2025年7月31日 (木曜日)
セキュリティのための通信料金を無料化する法令の必要性
小さなサイズのセキュリティ更新であれば特に問題が発生することはないかもしれないが,大規模なセキュリティ更新やOSの更新の場合,それなりに大きなデータ量の通信が必要となる。
しかし,各社の料金体系は,そのような場合にも普通の課金となるので,契約しているデータ量を超えると一定の制限が発生する。その制限のため,アップデートできなくなってしまうことがある。
このような料金体系がまかりとおっているから,セキュリティ更新が全く行われないまたは遅延するという事態が発生し,日本国全体がセキュリティホールだらけとなる。
そのため,サイバー戦との関係では,日本国は,既に敗北に確定している国だと言える。
このような結果を招く料金体系となっていることは,間違いだ。セキュリティ確保のためのデータ通信は全て無料としなければならない。
このような問題への対応に関し,通信各社の個別対応では混乱が発生するだけなので,強制的に料金を無料とする法令を制定する必要性がある。
投稿者 夏井高人 時刻 03時38分 経済・政治・国際, サイバー法, 技術, 情報セキュリティ, 犯罪, 危機管理 | 固定リンク
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2025年7月29日 (火曜日)
文系と理系
世間には,「文系だから・・・」または「理系だから・・・」ということにこだわり過ぎる人がまだ存在するようだ。
かつて,血液型性格診断なる荒唐無稽な屁理屈が流行ったころに「A型人間だから」または「B型人間だから・・・」等とこだわった人たちとあまり変わらない。ABO式による血液型の区分は無数にある識別基準または指標の一つに過ぎない。ABO式の区分だけで全てが決定されるということが科学的に証明されたことはこれまで一度もない。
さて,文系と理系の区分は,本来的に無意味なものだ。
古い時代においては,文系と理系の区分など存在せず,全ての学問分野が「哲学」または「神学」の中に包摂されていた。
日本国の幕末における蘭学者の中にはそのような包括的な知性をもつ天才または天才に近い人材が多数認められる。
日本国においては,文系と理系の区分は,明治維新当時における富国強兵という目的を実現するために採用された手段的な概念であり,包括的な知性をもつ人材ではなく,部分的な知識を習得するだけで当該分野においては専門家として扱われ得る人材を速成栽培するために用いられた一時的な緊急対応策の一部だったと考えられる。
産業革命以降における大規模工場の工程を細分化し,細分化された工程を習得した人材を有能な人材として扱う産業上の社会構造がそのような国家レベルにおける教育姿勢または教育目標を支え続けたとも言える。
そして,現在でもなお,世界の産業構造はそのようなものなのかもしれないし,(受験予備校的な)内容空疎な丸暗記型思考しかできない人にとっては,理系と文系の区分が「真理」の一部であると信じられているかもしれない。
しかし,時代は変わった。大量生産方式を基礎とするようなタイプの資本主義は(建前上の国家体制が社会主義または共産主義の国家における実質的な意味での資本主義を含め)終焉の時を迎えつつある。
AIという文脈で現在の世界を見渡してみると,(日本国という極東の小国の文部科学省が採用している「理系と文系」という区分など完全に無視して)米国や中国の巨大なAIシステムは,全ての種類のデータを網羅的にどんどん呑み込み続けている。
そのようにして収集されたデータは,理系や文系という区分とは完全に無関係に,当該システムの設計者が想定した知識構造の仮説に基づいて処理され,有用性が確認されれば,その仮説は,その仮説を実証する統合されたデータ群であるモデルという表現形式により使用されることになる。
しかし,一般に,根本的に誤った仮説に基づいてデータが収集されるような場合においては,そのようにして収集されたデータを基礎として統計上または確率論上の何らかの有意な関係が証明されたとしても,土台となっている世界観(仮説)それ自体が最初から荒唐無稽であるので,また,誤った仮説に従って事前にフィルタされたデータのみを基礎として確率論の計算等が実行されるので,それらの証明それ自体が全く何の意味ももたないものであることが明らかだ。
統計学が常に正しいとすれば,ガリレオが生きた時代において,バチカンが絶対的に正しく,ガリレオは狂人または悪魔であったことになる。
しかし,本当はそうではないということは,(確率論によってではなく)長い時間の経過によって人々が普通の知識にアクセスできるようになったことによって常識のものとなった。
もっとも,ダーウィンのいうような意味での適者生存論または自然淘汰説に関しては,聖書の教えに反するとして禁止されている地域が現在でも多数存在している。
現在のアメリカ合衆国で起きている科学技術上及び政治上の出来事をできるだけ多角的に理解しようとするときは,そのような包括的な観点からの考察も必要だと考える。
***
『モナリザ』の作者として有名ではあるけれども諸学とその実践に通じていた天才の一員であるレオナルドダビンチは,理解でも文系でもなく古典的な意味での総合学としての哲学の人だったと言える。
意味なく理系と文系とを区別したがる人は,このことをどのように考えるのだろうか?
投稿者 夏井高人 時刻 09時27分 文化・芸術, 日記・コラム・つぶやき, 経済・政治・国際, 社会問題, 学問, 教育 | 固定リンク
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2025年7月22日 (火曜日)
放送法第4条
放送法の第4条第1項第2号は,放送事業者が「政治的に公平であること」を定めている。
また,放送法の第1条第2号は,基本原則の一つとして「放送の不偏不党」を定めている。
従って,キャスターや司会者のような立場にある人間は,政治的に中立・公平でなければならない。
自分の意見や政治的立場と異なる人間がゲストとして出演した場合,そのことのゆえに,その出演番組のキャスターや司会者等が議論のための議論を続けるときは放送法違反行為を行う違法行為であることになるので,当該放送事業者は,当該キャスターや司会者等を解雇すべきである。解雇しないときは,関係当局は,しかるべく調査を実施すべきである。
あくまでも一般論としては,そのような番組の中でそのような出来事が起きるときは,当該キャスターや司会者等が特定の政治団体や宗教団体の関係者であり,その政治団体や宗教団体との関係という文脈の中でそのような出来事が起きることがあり得る。
投稿者 夏井高人 時刻 07時12分 日記・コラム・つぶやき, 経済・政治・国際, 学問 | 固定リンク
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2025年7月17日 (木曜日)
機密がなくなる世界?
最近のAIの機能の強化+データ処理能力の増大により,デスクトップ画面の様子を把握し,ユーザの行動を推論してしまう機能が普及し始めている。
私の経験によると,その機能の使用を停止に設定しても全く無視されるので,明らかに各国の個人データ保護法(特にGDPR)に違反している。
しかし,誰も批判しない。その原因は不明だが,現在の情報法やサイバー法の研究者やその分野を専門とする弁護士の多くが馬鹿であるか大企業の腰巾着であるかのどちらかになっているのかもしれない。
そのようなAI機能をフル稼働させている大企業の中には,例えば,中国人のエンジニアがいっぱい勤務しているのが普通なので,自動的に収集されたデスクトップ上の要素情報は,その情報のほぼ全部がリアルタイムで中華人民共和国のサイバー軍または諜報当局に流れているとしても全く不思議ではない。
そのようになってしまっている結果,人々のプライバシーは,もうない。
近い将来,例えば,特定の誰かと秘密で合おうとしようとしていると,AIシステムは,「既に学習済のプロファイルによれば,そのお相手の方は***が大好きだから,あなたが一緒に食事しようとしている店ではなく,***という店の方がうまくいきますよ」と勝手にアドバイスしてくるような時代がやってくることになるだろう。
つまり,このような仕組みは,仕組みそれ自体がほぼ全面的に違法なものなのだ。
単なる個人だけではなく,例えば,目下ホットになっている参院選においても,競争相手の政党の行動に関するプロファイルを勝手に生成し,押し売り的にアドバイスしてくるAIボットが既に存在しているかもしれない。情報をもらうことに喜ぶことはできるけれどもどうしてそのような情報が収集されるのか,同じメカニズムによって自分達の陣営の情報も収集されプロファイルされているのではないかというような疑問をもたない政党は,簡単に言えば無能だと言える。
それだけではなく,知的財産権,特に,営業秘密,非公開特許,非公開著作物は,機密性が喪失しており,機密のものとして保護されない状態となっている。そのことを指摘できない知的財産法学者は,馬鹿だと認定するしかない。
同様に,軍の機密情報や公安当局の機密情報を含め,国家の機密情報が機密のものとして保護されない状態となっている。そのような状態を放置していることは,国家機密の保護と関連する各法令の違反行為となるので,その関係者を処罰する必要があるかもしれない。
もっとも,そのような仕組みは通信回線というリソースを大規模に消費する。
ところが,通信回線というリソースはそんなに簡単に増加させられないので,アッという間に輻輳の問題が発生し,AIを使用するとトラブルと通信途絶しか発生しないという状況に陥る可能性はかなり高い。
一般に,もともとAI企業は,巨額の税金と企業資金を投入して構築され続けてきた社会インフラの利益を盗み取ることによって成立しているので,倫理も法秩序もない単なる海賊の一種に過ぎない。
そのことを知らないで海賊の手下として雇われ,AIの導入が進むと「24時間働くAIを導入するので,人間は要らない」といってゴミクズのように捨てられてしまう現代の若者が可哀そうだ。
労働基準当局は,(その対象企業が名うての悪徳企業として著名な企業である場合には特に)決然たる態度で臨むべきだ。
***
勤務先である明治大学法学部の関連科目では,そのようになってしまう歴史上・社会上・政治上・経済上の基本的メカニズムに関しても教えてきた。ただし,理解できた学生がどれだけいるのかはわからない。
その明治大学法学部を2026年3月をもって定年退職するので,若い人たちに対してのようなことなどを教える機会もなくなり,単なる「爺さん」になる。
投稿者 夏井高人 時刻 11時04分 日記・コラム・つぶやき, 経済・政治・国際, サイバー法, 社会問題, 技術, 情報セキュリティ, 犯罪, 学問, クラウドコンピューティング, 知的財産権, 危機管理 | 固定リンク
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2025年7月15日 (火曜日)
eUICCの脆弱性
下記の記事が出ている。
IoT Devices at Risk Due to eSIM Flaw in Kigen eUICC Cards
infosecurity: 14 July, 2025
https://www.infosecurity-magazine.com/news/iot-risk-esim-flaw-kigens-euicc/
投稿者 夏井高人 時刻 07時12分 サイバー法, 技術, 認証, 情報セキュリティ, 犯罪, クラウドコンピューティング | 固定リンク
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2025年7月 5日 (土曜日)
Weibo,TikTok,WeChat及びBaidu Cloudの問題
下記の記事が出ている。
Taiwan Flags Chinese Apps Over Data Security Violations
infosecurity: 4 July, 2025
https://www.infosecurity-magazine.com/news/taiwan-chinese-apps-data-security/
投稿者 夏井高人 時刻 09時06分 経済・政治・国際, サイバー法, 社会問題, 技術, 認証, 情報セキュリティ, 犯罪, 個人情報, クラウドコンピューティング, 危機管理 | 固定リンク
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