多いのに対し、百道浜地区は学生を中心に地元の方々が多く利用されているように感じました。




せっかくなので脇道の松林にも入ってみます。

ところどころに松林に入る脇道があります。



松林を少し進むとふたたび高速道路が見えてきて、そちらに向かって道が続いています。

高速道路の上を横切る形でスロープがつくられており、ここを進むと次の目的地である百道浜北公園に行くことができます(ただし、自転車では通り抜けできませんのでご注意ください)。



この奥が百道浜北公園です。




9.百道浜北公園(早良区百道浜4丁目30)

【種別】公園

【大きさ・長さ】3,484 ㎡

【完成した年】1993年

【施設】ベンチ・遊具(すべり台)・広場





百道浜北公園は、住宅街の中にある小さな街区公園です。

ここにも小さな遊具と広場が併設されています。






ふたたび海浜公園に戻ります。



松林の道に戻り、さらに西へと歩くと、またまた脇道が。

ここからは、海浜公園内の多目的広場に行くことができます。

ちょっと分かりづらいですが、この道を左に…。

一応道ですので、ご安心ください。





10.シーサイドももち海浜公園(百道浜地区)多目的広場(早良区百道浜4丁目2)

【種別】その他

【大きさ・長さ】約4,500 ㎡




松林を抜けると多目的広場に到着です。

この広場は海浜公園の一部で、占有しなければ許可申請なしでも遊ぶことができます


駐車場があり、ここまで車で来ることも可能です。


電気自動車の充電スタンドもあります。



多目的広場は思いのほか広いスペースなので、シートを広げてお弁当を食べたり、バドミントンなんかもできそうですね。



ただし、野球のバッティング・ゴルフ・凧揚げ・ロケット花火や打ち上げ花火などは禁止。

また高速道路も近いので、ボールを使う場合は注意が必要です。

注意事項が書かれていますので、安全に楽しみましょう。


なお、シーサイドももち海浜公園の利用にはさまざまな規約がありますので、ご利用の際には公式ホームページで確認してくださいね。



* * * * * * *


・・・と、今回はここまで!

ここから先の百道浜地区は、また次回お送りしたいと思います。




【ここまでの移動距離】約3.2km

【ここまでの所要時間】徒歩:約1時間30分/自転車:約30分






※ 写真はすべて福岡市史編さん室撮影。
※ 地図のベースはピー・アンド・エル制作。



【参考文献】
・ウェブサイト
 ・公益財団法人福岡市緑のまちづくり協会(https://www.midorimachi.jp/
 ・みぞえ画廊(https://mizoe-gallery.com/user_data/gallery
 ・福岡市海浜公園「海っぴビーチ」(https://www.marizon-kankyo.jp/


 


シーサイドももち #公園 #緑地 #海っぴビーチ #マリゾン #ウォーキング #サイクリング #熱中症に注意!




Written by かみねillustration by ピー・アンド・エル

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