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「ありがとう」絵本に託して 三瀬村のシバザクラ園づくりに尽力、故徳川正臣さんがモデル 地域の読み語り会、2年がかりで制作

絵本「おじいさんとまほうのたね」の制作にかかわった人たち=佐賀市三瀬村の小中一貫校三瀬校

花が咲いた場面を表現したページは三瀬小中学校の子どもたちや教職員らが協力。ピンクを基調とした紙に色鉛筆やクレヨンで思い思いの花を描いた

花の苗を子どもたちと植える徳川正臣さん(右)=提供写真

花を植えて村を明るくしよう、年を重ねても村で元気に暮らせるよう健康教室を開こう-。佐賀市三瀬村でシバザクラ園づくりなどに力を注いだ故・徳川正臣さん(享年91)をモデルにした絵本が、完成した。新型コロナウイルス禍の2021年2月に徳川さんは亡くなり、葬儀に出られずに感謝を伝えそびれたように感じていた三瀬村の人たちが、あふれる気持ちを絵本に託した。

絵本作りを企画した「三瀬読み語りの会ホンホン」の森田喜代美代表(62)によると、1929年、三瀬村(現・佐賀市三瀬村)に生まれた徳川さんは1945年に福岡海軍航空隊に入隊し、終戦後に三瀬村に復員した。その後、自衛隊や民間会社での勤務を経て、ちょうど半世紀ぶりとなる2000年3月、70歳で帰郷した。

過疎化が進むふるさとの姿を目の当たりにして、「三瀬村を花でいっぱいの村にしたい」と学校や老人クラブ、地域の人たちと協力しながらシバザクラを植える活動を始めた。30人ほどで始めた苗植えは、徳川さんの熱意に触発されるように広がり、100人以上が参加するようになった。晩年には、高齢者が元気に過ごせるよう体操をしたり歌ったりする「健康道場百歳塾」も開設した。

アイデアマンでもあり、人と人を結びつけてくれた徳川さん。亡くなった時期は新型コロナの影響で接触を控えざるを得ない状況で、きちんとしたお別れができずに「気持ちの整理がつかない」との声が読み語りの会のメンバーから上がった。

「徳川さんをモデルにした絵本を作ろう。三瀬村にたくさんのシバザクラが咲くようになった経緯を地域や子どもたちに語り継ごう」。絵本作りの構想はすぐに固まり、画家で同会メンバーの大江登美子さん(58)が絵と文を担った。寄付を募ると、100人以上が賛同してくれた。寄付集めをした森田さんは「徳川さんを慕っている人が多いと感じた」と話す。

約2年がかりで作り上げた絵本「おじいさんとまほうのたね」は徳川さんと三瀬の人、自然をテーマにしたファンタジー作品で、温かくて柔らかいタッチの絵が描かれている。

絵本400部は、寄付の協力者に渡すほか、図書館などに置く。森田さんは「徳川さんが思い描いたふるさとを引き継いでいきたいと改めて思った」と振り返り、「人口の減少にも直面しているけれど、今の私たちにできることを考え続けていきたい」と話す。(川﨑久美子)

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