檜皮の採取
伝統的木造建造物を支える檜皮
檜皮(ひわだ)とは、屋根葺き材として用いられるヒノキの樹皮のことです。一般的に、樹齢70〜80年以上の高齢のヒノキ立木から採取され、また、一度採取すると、次に同じ立木から檜皮を採取できるまでにおよそ10年ほど必要であると言われています。
[画像:檜皮採取の様子]
我が国の檜皮を用いた屋根の歴史は古く、国宝や重要文化財、それらに準ずる伝統的木造建造物の中には、檜皮葺き屋根のものが多く現存しています。
檜皮の供給源としての国有林
国宝や重要文化財などに指定されている伝統建造物を後世に守り伝えていくためには、定期的かつ継続的な修復作業が必要となります。その一方で、檜皮葺き屋根の修復用材である檜皮について、採取に適した立木や、檜皮採取の専門家である原皮師(もとかわし)が慢性的に不足している状況にあります。
このような現状を踏まえて、近畿中国森林管理局は、管理経営上可能な地域(ヒノキ80年生以上、道路から比較的近いところ)の選定と原皮師による現地調査を行い、檜皮を提供する「檜皮採取対象林」を設定しました。
当署では、「檜皮採取対象林」から檜皮を安定的に供給するため、国の選定保存技術保持団体にも選定されている「(社)全国社寺等屋根工事技術保存会(文部科学省所管公益法人)」と、平成13年12月27日に檜皮の販売に関する協定を締結しました。
なお、協定書では、
(ア)採取した檜皮は重要文化財等の建造物の檜皮葺屋根の資材として使用すること。
(イ)檜皮採取技術者である原皮師養成のためのフィールドとして活用出来ること。
(ウ)檜皮採取によるヒノキ立木に与える影響調査について技術協力を行うこと。
等を主な内容としています。
岡山森林管理署管内の檜皮採取対象林
岡山森林管理署管内では、高梁市(臥牛山国有林)、津山市(黒木国有林)、奈義町(那岐山国有林)の3か所が檜皮採取対象林に設定されています。協定締結以降、当署管内では定期的な檜皮採取が行われており、平成28年度には3,049kgの檜皮が採取されました。
[画像:檜皮対象林]
(檜皮採取対象林の様子(那木山国有林))
檜皮が採取された立木は、周囲のものに比べて赤い内樹皮が目立ちます
当署では、今後も引き続き、檜皮の採取フィールドの提供を予定しております。
お問合せ先
岡山森林管理署
〒708-0006 岡山県津山市小田中228-1
TEL:050-3160-6135