「今回の下の原ダム再開発事業には大きな3つの特徴があります。ひとつは異常渇水時の緊急備蓄用として渇水対策用量を水利権として全国で初めて許可されたこと。また、既存施設を有効活用することで効率的な水開発となり、5.9mの嵩上げで既存ダムの1.7倍の貯水容量が確保できたこと。3つめとして、下の原ダムは市南部地区唯一つの水源であることから、貯水位の嵩上げ工事を行う必要があったということです。通常のダム建設工事と異なり、慎重かつ迅速な施工が要求されましたが、関係者の皆様方のご協力により、ダムが完成しております。コンクリートの嵩上げ工事は、ダムの水を空にして行う方法が容易であるが、佐世保市の場合、貴重な水源を空にすることは出来なかった。水を貯めたまま行う条件で検討がなされた結果、下流側に新しいダムを打ち継ぐ施工が採用された。いかに佐世保市が水に苦労し、その水を一滴でも無駄にせずに、有効に市民のために利活用することを心掛けているかよく理解出来る。
リサイクル等の循環型社会の構築が求められている昨今の社会情勢の中、既存施設の有効活用がキーワードとして取り上げられていますが、このような様々な特徴をもつ下の原ダムの嵩上げ技術が工事誌に記録、保存されることにより、今後におけるダム再開発に少しでも役に立つことができればと考えております。
平成19年、佐世保市は水道給水開始100周年を迎えます。この節目の年に、下の原ダムが新たな水道用水の確保とともに地域に愛されるダムとして生まれ変わりますことは次の100年につなげる大きな一歩となることを確信しております。」