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平成31年4月17日
総務省

統計トピックスNo.118

我が国の医薬品製造業の研究活動
-科学技術週間(4月15日〜4月21日)にちなんで- (科学技術研究調査の結果から)

総務省統計局では、我が国における科学技術に関する研究活動の状態を調査し、科学技術振興に必要な基礎資料を得ることを目的として、科学技術研究調査を毎年実施しています。
今回は、平成30年調査の結果から、我が国の企業における研究費が上位の産業であり、研究者1人当たり研究費が1番高い「医薬品製造業」の現状について御紹介します。

〔要 約〕
だいやまーく 平成29年度の企業における研究費は、「医薬品製造業」が全産業で2番目の規模

だいやまーく 「医薬品製造業」の研究者1人当たり研究費は6563万円で、全産業で1番高い

だいやまーく 「医薬品製造業」の女性研究者割合は28.3%で、全産業で2番目に高い

だいやまーく 「医薬品製造業」は国際的な技術競争力が高い

だいやまーく 我が国の企業の研究費に占める「医薬品製造業」の割合は、主要国と比較すると高い水準

【産業別研究費及び研究者数】

平成29年度の企業における研究費は、「医薬品製造業」が全産業で2番目の規模

平成29年度の企業における研究費を産業別にみると、「医薬品製造業」は1兆4653億円で、「輸送用機械器具製造業」の3兆646億円に次ぐ2番目の規模となっています(図1)。
上位3産業の研究費について、比較可能な平成14年度からの推移をみると、「医薬品製造業」は、14年度では「情報通信機械器具製造業」、「輸送用機械器具製造業」に次ぐ3番目の規模でしたが、29年度に「情報通信機械器具製造業」を上回って2番目となりました。また、「輸送用機械器具製造業」は、平成17年度に「情報通信機械器具製造業」を上回って1番となりました。
上位3産業の研究費を平成14年度と比較すると、「医薬品製造業」は51.7%増、「輸送用機械器具製造業」は76.3%増となっているのに対し、「情報通信機械器具製造業」は40.1%減となっています。
「医薬品製造業」の研究費の増加には、国内外の医薬品市場が拡大していることが背景として考えられます。

[画像:図1 企業の研究費の主な産業別構成比]

[画像:図2 企業における産業別研究費の推移(上位3産業)]

「医薬品製造業」の研究者1人当たり研究費は6563万円で、全産業で1番高い

企業における研究者1人当たりの研究費を産業別にみると、「医薬品製造業」が6563万円と最も高額になっています。「医薬品製造業」の研究者1人当たり研究費は、全産業(2767万円)と比較して、2.4倍となっています(図3)。
「医薬品製造業」は、研究費は2番目に高い産業となっている一方で、研究者数は9番目と、それほど多くないことから、研究者1人当たり研究費は最も高くなっています(図1、図4)。

[画像:図3 主な産業における研究者1人当たり研究費(平成29年度)]

注)研究者1人当たり研究費が2000万円以上の産業を抜粋

[画像:図4 企業の研究者数の主な産業別構成比]

注)研究者数は、実際に研究関係業務に従事した割合であん分して算出した人数

「医薬品製造業」の女性研究者割合は28.3%で、全産業で2番目に高い

企業における女性研究者の割合を産業別にみると、「医薬品製造業」は28.3%で、「食料品製造業」の34.3%に次ぐ2番目となっています。「医薬品製造業」の女性研究者割合は、全産業(9.6%)と比較して、2.9倍となっています(図5)。
また、「医薬品製造業」の女性研究者数(実数)について、この10年間の推移をみると、おおむね増加傾向で推移しており、平成21年から1417人の増加となりました(図6)。
これらは、大学の薬学系学科における女性学生数が増えていることが背景として考えられます。

[画像:図5 産業別女性研究者の割合(上位20産業)(平成30年)]

注)(注記)印は、研究者数(実数)が1000人未満の産業

[画像:図6 「医薬品製造業」における女性研究者数(実数)及び女性研究者割合の推移]

【技術貿易】

「医薬品製造業」は国際的な技術競争力が高い

平成29年度の技術貿易収支(注1)は、我が国全体では3兆2546億円の輸出超過となっています。
このうち、国際的な技術競争力を現す指標と考えられる"親子会社間での取引(注2)を除いた技術貿易収支"をみると、「医薬品製造業」は1853億円の輸出超過で、「輸送用機械器具製造業」の2395億円に次ぐ収支額となっています。また、技術輸出に関しては、3269億円と、全産業で1番となっており、このことから「医薬品製造業」は、国際的な技術競争力が高い産業と考えられます(表1)。
なお、親子会社間における取引について調査を始めた平成13年度と比較すると、親子会社間取引を除いた技術貿易収支は13億円の輸入超過から、1853億円の輸出超過と大きく転換しています(表2)。これは、大手企業が海外展開に力を入れ、日本発の新薬が世界的に受け入れられてきていることなどが背景として考えられます。

注1)技術貿易(外国との特許、ノウハウなどの技術の提供又は受入れ)において、技術輸出の受取額から技術輸入の支払額を引いたもの
注2)例えば、海外の子会社が製品を製造するに当たり、国内の親会社に技術料等を支払うケースなど

[画像:表1 親子会社間取引を除いた技術輸出及び技術輸入の対価受払額、技術貿易収支額]

[画像:表2 医薬品製造業における技術貿易収支(平成13年度、29年度)]

【国際比較】

我が国の企業の研究費に占める「医薬品製造業」の割合は、主要国と比較すると高い水準

企業の研究費に占める「医薬品製造業」の割合について、主要国(G7、中国及び韓国)間で比較すると、我が国は、アメリカの16.5%に次いで高い水準となっています(図7)。

[画像:図7 企業の研究費に占める「医薬品製造業」の割合の主要国比較]

資料:日本は、平成30年科学技術研究調査結果
日本以外は、OECD.Stat
(中国...2016年時点、アメリカ、ドイツ、イタリア、カナダ、韓国及びイギリス...2015年時点、フランス...2013年時点)

注)日本は科学技術研究調査産業分類における「医薬品製造業」
日本以外は、国際標準産業分類(ISIC)第4次改訂版における「Manufacture of basic pharmaceutical products
and pharmaceutical preparations(基礎医薬品及び医薬調合品製造業)

だいやまーく PDF版はこちら(PDF:603KB)

お問合せは・・・
総務省統計局統計調査部経済統計課 科学技術研究調査係
〒162-8668 東京都新宿区若松町19番1号
電話: 03-5273-1169(ダイヤルイン)
E-Mail: e-kagaku_atmark_soumu.go.jp

(注記)スパムメール対策のため「@」を「_atmark_」と表示しております。
送付の際には「@」に変更してください。

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