滑マツの保存に関する取組
滑山国有林の滑マツ
滑マツは、滑山国有林(山口市徳地)に生育しているアカマツの銘木のことです。
昭和43年には年間500立米以上の丸太が生産され、皇居新宮殿の内装材や錦帯橋の脚材にも使用されました。
近年はマツクイムシの被害により、その数も激減し、平成25年に調査した結果によれば、わずか38本(うち5本は枯損)を残すのみとなっています。
近畿中国森林管理局では、平成2年4月に滑山林木遺伝資源保存林(約50ha)を設定しました。
なお、山口森林管理事務所では、平成3年度から滑マツの後継樹育成と保護のため、滑マツの枝から育てたクローン苗の植樹、滑マツから落ちた種子が発芽・生長しやすいように雑草木の除去、マツ枯れを予防するために樹幹注入剤の投与等の事業を実施しています。また、毎年、山口市と協力して森林セラピー体験イベントを実施し、滑マツのPRに努めています。
滑マツの近景と遠景
滑マツの特徴は以下のとおりです。上の写真からは1と2の特徴が見てとれます。
1.材が通直でうらごけが少ない。(うらごけ:樹幹が先端に行くほど細りの大きい状態を指す。梢殺。反意語は完満。)
2.枝下が高く枝が少ない。
3.樹皮が極めて薄い。
4.年輪幅が均等で直円である。
5.辺材(白太)が少ない。
6.心材(赤身)の部分が多く、赤色鮮明で光沢に富む。
滑マツ保存会
地域にとって貴重な資源である滑マツを広く国民の皆様の応援を頂きながら再生させるため、滑マツの保全及び広報活動を目的に、地元の有識者を構成員とする『滑マツ保存会』を設立いたしました。
(滑マツの現状調査) 滑マツ保存会検討会(平成27年3月4日) 現地調査(平成26年11月25日)
(約50年生のマツの視察)
滑マツ保存会検討会(平成27年3月4日)
現地調査概要(平成27年11月10日)
現地視察概要(平成29年11月6日)
現地視察概要(平成30年11月12日)
現地見学会概要(令和2年12月17日)
現地調査概要(令和3年11月18日)
現地視察概要(令和4年12月13日)
滑マツの保存・再生の取組について(滑マツ稚樹採取)
山口森林管理事務所の取組
刈出
滑マツから落ちた種子が発芽・成長しやすいようにササ等の雑草木を除去します。
滑山国有林では稚樹育成地として0.87ha設定し、稚樹が生えた場所にはササと一緒に刈払ってしまわないように目印を立てています。
[画像:刈り出し1]
樹幹注入
マツ枯れを予防するために樹幹注入剤を投与します。
県内では写真のようにマツ枯れによる被害が発生しており、その対応が急務となっています。
[画像:マツ枯れ]
専門家による現地指導
滑マツが、マツ枯れや台風被害などにより本数が激減したため、国立研究開発法人 森林研究・森林機構 森林総合研究所 九州支所の主任研究員の金谷整一農学博士をお招きし現地指導等をしていただきました。
実施日時等令和元年7月16日(火曜日)
現地指導等の内容「滑山アカマツ・ブナ・コナラ等遺伝資源希少個体群保護林」に設定している滑山国有林(山口市徳地)において、山口森林管理事務所職員10名と森林管理局職員2名、滑マツ保存会メンバー9名の総勢21名が現地に参集し、これまで実施してきた「樹勢回復のための樹幹注入」や「稚樹の育成のための刈出し」等の施業の有効性を、金谷氏から指導を受けました。現地を確認しながら受けた指導内容は、以下のとおりです。
(ア) 滑マツから落ちた種が発芽・成長しやすいように雑草木の除去を7月頃行う。
(イ) マツ枯れを予防するために、樹幹注入剤の投与等の事業は継続。
(ウ) 滑マツの枝から育てたクローン苗は、添え木保護等を行う。
(エ) 後継樹林の育成については、除伐等を行う。
現地確認意見交換会
リンク
森林セラピー山口
http://www.shinrin-therapy-yamaguchi.jp/
お問合せ先
山口森林管理事務所
ダイヤルイン:050-3160-6155
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